X1(エックスワン)は、ドイツの自動車メーカー・BMWが製造・販売している高級SUV(BMWではSAV「スポーツ・アクティビティ・ビークル」と呼ぶ)である。
初代(E84型、2009年 - 2015年)
BMW・X1 E84 |
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フロント |
リア |
室内 |
概要 |
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販売期間 |
2009年-2015年 |
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ボディ |
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乗車定員 |
5人 |
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ボディタイプ |
5ドアSUV |
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駆動方式 |
後輪駆動/四輪駆動 |
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パワートレイン |
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エンジン |
ガソリンエンジン 3.0L 直6 2.0L 直4 ディーゼルエンジン 2.0L 直4 ツインターボ 2.0L 直4 ターボ |
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最高出力 |
3.0L ガソリン 160kW (218PS) /6,100rpm 2.0L ガソリン 110kW (150PS) /6,400rpm 2.0L ディーゼルツインターボ 150kW (204PS) /4,400rpm 2.0L ディーゼルターボ 130kW (177PS) /4,000rpm 105kW (143PS) /4,000rpm |
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最大トルク |
3.0L ガソリン 280N·m (28.6kgf·m) /2,500-3,500rpm 2.0L ガソリン 200N·m (20.4kgf·m) /3,600rpm 2.0L ディーゼルツインターボ 400N·m (40.8kgf·m) /2,000-2,250rpm 2.0L ディーゼルターボ 350N·m (35.7kgf·m) /1,750-3,000rpm 320N·m (32.6kgf·m) /1,750-2,500rpm |
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変速機 |
6速AT/8速AT/6速MT |
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前 |
前: ストラット式 後: 5リンク式 |
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後 |
前: ストラット式 後: 5リンク式 |
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車両寸法 |
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ホイールベース |
2,760mm |
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全長 |
4,454mm |
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全幅 |
1,798mm |
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全高 |
1,545mm |
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車両重量 |
1,545-1,685kg |
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2009年9月に開催されたフランクフルトモーターショーで発表された。BMWのSUVシリーズである「Xモデル」の、X5、X3、X6に次ぐ4番目のモデルであり、同社のSUVシリーズでは最小クラスに位置する。
発表の1年前である2008年10月に行われたモンディアル・ド・ロトモビルでは、コンセプトモデルの「BMW・コンセプトX1」が公開されている。
プラットフォームを共有する3シリーズツーリング(ステーションワゴン)とは兄弟モデルの関係にあり、かつ互いに競合する関係にある(X1は3シリーズツーリングと較べ、駆動方式に4WDを採用する等オフロード志向を高めている)。
日本では2010年4月20日に販売が開始された[1](欧州市場では2009年10月に販売が開始された)。
メカニズム
プラットフォームには、E91ツーリングをベースに小変更が施されたものが用いられており[2]、ホイールベースもE90系3シリーズと同一値である。全高は1,545mmと、機械式駐車場に入るように設計されている。
2009年登場時、ガソリンエンジンについては3.0L 直6エンジンの1種類のみが用意された(モデル名は「xDrive25i」)。ディーゼルエンジンには2.0L 直4直噴ツインターボエンジンと同直噴ターボエンジンが用意され、後者には最高出力が177PSと143PSの2種類のエンジンが用意される。
トランスミッションは、ステップトロニック付6速ATと6速MTの2種類が用意されるが、6速ATについてはxDrive28iとxDrive23dに標準設定され、xDrive20dにオプション設定されているのみで、その他のモデルには全車に6速MTが組み合わせられる。
駆動方式は4WDのほか、2.0L直噴ターボエンジン搭載グレードにはBMWのXモデルシリーズとしては初のFR車が用意された。
グレード名称は2.0Lツインターボモデルが「xDrive23d」となり、2.0Lターボモデルの177PSのモデルは、4WDモデルが「xDrive20d」、FRモデルが「sDrive20d」、同様に143PSのモデルは4WDモデルが「xDrive18d」、FRモデルが「sDrive18d」となる。
さらに、2010年3月にエントリーモデルとなる2.0Lガソリンエンジン搭載車、「X1sDrive18i」が追加された。欧州ではこのモデルは6速MTが標準で組み合わせられる。また、同時に「xDrive18d」、「sDrive18d」、「sDrive20d」には6速ATがオプション設定される[3]。
年表
日本での販売
- 2010年4月20日に日本向けに発表され、2010年4月21日から販売が始まった[6]。2.0L直列4気筒エンジンを搭載した後輪駆動モデル「sDrive18i」と3.0L直列6気筒エンジンを搭載した4WDモデルの「xDrive25i」が導入された。全車6速ATが組み合わされ、右ハンドル車のみが設定された。
- 2011年4月21日、「Mスポーツパッケージ」が設定された[7]。
- 2011年10月31日、新開発の2.0L直列4気筒ターボエンジンに8速ATを組み合わせた「xDrive20i」と「xDrive28i」が追加導入された。「xDrive28i」の導入により「xDrive25i」は廃止された[8]。
- 2012年9月15日、フェイスリフトモデルが日本発売された[9]。新グレードとして「sDrive20i」が追加導入され、「sDrive18i」を除く全グレードにアイドリングストップ機構が搭載された。「Mスポーツ」に加え、エクステリアおよびインテリアに専用装備を施した「xLine」および「Sport」の2つのデザインラインが新たに設定された。
E84(2010年 - 2012年)/ E84LCI (2012年 - 2015年)
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グレード
