西原 和久(にしはら かずひさ、1950年 - )は、日本の社会学者。名古屋大学名誉教授、成城大学名誉教授、南京大学客員教授、成城大学グローカル研究センター客員研究員。専門は社会学理論、現象学的社会学、国際社会学、平和社会学研究など。日本社会学理論学会(元会長)、国際社会科学団体連盟(IFSSO:元副会長)。日本社会学会(元国際交流委員長)、日中社会学会、日本社会学史学会、関東社会学会、東海社会学会、移民政策学会、東アジア社会学会(EASA:Transnational Sociology部会長)などの理事を歴任した。
マックス・ヴェーバーの支配社会学の検討(卒業論文)から研究を開始し、ヴェーバー社会学の理解概念と行為概念の再検討(修士論文)を経て、アルフレッド・シュッツの現象学的社会学の研究に従事。1990年代~2000年代にかけて、廣松渉研究と差別論・権力論研究に注力し、間身体性を含む「間主観性」論の展開を柱とした社会理論系の著作を刊行。ただし、2000年代初頭のマンチェスター大学での在外研究以後は、アジア太平洋にフォーカスして、国家をこえる越境者(移民・外国人労働者など)に着目するようになったようだ。長野の山村、震災後の宮城の漁村における外国人労働者調査、およびカナダをはじめとする南北アメリカ等への日系移民調査を経て、2010年代には、ハワイ沖縄系移民の検討を契機に沖縄研究(とくに沖縄知識人の社会理論研究)に注力。その成果の一端は、間主観性論とともに、国家を超える人びとの繋がりに着目する「トランスナショナリズム論」というかたちで示されている。現在は、米軍基地問題などへの対応も含めて「東アジアにおける平和と共生」のためのトランスナショナルな連携を模索し、「砂川平和ひろば」の活動と、「砂川平和しみんゼミ」を主宰しながら脱国家的志向を明確にした平和社会学研究を志し、「平和社会学研究センター」の設立に努力している。