BMW 1シリーズ (F40)
BMW 1シリーズ (BMW 1 Series, BMW 1er)は、ドイツ の自動車メーカー・BMW が製造・販売している自動車 である。
概要
Cセグメント に属しており、かつてBMWのエントリーモデル であった3シリーズコンパクト の後継を担っている。
他社のCセグメント 車は、室内容積などの実用面を重視して、駆動方式に横置き FF を採用しているのに対し、初代・2代目の1シリーズは走行性能の追求のため、フロントアクスルとリアアクスルへの荷重をほぼ50:50の均等に配分することにこだわり、縦置き FR を採用していた。
3代目は、MINI や2シリーズツアラー(F45 /F46 )で培われた技術を活用した横置きFFで開発され[1] 、2019年 に販売が開始された。
BMW CS1 Concept
CS1 Concept
2002年、デザイン開発コンセプトモデルの「BMW CS1 Concept」が公開された。スタイリングは下記の市販車とは異なるオープンエア ・2ドア・4シーターで、直列4気筒 1,796 ccのエンジンを搭載していた。
初代(2004年 - 2011年)E81型 E82型 E87型 E88型
ハッチバック (E87/E81)
2004年にドイツで発表。開発時のデザイン部長はクリス・バングル 。基本プラットフォーム をE90型3シリーズと共有する。当初は5ドアモデルのみで、モデルコードはE87 である。同年9月22日に日本向けに発表され、10月9日から「120i」の販売を開始、「118i」「116i」は予約受付が開始された。「118i」「116i」は2005年3月ごろの納車と案内された。「116i」は1.6 L直列4気筒エンジン、「118i」「120i」は2.0 L直列4気筒エンジンを搭載し、6速AT が組み合わされている。生産は、ドイツのレーゲンスブルク 工場で、日本仕様は全て右ハンドル仕様のみ。
2005年10月4日、3.0 L直6 エンジンを搭載したフラッグシップモデル 「130i」が追加された。右ハンドル、6速MT のみの設定。日本では「M Sport」が標準で装着される。あわせて、「116i」「118i」「120i」にも「M Sport」パッケージがオプション設定された。
2006年4月20日、「130i」に6速ATモデルが追加された。ステアリング にはパドルシフト が装備され、変速時間を短縮した「スポーツAT」を採用。
2007年1月、ドイツでフェイスリフト モデル (E87LCI) が発表され、同時に3ドアモデル (E81 ) が追加された(日本未導入)。キドニーグリル が大きくなり、フォグランプ 形状も丸型から四角形に変更。それに伴いフロントバンパー 開口部も変更されている。「120i」「118i」には新開発の直列4気筒エンジンが搭載された。
2007年5月24日、フェイスリフトモデルが日本で正式発表された[2] 。日本仕様では「118i」は廃止され、「116i」「120i」は引き続き従来型のエンジンが搭載されている。
2010年5月25日、日本仕様車のエンジンを新型に切り替えることが発表された[3] 。その際、130iにおいては当時の新型でリーンバーン直噴を採用したN53型の搭載は見送られ、引き続きポート噴射のN52エンジンが若干のパワーダウン等の小変更を受けて採用された。
E87(2004年 - 2007年)/ E87LCI(2007年 - 2011年)
グレード
型式
排気量 (cc)
エンジン
最高出力 (ps/rpm)
最大トルク (kgm/rpm)
変速機
駆動方式
116i(2004年 - 2010年)
N45B16A
1,596
直列4気筒 DOHC
115/6,000
15.3/4,300
6速AT
後輪駆動
116i(2010年 - 2011年)
N43B16A
1,597
122/6,000
16.3/4,250
118i(2004年 - 2010年)
N46B20B
1,995
129/5,750
18.4/3,250
120i(2004年 - 2010年)
156/6,400
20.4/3,600
120i(2010年 - 2011年)
N43B20A
170/6,700
21.4/4,250
130i(2006年 - 2010年)
N52B30A
2,996
直列6気筒 DOHC
265/6,600