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型式
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排気量(cc)
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エンジン
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最高出力(ps/rpm)
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最大トルク(kgm/rpm)
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変速機
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駆動方式
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sDrive18i
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N46B20B
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1,995
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直列4気筒DOHC
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150/6,400
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20.4/3,600
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6速AT
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後輪駆動
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sDrive20i (2012年 - )
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N20B20A
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1,997
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直列4気筒DOHCターボ
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184/5,000
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27.5/1,250-4,500
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8速AT
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xDrive20i (2011年 - )
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四輪駆動
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xDrive25i ( - 2011年)
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N52B30A
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2,996
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直列6気筒DOHC
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218/6,100
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28.6/2,500-3,500
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6速AT
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xDrive28i (2011年 - )
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N20B20A
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1,997
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直列4気筒DOHCターボ
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245/5,000
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35.7/1,250-4,800
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8速AT
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第2世代(F48型、2015年 - 2023年)
先代E84型は後輪駆動ベースであったが、当代では前輪駆動ベースに変更された。なお、世代交代に伴い、PCDも120から112に変更されている。同時に、四輪駆動システムも変更され、ビスカスカップリングを通じて前輪がスリップまたは車速に応じてビスカスカップリングが後輪に最適な駆動力を配分する仕組みとなる。X2の2018年モデルから導入された先進運転支援システム(ADAS)は第2世代X1には導入されなかった。
- 2015年6月3日、第2世代となるF48型X1の概要が発表された[10]。F55/56型ミニクーパーやF45/46型2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラーと共通のFF系プラットフォームが採用され、新世代のモジュラーエンジンが搭載された。これにより、全長は先代比30mm短くなったが全高は35mm高められ、後席の膝周りのスペースが37-67mm広くなるなど室内空間が拡大されている。1.5L直列3気筒又は2.0L直列4気筒のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンが用意され、6速MT又は8速ATが組み合わされる。「Standard」と、これに代わるオプションパッケージとして「Advantage」「Sport Line」「xLine」「Mスポーツ」が設定されている。
- 2015年10月16日、日本市場向けに発表された[11]。1.5L直列3気筒ガソリンエンジンを搭載する「sDrive18i」、2.0L直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する「xDrive20i」「xDrive25i」がラインナップされ、「Standard」のほか、「xLine」「Mスポーツ」のデザインラインが設定された。全車右ハンドルのみで、sDrive18iは6速AT、それ以外は8速ATを搭載している。
- 2016年4月、北京モーターショーにおいて中国向けのロングホイールベースモデルを発表した。モデルコードはF49が与えられている。標準モデルに対しホイールベースが110mm延長されて2780mmとなり、その延長分は主に後席の足元空間の拡大に使用している。グレードは「sDrive18Li」「sDrive20Li」「xDrive20Li」「xDrive25Li」が用意され、中国瀋陽にある華晨汽車との合弁工場にて生産される。
- 2016年9月23日、クリーンディーゼルエンジン搭載モデル「xDrive18d」の日本投入が発表された[12]。
