2018 VG18は、太陽系の外縁部を公転している太陽系外縁天体(TNO)の1つである[4]。2018年にすばる望遠鏡を用いて観測を行ったカーネギー研究所の観測チームによって発見された[1]。2018 VG18という名称は仮符号だが、発見した観測チームはファーアウト(Farout)という愛称を用いている[1][5]。
特徴
2018年11月10日にハワイのマウナ・ケア山にあるすばる望遠鏡による観測で初めて発見され[1]、同年12月17日に観測結果が発表された[5]。軌道長半径は95.2 auで太陽の周りを929年半かけて公転している。軌道離心率0.77の偏った楕円軌道を公転しているため、近日点では天王星軌道のやや外側に相当する、太陽から22 auの距離にまで接近するが、遠日点では168 auまで遠ざかる[4]。しかし、発見チームの1人スコット・S・シェパードは2018 VG18の公転速度があまりにも遅いため、正確な軌道要素を決定するにはまだ数年を要するだろうとしている[5]。
小惑星センター(Minor Planet Center)によると、発見された時点で2018 VG18は太陽から125~130 au離れており、これはそれまでに知られていた中で最も遠い距離に位置にあった準惑星のエリス(約96 au)より離れており、2018 VG18は当時知られていた中では最も太陽から離れた位置にある天体となった[1][5]。ちなみにこの距離は太陽系外縁部を飛行しているボイジャー2号(2018年12月18日時点で約119.4 au[6])やパイオニア10号(122.5 au)よりも遠い。しかし、その約2ヶ月後の2019年2月に太陽から約140 au離れているとされる天体の発見が発表されたことにより、現在では既知の最遠天体ではなくなっている。この天体は2018 VG18(Farout)よりもさらに遠くにあることから「FarFarOut」と呼ばれている[7][8]。その後、「FarfarOut」は2018 AG37と命名された。
2018 VG18を発見した観測チームは、これまで発見されている中では最も近日点距離が遠い2012 VP113や、理論上において存在が予言されているプラネット・ナインによって軌道が影響されている可能性が示されている2015 TG387(Leleākūhonua、通称ゴブリン)といった、太陽から遠く離れた太陽系外縁天体をいくつも発見しており、観測チームは「このような極端に太陽から離れた天体の発見は太陽系外縁部で何が起きているかを調べることを意味している」と述べている[5]。
11月のすばる望遠鏡による観測の後、チリのラスカンパナス天文台で2度目の観測が行われ、2018 VG18の明るさや色といった物理的特性が求められた[5]。2018 VG18の形状は球体で、直径は約500 kmと推定されており、これは2015年に発見されたV774104に匹敵する大きさである[1][5]。ピンクがかった色をしているとされ、これは一般的に氷を多く含む天体に見られる特徴である[5]。
脚注
注釈
- ^ (は半径)より計算。半径は250 kmとした。
- ^ (は半径) より計算。半径は250 kmとした。
出典
関連項目
外部リンク