32.1/2,750
6速AT/6速MT
130i(2010年 - 2011年)
258/6,600
31.6/2,600-3,000
E81 118d 3ドア
E87 130i インテリア
E87 130i 3 L直6エンジン
E87 Mスポーツ専用エアロ
E87 Mスポーツ可変マフラー専用バンパー
クーペ (E82)/カブリオレ (E88)
120iカブリオレ (E88)
135iクーペ (E82)
2007年7月、2008年春にクーペ モデル (E82 ) をアメリカ、欧州市場に投入することを発表。2007年10月、カブリオレ (E88 ) がドイツで発表された。4人乗りのオープンモデルで、ファブリック製の電動開閉式ソフトトップを採用している。
2008年2月26日、クーペモデルが日本向けに発表された[4] 。3.0L直列6気筒ツインターボエンジンを搭載する「135i」が設定された。トランスミッションは6速MTが標準、6速ATは予約受注という形が採られた。Mスポーツパッケージが標準装備であった。同年3月26日、カブリオレが日本向けに発表された[5] 。2.0L直列4気筒エンジンに6速ATが組み合わされる「120i」のみが用意された。
2010年5月25日、クーペモデルに「120i」が追加投入された[6] 。また、「135i」はエンジンが変更されるとともに6速ATが7速DCT に変更された[7] 。
2011年6月20日、フェイスリフトモデル(E82LCIおよびE88LCI)が日本で発表された[8] 。
2014年、クーペ及びカブリオレの後継モデルが「2シリーズ 」として発売された。
E82/E88(2008年 - 2011年)/ E82LCI/E88LCI(2011年 - 2014年)
グレード
型式
排気量 (cc)
エンジン
最高出力 (ps/rpm)
最大トルク (kgm/rpm)
変速機
駆動方式
120iカブリオレ(2008年 - 2010年)
N46B20B
1,995
直列4気筒 DOHC
156/6,400
20.4/3,600
6速AT
後輪駆動
120iカブリオレ/クーペ(2010年 - 2014年)
N43B20A
170/6,700
21.4/4,250
135iクーペ(2008年 - 2010年)
N54B30A
2,979
直列6気筒 DOHCツインターボ
306/5,800
40.8/1,300-5000
6速AT/6速MT
135iクーペ(2010年 - 2014年)
N55B30A
直列6気筒 DOHCターボ
306/5,800
40.8/1,200-5000
7速DCT /6速MT
2代目(2011年 - 2019年)F20型
118i (F20) リア
118d (F20LCI) リア
2011年6月5日に発表[9] 。欧州市場では同年秋から販売を開始した[10] 。先代よりホイールベースを30 mm延長し2,690 mmとした。全車アイドリング ストップ機構を搭載。またブレーキ・エネルギー回生システムを採用し燃料消費量の低減をはかっている。さらに、メルセデス・ベンツ・W220 が最初に導入し世界中のメーカーが追従していたウインカー 内蔵ドアミラー をBMWで初めて採用した。
ボディは当初は5ドアのみで、ガソリン車は「116i」と「118i(日本では120i)」、ディーゼル車は「116d」、「118d」、「120d」があり、それぞれに標準、Sport Line(日本ではSport)、Urban Line(日本ではStyle)の3タイプが用意され、それぞれ外観、内装、装備内容が異なる。2012年5月には3ドアバージョンと「114i」「M135i」を追加。3ドアのモデルコードはF21。また中国専売のセダンタイプも存在する。「M135i(LCI後はM140i)」以外の全車にランフラットタイヤ を標準装備している。
日本では2011年9月22日から「116i」「120i」の販売が開始された[11] 。エンジンはどちらも同じN13B16A型1.6 L 直列4気筒 ターボエンジンで出力のみ異なる。日本仕様は全て右ハンドル仕様である。トランスミッションは新開発の8速AT のみ。SportにはMスポーツ・サスペンション をメーカーオプション設定。非装着車の最低地上高が140 mmなのに対し、装着車は125 mmとなる。
