秘密基地(ひみつきち)とは、一般には秘密となるように建設または設置された基地のことを指す。
地形を利用したり、カモフラージュを施したりして建設する大掛かりなものから、アパートの一室にそれとなく入ってしまうものまで、さまざまな規模のものがある。
反政府組織などが、ひそかに扇動活動を行う拠点をアジテーティング・ポイント(Agitating point) と呼び、これを日本語ではアジトと略して使用される[1]。
また、子供の間で、部外者に知られたくない秘密の遊び場の意味でこの語を使うことがある。
現実世界では、軍事組織、諜報機関、過激派等の秘密の活動拠点という意味で通俗的に用いられる。ここでは、当事者が広く知られたくない活動が行われる。具体的には極秘技術の開発、民兵組織、スパイの育成及び活動、長期間にわたる監視・諜報活動(諜報機関が置く“隠れ家”に関しては特に「セーフハウス」と呼ばれる)、外部からの逃亡者・犯罪者を匿うなどであるとされる。有名なものとしては、高度経済成長期の日本において極左暴力集団がテロ活動の拠点としたいわゆる「非公然アジト」がある。
これらの形態は、資金力等に左右され、大は巨額の資金をかけ大掛かりに建設しているものから、小はアパートの一室に設置しているものまで多種多様である。
スーパーヒーローが登場するフィクションにおいては、ヒーローに分類される側の秘密の活動拠点、あるいは逆に悪役(ヒール)に分類される側のそれを指す言葉として用いられる。基地の形態としては、カモフラージュされた巨大な地下施設であったり、外部からそれとわからないように一般のオフィスなどが改造されていたりするものも多い。世界的に著名な作品における「秘密基地」には以下がある。
フィクションにおける秘密基地は子供心に強く訴える魅力があり、日本では一般家庭にまでテレビが普及した1960年代頃から模型化されてヒット作となった。ただし、最上級の大型キットは子供にとっては高額なため、実際に購入した者は比較的少数で、どちらかと言えば「高嶺の花だが、いつか入手したい憧れの模型」として語られる存在でもあった。代表的な物としては「サンダーバード秘密基地」「スペクトラム基地」等のSF作品が多いが、中には永大の「ドイツ軍秘密基地」の様な、ジオラマ基調のミリタリースケールモデルも存在した。
本項目の「秘密基地」は、上記に掲げるものを模して子供たちが作る秘密の遊び場を指す。子供たちは、隠れることにより生存能力を鍛えている[6]。こういった行動は、11歳以下ごろまでで、二人以上のメンバーで多く見られる[7]。
仲間内では大人や部外者(友達でも仲間という約束を交わしていない者)へは、その存在や場所を秘密にする約束が交されることも少なくないが、必ずしも「秘密」であることにこだわらず、大人からみれば単に彼らが集まる場所に過ぎないことも多い。
このような秘密基地となりえる場所は、公園の隅や空き地などであるが、「秘密基地」という、周囲には知られたくない気持ちをより昇華すべく、廃墟となった建物、工事現場、資材置き場などといった、いわゆる危険な場所に作ることもある。これは危険な場所に立ち入ってはならないという禁忌を犯すことで快感を得るという意味もある。地域によっては若衆宿のごとく子供を社会的に成長させるため、子供に察せられない様に大人が管理するものもある。
また、屋内(多くは自宅内)の狭隘な場所、例えば押入れ、納戸、倉庫や土蔵などに1人又は兄弟で作ることもある。
アメリカの少年の冒険と仲間たちの友情をテーマにした映画『スタンド・バイ・ミー』では、木の上に秘密基地があり、カードゲームに興じたりする場面が描写されている。また、同じく『トム・ソーヤーの冒険』では、洞窟の中に秘密基地を作る設定になっており、内部には金貨や武器弾薬や子供の玩具があり、誘拐した人質を幽閉するトムの未来の夢もある。
また『20世紀少年』『ライチ☆光クラブ』など秘密基地自体がキーワード、舞台として登場する作品もあるが、この二作品は秘密基地が作った本人達に悲惨な結果をもたらしてしまう特徴がある。
『探偵!ナイトスクープ』2011年1月28日放送分では、大阪の男子小学生から届いた「秘密基地を作りたい」という依頼が採用された。高槻森林観光センター内の敷地に、桂小枝探偵や工務店の職人らの協力のもと、現実に秘密基地を作った。