特別会計(とくべつかいけい)とは、日本の国または地方公共団体の官庁会計において、一般会計とは別に設けられ、独立した経理管理が行なわれる会計のことをいう。
各特別会計ごとに予算をもち、一般会計における単一予算主義の原則に対する例外となっている。単一予算主義の原則とは、国・地方公共団体の会計について、すべての歳入・歳出などを単一の会計で経理する原則をいう。しかし、特定の歳入(特定の税収・特許料などの特定財源、財政投融資、特別公債・政府証券など)をもって特定の事業を行なう場合、この原則に固執すると、かえって個々の事業の収支損益や資金管理などが不明となり、好ましくない場合がある。そのようなことを避けるため、例外的に一般会計から切り離して独立の会計を設けて経理を行うのが特別会計である。もっとも、一般会計と特別会計相互の繰り入れもあるため、完全に独立しているわけではない。
令和6年度現在、国には13の特別会計があり、また、1つの特別会計の中でもさらに区分して経理する方が適切な場合には、それらを「勘定」として区分している。令和6年度年度当初予算において、特別会計の歳出額は約436.0兆円となっている。しかしこれは単純に各会計を足した総額であり、会計間の重複計上を除いた純計額は約207.9兆円である。更にうち89.7兆円ほどは国債償還費となっている[11]。
東日本大震災復興特別会計は、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省[13]の共管である。
国の特別会計は、
の3種のみが認められている(財政法13条2項)。
事業特別会計とは、特定の事業をおこなう場合に設置される。便宜上、企業・保険事業・公共事業・行政的事業・融資事業の5つの区分に分けることができる。
資金特別会計とは、特定の資金を保有してその運用を行う場合に設置される。主に財務省所管の特別会計であり、資金特別会計は2種類ある。
区分経理特別会計(または単純特別会計)とは、他の会計と区分する必要がある場合に設置される。区分経理特別会計には3種類ある。
種類については、国とほぼ同じである。
自治体の水道事業などは地方財政法により特別会計による独立採算が義務づけられている。
例:東京都の特別会計(18会計)(公営企業会計(9会計)を除く)(令和6年度予算)[14]
例:横浜市の特別会計(公営企業会計を除く)[15]
多くの特別会計は、原則として独立採算制をとっており、歳出予算の繰越し・公債の発行・借入金等についての財政法上制限に対する特例が法定されているが、歳入について一般会計からの繰り入れなどがあり、必ずしも特別会計が一般会計から完全に独立しているとはいえない。
経理科目として「勘定」がある場合がある。勘定は特別会計中の特別会計ともいえるように、さらに特定の事業について概ね所管部局ごとに独立した経理管理が行なわれている。歴史的には、後述の国における特別会計改革以前から、統合された元の個々の特別会計は統合先の特別会計の勘定科目として新設され、統合以前と同様に管理され、個々の勘定を元の特別会計名で呼ぶことがある(例:道路整備特別会計)。統合により同一会計内の他勘定との繰入れ・繰出し操作がしやすくなっている。
「行政改革の重要方針」として、平成17年12月24日、閣議決定されたものを述べる。
上記、閣議決定中の「特別会計合理化法案(仮称)」は2007年3月31日、特別会計に関する法律として公布され、2007年4月1日施行された(一部未施行)。このため、個々の特別会計を規定する根拠法が廃止され、特別会計は、特別会計に関する法律に一本化された。
平成20年度現在21ある特別会計を、「特別会計に関する法律」に基づき平成23年度までに17まで縮減される事が決まった。
地震再保険特別会計・国債整理基金特別会計・外国為替資金特別会計・財政投融資特別会計
交付税及び譲与税配付金特別会計
労働保険特別会計・年金特別会計
食料安定供給特別会計
特許特別会計
自動車安全特別会計
東日本大震災復興特別会計
エネルギー対策特別会計(文部科学省・経済産業省・環境省)
特別会計に関する法律