2012年8月1日から「M135i」の日本での販売が開始された[12] 。エンジンは初代と同形式のN55B30A型だが、BMW M による更なるチューニングがなされ14 psアップの320 psを発生。日本仕様ではトランスミッションは8速スポーツATのみ。「M135i」は、M Performance Automobiles(M3やM5などの「BMW Mモデル」と標準モデルとの間に位置するモデル)の日本における最初のモデルとなる。なお、先代にあったクーペ及びカブリオレは2シリーズとして登場することから用意されない。
2015年にはフェイスリフトが施され、フロント及びリアの意匠が改良されたほか、新開発の直列3気筒 エンジンを搭載したモデルが追加された。日本向けには2015年5月14日にフェイスリフトモデルの発表が行われ「118i」「120i」「M135i」の3モデルが用意された[13] 。当初「118i」はフェイスリフト前の「116i」と同じ4気筒エンジンを搭載していたが、2015年8月24日に「118i」のエンジンを3気筒エンジンに切り替えることが発表された[14] 。
2016年5月、日本市場にディーゼルエンジン搭載モデル「118d」が追加投入された[15] 。
2017年8月23日、日本仕様車がマイナーチェンジ。内装をよりモダンで洗練されたデザインに一新。ハイグロス・ブラックを使用した新デザインのセンター・コンソールや、新作のインスツルメント・パネルを採用し、トリムに上質なクロームメッキ加飾を追加している。新デザインのグローブ・ボックスやセンター・コンソールを採用して、その周辺パネルの継ぎ目を最小限に抑えることにより室内空間をより広くワイドな印象にし、素材も高品質なものへ変更し、質感も向上させている。装備面においては、ユーザーの利便性を向上させるため、タッチ・パネルに対応したコントロール・ディスプレイを採用した。また、HDD ナビゲーション・システムのメニュー画面が、先行している他シリーズ同様により見やすく、操作しやすい表示へ改良されている[16] 。
F20(2011年 - 2015年)
グレード
型式
排気量 (cc)
エンジン
最高出力 (ps/rpm)
最大トルク (kgm/rpm)
変速機
駆動方式
116i
N13B16A
1,598
直列4気筒 DOHC ターボ
136/4,400-6,450
22.4/1,350-4,300
8速AT
後輪駆動
120i
170/4,800-6,450
25.5/1,500-4,500
M135i
N55B30A
2,979
直列6気筒 DOHC ターボ
320/5,800
45.9/1,300-4,500
F20LCI(2015年 - )
グレード
型式
排気量 (cc)
エンジン
最高出力 (ps/rpm)
最大トルク (kgm/rpm)
変速機
駆動方式
118i( - 2015年8月)
N13B16A
1,598
直列4気筒 DOHC ターボ
136/4,400-6,450
22.4/1,350-4,300
8速AT
後輪駆動
118i(2015年8月 - )
B38B15A
1,498
直列3気筒 DOHCターボ
136/4,400
22.4/1,250-4,300
118d(2016年 - )
B47D20A
1,995
直列4気筒DOHCディーゼル ターボ
150/4,000
32.6/1,500-3,000
120i( - 2016年)
N13B16A
1,598
直列4気筒DOHCターボ
177/5,000
25.5/1,500-4,500
120i(2016年 - )
B48B20A
1,998
184/5,000
27.5/1,350-4,600
M135i( - 2016年)
N55B30A
2,979
直列6気筒 DOHCターボ
326/5,800
45.9/1,300-4,500
M140i(2016年 - )
B58B30A
2,977
340/5,500
51.0/1,520-4,500
3代目(2019年 -)F40型
BMW・1シリーズ(第3世代)F40
F40 118i M Sport フロント
F40 118i Play リア
F40 118i M Sport 内装
概要 製造国
ドイツ 販売期間
2019年5月 - ボディ 乗車定員
5人 ボディタイプ
5ドアハッチバック 駆動方式
FF プラットフォーム
BMW・FAAR パワートレイン エンジン
