食べログ(たべログ)は、カカクコムグループが運営するグルメレビューサイトである。コンセプトは「ランキングと口コミで探せるグルメサイト」。ユーザーの口コミと共に全国のレストラン情報が掲載されている。2005年3月にサービスを開始[1]。
食べログは主に下記の機能に分類されている。
投稿したコメントが全て掲載されるわけではなく、以下の口コミはお店ページに表示されない。
また、以下の場合等には、ガイドライン違反であるとして食べログ側が修正を依頼したり、削除する場合があるとしている。
店舗への口コミ採点は5点満点中3点を基準点としておりユーザーの口コミ採点により上下変動する(ただし、各ユーザーはそれぞれの基準で点数を設定しているため、各ユーザーのレビューにおいて3点が必ずしも平均的な点数というわけではない)。
採点に関する厳密な計算式は食べログより公開されていない。食べログはかねてより店舗の評価点はレビュアーの単純平均ではなく加重平均であることを明らかにしていた[5]が、2019年に点数操作疑惑に対する反応としてレビュー点数の扱いに関する詳細な説明を行い[6]、不正対策のため純粋な加重平均より複雑なアルゴリズムを採用していることを明らかにした[7]。
店舗の点数算出は毎月第1火曜日と第3火曜日の原則月2回更新される[7]。したがって、レビュアーの採点が店舗の評価として反映されるまで口コミ投稿日から最長約2週間程度のタイムラグが発生する。
2012年3月1日、「レビューのやらせ問題(後述)」への対策として、点数算出アルゴリズムの大幅な見直しが行われた[8]。
評価点の偏りを検証したサイトにより、3.6付近の評価が異常に多く、3.8を超える評価は極端に少ないと、評価点の分布に偏りがあることが判明している[9]。
2012年1月4日、ユーザーが自由に投稿できることを悪用した業者によるクチコミを装ったやらせ評価(業者に対して金銭を払えばその対価として5点満点を大量に付けるなど)が行われていたことが発覚した。カカクコムは悪質な業者に対しては法的措置などで排除に力を入れるとしているが、やらせを完全に排除するのは困難であるとも述べている[12][13]。1月5日、この問題を受けて消費者庁は不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法、不当表示)に基づき調査を行ったが[14]、やらせに関わった業者に対して行政処分を科すのは非常に難しいとの見解を示した[15]。3月1日、カカクコムはやらせ評価への対応策として「食べログ」へのレビューに際して、レビュアーの実在性の確認としてレビュアー任意での携帯電話番号での認証[16]を行うこと、点数算出アルゴリズムの大幅な変更を行ったことを発表した[8]。
2013年(平成25年)5月8日、ユーザー投稿型の飲食店情報サイト「食べログ」に書き込まれたクチコミで「客が激減した」として、札幌市内の男性が運営会社を相手取り、札幌地方裁判所に提訴した。
この男性は2012年(平成24年)2月、自ら食べログに経営する飲食店の情報を掲載した。ところがそこに「料理が出てくるのが遅い」「おいしくない」と いった批判的なクチコミを書き込まれてしまった。直後に店を訪れる客は激減、男性は食べログが原因と考え、店情報そのものを含めて投稿を削除するようカカクコムに求めたが、「食べログ」が拒否したため、店舗情報が掲載されたページに経済的価値があるため店舗名称を使用しているとして店舗情報の削除、および損害賠償220万円の支払いを求める訴訟に至った[17]。
2014年(平成26年)9月4日、札幌地裁は「本件店舗や本件サイトの運営主体の特定や識別を困難にするものではないから,冒用には当たらない」[18] 「口コミは営業権の侵害に当たらず、原告の要求を認めれば表現行為や情報が恣意的に制限されることになる」として、男性の請求を棄却した[19]。
店側が掲載を望まないにもかかわらず自店が食べログに掲載されたことにより、訴訟に発展した例がある。
週刊文春2017年(平成29年)6月8日発売の6月15日号において、食べログ内での有名レビュアー「うどんが主食」が特定の飲食店より過剰接待を受けているとの記事が掲載され、それを受けて同年6月11日該当レビュアーは食べログ内の全てのレビューを削除もしくは非表示とした[25][26]。 なお、その後に同人物の多くのレビューが修正を加えた上で再掲載された。レビュアーは今回の騒動について友人の店についてレビューしただけと釈明した上で、「友人の店は誤解を招く恐れがあるので今後一切レビューしない」と述べた。
食べログの点数・ランキング付与の基準として前述の通り「ユーザー影響度」と称する加重平均があり、レビュー数の多いレビュアーの影響が大きいため、報道時点で1000件以上のレビュー数のあった該当レビュアーの点数に対する影響度は大きく、今回の報道となった。
Twitterにおいて飲食店関係者を名乗るアカウントにより、年会費を支払えば評価を上げる、レビュー削除に応じるなどの営業電話がかかってきたというツイートがなされている。
カカクコムはこの疑惑を否定しているが[27]、2019年10月9日に公正取引委員会が飲食店情報サイトの実態調査を開始したことを明らかにした。飲食店情報サイトの具体名は明らかにされていないが、食べログも対象であると見られている[28]。
2019年5月より採点アルゴリズムが変更された影響によって店の評価が不当に下げられた。と飲食店から訴えられていた件に関し、カカクコム側はアルゴリズムを変更したことは認めた[29]。
この提訴について東京地方裁判所は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)違反(優越的地位の乱用)にあたるとして、2020年6月16日にカカクコムへ3840万円の損害賠償を支払いを命じる判決を下した[30]。
飲食店の「評価方法が不透明」という主張に反論するためにカカクコムはアルゴリズムを開示するという異例の手段を取ったが、カカクコムの反論は認められなかった[31]。
2024年1月19日、東京高等裁判所(木納敏和裁判長)は一審判決を破棄し、飲食店側の請求を棄却した。木納裁判長は「アルゴリズムを変更した目的は一般消費者の感覚と評価点のずれを是正することで合理性がある。優越的地位の乱用を禁じる独占禁止法には違反しない」と判断した。カカクコムが優越的地位にあり、変更で飲食店に不利益を与えたことは認めつつも、定期的なアルゴリズムの変更があり、それに伴って評価点が変動することはサイト上で公開されていると指摘。あらかじめ計算できないほどの不利益ではなかったと結論づけた[32][33]。
TableCheckの「グルメサイトに関する意識調査」によると、食べログを「店選びの基準になっている」と回答した人は17.3%でしかなかった[34]。