裳華房(しょうかぼう)は、日本の出版社。主に、数学・物理学・化学・生物学・工学といった自然科学関係の教科書や演習書、専門雑誌を出版する。理工系の学生や研究者、技術者、中学校や高等学校の理科教師にはなじみが深い。『ポピュラー・サイエンス』シリーズに代表される一般向けの科学啓蒙書の出版も手がける。
沿革
創業は非常に古く、1700年代前半にはすでに仙台藩の御用板所として活動していた[2]。当時より算術や暦、気象などに関する書物を出版していた[2]。その頃の出版物としては『早割日用算法記』(文化2年)、『推命書』(天保2年)、『萬延二辛酉暦』(万延元年)、『文久四年甲子歳晴雨考』(文久3年)などがある[2]。
明治期の半ばに10代目の吉野兵作が仙台より上京して、明治28年(1895年)2月11日、東京府日本橋区本石町三丁目十三番地(現在:東京都中央区日本橋四丁目一)に「合名会社 裳華房」を設立する[2]。東京に開業後に手がけた伝記の『林子平』(明治29年)をはじめとする「偉人史叢」シリーズが好評を博す[2]。
以降の代表的な出版物には、『札幌農学校』(明治31年)、新渡戸稲造『BUSHIDO(武士道) The Soul of Japan』(明治33年)および『農業本論』(明治31年)、松村松年『日本昆虫学』(明治31年)、『日本医学史』(明治37年)、池野成一郎『植物系統学』(明治39年)、月をテーマにした本『月』(明治42年)、原島善之助『産馬大鑑』(明治41年)、竹内端三『函数論 上・下』(大正9年)、鮫島實三郎『膠漆学』(昭和9年)、柴田雄次『分光化学』(昭和19年)などがある[2]。
2022年には早稲田大学と慶應義塾大学による「早慶和書電子化推進コンソーシアム」の実験プロジェクトに参加した[3]。
発行雑誌
- 日本材料科学会 『材料の科学と工学:日本材料科学会誌』。ISSN 1347-4774。
- 日本材料科学会 『材料科学:日本材料科学会誌』。ISSN 0388-3930。
※ 2002年の第38巻6号まで。第39巻1号より前掲の『材料の科学と工学』に誌名変更。
- 遺伝学普及会 『遺伝:生物の科学』。ISSN 0387-0022。
※ 裳華房からの発行は第59巻6号(2005年11月号)をもって終了。第60巻1号(2006年1月号)よりエヌ・ティー・エスから発行。
- 遺伝学普及会 『遺伝:生物の科学 別冊』。ISSN 1340-7376。
※ 裳華房からの発行は18号(2005年4月)をもって終了。19号(2006年10月)よりエヌ・ティー・エスから発行。
増刷表示の変更
2009年3月まで増刷ごとに版数を更新していたが、2009年4月から刷数の更新となった。
脚注
- ^ a b c d “会社紹介”. 裳華房. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e f “歴史”. 裳華房. 2024年1月7日閲覧。
- ^ “大学図書館向けのコンテンツ拡充と電子書籍の新たなビジネスモデル構築を目指す「早慶和書電子化推進コンソーシアム」発足”. 慶應義塾大学 (2020年10月20日). 2024年1月7日閲覧。
外部リンク