1.5L直列3気筒 1.5L直列3気筒ディーゼル 2.0L直列4気筒 2.0L直列4気筒ディーゼル 変速機
6速MT 8速AT 7速DCT 車両寸法 ホイールベース
2,670 mm 全長
4,319 mm(欧州仕様) 4,355 mm(日本仕様) 全幅
1,799 mm(欧州仕様) 1,800 mm(日本仕様) 全高
1,434 mm(欧州仕様) 1,465 mm(日本仕様) 車両重量
1,290–1,525 kg テンプレートを表示
2019年 5月27日、ミュンヘン で開催された「BMW Group #NEXTGen presentation platform」にてワールドプレミア 。
同年9月、日本を含めた複数の市場で発売を開始すると発表された。
「1シリーズの購入層の多くは駆動形式に拘っていない」という顧客調査の結果[17] を元に、走りと空間効率を高次元で両立させるためシリーズ初となるFF を採用した。同時に、プラットフォームはMINIや2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー等で採用済の「UKL」をさらに昇華させた新開発の「FAAR」を採用。
FFの採用により、後部足元のスペースが約40mm広くなり、より乗降しやすくなるなど、室内空間の機能性が大幅に改善された。また、ラゲッジ・ルームの容量は20L増加した380Lとなり、後席を倒すと最大1,200Lまで拡大する。
エンジン・コントロール・ユニットで直接スリップ状況を感知し、ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)を経由することなく、以前より約3倍の速さでその信号を直接エンジンに伝達するタイヤスリップ・コントロール・システム(ARB)を、BMWとしては日本初搭載した。これにより、FF特有のアンダー・ステアを大幅に抑制し、より俊敏な走りを実現している。
アルミニウム製のエンジン・フードを採用した最新世代の直列3気筒および直列4気筒エンジンと、高張力鋼とアルミニウムを効果的に組み合わせた骨格により、ボディ剛性を確保しながら最大30kgの軽量化を実現している。
デザイン面では、大型化し中央部が連結した新世代デザインのキドニー・グリルと、くっきりとしたデザインの4灯ヘキサゴナルLEDヘッドライトを採用した。リアは、低重心なシルエットに、新デザインのL字型テール・ライトが特徴である。
5.1インチのメーター・パネル・ディスプレイ及び8.8インチのコントロール・ディスプレイに加えて、オプションで10.25インチのディスプレイを2つ備えたBMWライブ・コックピットや、大型化したBMWヘッドアップ・ディスプレイが用意される。さらに、Qi対応の機器を充電できるワイヤレス充電機能を標準装備としたほか、「OK, BMW」で起動する、AIを活用した新開発の「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」も新たに装備した。
運転支援機能として、新たにレーン・チェンジ・ウォーニング、後部衝突警告機能、クロス・トラフィック・ウォーニング(リア)、スピード・リミット情報表示機能が追加されたドライビング・アシストを装備した。さらに、直近に前進した50mの軌跡を記憶し、その軌跡通りに後退する際に、ステアリング操作を自動で行う「リバース・アシスト」を備えたパーキング・アシストも用意されている。
F40(2019年 - )
グレード
型式
排気量 (cc)
エンジン
最高出力 (ps/rpm)
最大トルク (kgm/rpm)
変速機
駆動方式
116i(2022年9月 - 2024年2月)
B38A15A
1,498
直列3気筒 DOHCターボ
109/4,300-6,500
19.4/1,380-3,800
7速DCT
前輪駆動
118i(2019年11月 - )
140/4,600
22.4/1,480-4,200
118d(2020年4月 - )
B47C20B
1,995
直列4気筒 DOHCディーゼル ターボ
150/4,000
35.7/1,750-2,500
8速AT
M135i xDrive(2019年11月 - )
B48A20E
1,998
直列4気筒DOHCターボ
326/5,000-6,250
45.9/1,750-4,500
四輪駆動
脚注
関連項目
外部リンク