- 2017年8月28日、「sDrive18i」のトランスミッションが6速ATから7速DCTに変更された[13]。
- 2019年10月3日マイナーチェンジ実施[14]。LEDヘッドライトや大型化したキドニーグリル、L字型テールライトを導入し、バンパーデザインなどを変更。従来の丸型フォグランプをLEDフォグライトそして横長に形状変更しバンパー内臓とした。内装面では大型化したタッチ機能付き10.25インチのディスプレイや携帯機器用のワイヤレスチャージング機能を標準装備とした。またオプション装備としてヘッドアップディスプレイを用意し、6色のLED照明で室内を演出するアンビエントライトも初搭載された。運転支援機能では、車線逸脱警告システムや前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキを含むBMWドライビングアシストを標準搭載したものの、ハンドル支援機能の搭載は見送られた。「xDrive25i」の2リットルガソリンエンジンは最高出力を231psに向上となった。
F48(2015年 - 2019年)/ F48LCI(2019年 - 2023年)
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グレード
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型式
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排気量(cc)
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エンジン
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最高出力(ps/rpm)
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最大トルク(kgm/rpm)
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変速機
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駆動方式
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sDrive18i
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B38A15A
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1,498
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直列3気筒DOHCターボ
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136/4,400
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22.4/1,250-4,300
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6速AT ( - 2017年8月) 7速DCT (2017年8月 - )
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前輪駆動
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xDrive18d (2016年 - )
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B47C20A
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1,995
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直列4気筒DOHCディーゼルターボ
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150/4,000
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33.7/1,750-2,750
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8速AT
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四輪駆動
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xDrive20i
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B48A20A
|
1,998
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直列4気筒DOHCターボ
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192/5,000
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28.6/1,250-4,600
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xDrive25i
|
B48A20B
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231/5,000
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35.7/1,250-4,500
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第3世代(U11型、2023年 - )
2023年2月、2.0ℓガソリンターボ車のほかEV仕様の「iX1」が同時に発売開始された[15]。のちほどマイルドハイブリッドを装備したディーゼルエンジンモデルの20dも追加発売された。内装面では、BMWカーブド・ディスプレイの採用や、iDriveコントローラーの廃止が行われた。ガソリンエンジンモデルの「X1 xDrive20i」には204ps/300Nmを発揮する4気筒2リットルターボエンジンと7速ツインクラッチのDCTが組み合わされた。EVの「iX1 xDrive30」には、190ps/ 247Nmを発揮するモーターが前後に2基装備されて4WDとされ、272ps/494Nmのシステム出力を発揮し0-100km/h加速5.6秒を記録する。車体下部に66.5kWhのリチウム電池を搭載し、満充電465kmの走行が可能であった。Mスポーツモデルは通常モデルと同価格で用意され、可変容量ダンパーであるアダプティブMサスペンションが装備され、通常モデル比で20ミリ低い車高となっている。X1としては初の3眼カメラが装備され、レーダーとの同時処理によりアクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)、レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)、レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)、衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)、クロス・トラフィック・ウォーニング、ペダル踏み間違い急発進抑制機能、パーキング・アシスタント、リバース・アシスト機能などが標準装備された。ディーゼルエンジン搭載車は全車4WD搭載となっている。ガソリンエンジンモデルの「X1 sDrive18i」はFFモデルで7速DCTではなく8速のステップトロニック変速機が組み合わされる。搭載されるiDriveのOSは、発売当初ID8であったが、のちに8.5、2024年までにID9に変更されている。
脚注
関連項目
外部リンク