AROS Research Operating System (AROS 、アロス)は、AmigaOS 3.1 API のオープンソース かつフリーソフトウェア の実装である。柔軟で移植性の高い設計となっており、x86 ベースおよびPowerPC ベースのパーソナルコンピュータ でネイティブOS としてもゲストOSとしても利用でき、他のアーキテクチャ 向けも開発中である。
名称
AROSは "Amiga Research Operating System" の略だったが、Amiga という商標の使用が問題とされ[ 1] 、再帰的頭字語 の "AROS Research Operating System" に変更となった[ 2] 。
現在の状況
AmigaOSファミリの開発ツリー図
1995年 に始まったこのプロジェクトは、何年もかけてAmigaOSのほぼ完全な実装となった(2008年10月現在、ごくわずかな機能が欠けている)。これは少数の開発チームの努力によって達成された。
ほとんどのPC/AT互換機 にインストールでき、NVIDIA 製のGeForce シリーズなどのビデオカード用ドライバも備えている。2007年5月にはUSBキーボード/マウスもサポートした。ACube Systems のPowerPC ボード SAM4404EP にも移植されており、Efika への移植も計画されている。
アプリケーションの移植は少なく、68kネイティブのAmigaOS用アプリケーションを動作させるためのエミュレータ E-UAE がある。これは AmigaOS 4.0 とも同じ状況である。AROS専用のアプリケーションもいくつか存在する。AROSはTCP/IP ネットワークをサポートしており、試験的にウェブブラウザのAMosaic などのインターネット 関連アプリケーションが利用可能である。
AROSはAmigaOSとソースコード レベルでは互換だが、バイナリ 互換ではない。AmigaOS向けのソースコードをAROS上でコンパイル することで動作可能だが、AmigaOS用実行ファイルはたとえCPU が同じファミリであっても実行できない。つまり、MorphOS や AmigaOS 4 とは異なり、AROSは古いソフトウェアを直接実行することを目的とはしていない。AmigaOSのアプリケーションをAROS上で実行するため、AmigaエミュレータのE-UAEを統合する計画があり、PowerPC 用のAROS上でMorphOSを動作させるという試みもなされているが、2008年1月現在、どちらも完成していない。
AROSは、ハードウェアその他のしがらみから独立した立場をとることで、他のAmigaOS実装を悩ました法的・政治的な問題とは一線を画している。AROSの事実上のモットーは "No schedule and rocking" だが、これは Amiga, Inc. のCEO Bill McEwen が Amiga OS 4 について "On schedule and rocking"(スケジュール通りで問題ない)と言ったことへの皮肉である(実際には Amiga OS 4 は大幅に遅れた)。そして、同時に他のAmigaOSクローンでも度々破られている締め切りを設けないことを宣言したものでもある。
ディストリビューション
AROSのシステムファイル群は様々な形態でプロジェクトのサイトからダウンロードできる。それらのファイルはSubversion のソースツリーから毎夜コンパイルされビルド されている。これにはサードパーティのアプリケーションも含まれており、基本的タスクを実行するツールがそろっている。2007年11月から新たなディストリビューション icaros desktop (当初の名称はVmwAROS)が登場した。こちらはx86向け限定で、Live-DVD として使うこともできるし、事前設定した仮想機械 上で使うこともできる。
関連項目
脚注・出典
外部リンク