渋川駅(しぶかわえき)は、群馬県渋川市渋川辰巳町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)の駅である[1]。
三国街道宿場町として栄えた渋川市の中心駅で、利根川支流の平沢川南岸に位置する。伊香保温泉の最寄り駅であり、榛名山観光拠点となっていることから「伊香保温泉・榛名湖口」の副駅名がある[新聞 1]。
乗入路線
上越線を所属線[5]としており、吾妻線を加えた2路線が乗入れている。当駅は線路名称上での吾妻線の起点であるが、吾妻線列車は当駅から上越線に乗入れ全列車が新前橋駅まで、半数以上がさらに高崎駅まで直通している。なお、JR貨物は上越線にのみ第二種鉄道事業者として貨物列車を運行している。
特急草津・四万号が全列車停車する。2015年3月ダイヤ改正をもって在来線の特急はくたか号が廃止されたため、上越線の当駅以北の区間では定期特急列車は設定されていない。
歴史
当初鉄道院は、上越線を渋川の対岸である利根川左岸に通す計画を立案した[2]。そのため、渋川側が利根川の右岸を通る経路への変更と駅開設を働き掛け、当駅開設が実現した[2]。
年表
駅構造
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、計2面3線を有する地上駅[1]。両ホームはエレベーター併設の地下通路で連絡している。構内西側、単式ホーム(1番線)に隣接して置かれている駅舎は木造駅舎で、伊香保温泉の観光案内所も併設している。以前は0番線が存在しており、単式ホームにはその名残が見られる。
直営駅であり、管理駅として、上越線敷島駅・津久田駅及び吾妻線金島駅・祖母島駅を管理している。自動券売機、多機能券売機[4]、話せる指定席券売機[4]、自動改札機が設置されている。
のりば
(出典:JR東日本:駅構内図)
- 3番線は上下共用の副本線である。2024年1月22日現在では高崎方面行吾妻線・上越線一部列車及び高崎発当駅止まりの列車(到着後は回送)と両方向のSLぐんま みなかみ号が使用しており、水上・長野原草津口方面への普通列車の設定は無い。
- 2024年2月17日には高崎駅 - 当駅間で「ぐんま 伊香保号」が2往復設定された。高崎発は蒸気機関車(SL)、折り返しは電気機関車(EL)となる(ちなみに高崎支社管内にある蒸気機関車の転車台は、水上駅構内とぐんま車両センター構内のみである)[9]。
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改札口(2021年7月)
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地下道(2021年7月)
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ホーム(2021年7月)
貨物取扱
現在、JR貨物の駅は車扱貨物臨時取扱駅となっており、貨物列車発着は無い。かつては、旅客ホームの東側に1面1線のコンテナホームや留置線、関東電化工業の石油・化学薬品荷役線等があった。ホームでは横浜本牧駅発送で関東電化工業渋川工場で使用する工業用塩化ナトリウム(化学薬品原料となる)を降ろしダンプカーに移し替えていた。しかし渋川工場での苛性ソーダや塩酸等を生産する電解事業が中止されたため、JR貨物UM30S形コンテナを使用した、通称:塩コキ(以前は塩トラ、国鉄トラ70000形貨車使用)と呼ばれた塩運搬は廃止された。
それ以前は、駅南東にある大同特殊鋼渋川工場や日本カーリット群馬工場へ至る専用線も分岐していた。
利用状況
旅客
JR東日本によると、2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は2,863人である[旅客 1]。
2000年度(平成12年度)以降の推移は以下の通り。
乗車人員推移
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年度
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1日平均 乗車人員
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出典
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2000年(平成12年)
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3,997
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[旅客 2]
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2001年(平成13年)
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3,926
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[旅客 3]
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2002年(平成14年)
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3,779
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[旅客 4]
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2003年(平成15年)
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3,643
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[旅客 5]
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2004年(平成16年)
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3,585
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[旅客 6]
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2005年(平成17年)
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3,563
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[旅客 7]
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2006年(平成18年)
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3,486
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[旅客 8]
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2007年(平成19年)
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3,482
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[旅客 9]
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2008年(平成20年)
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3,608
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[旅客 10]
|
2009年(平成21年)
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3,565
|
[旅客 11]
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2010年(平成22年)
|
3,515
|
[旅客 12]
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2011年(平成23年)
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3,428
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[旅客 13]
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2012年(平成24年)
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3,486
|
[旅客 14]
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2013年(平成25年)
|
3,506
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[旅客 15]
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2014年(平成26年)
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3,421
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[旅客 16]
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2015年(平成27年)
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3,441
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[旅客 17]
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2016年(平成28年)
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3,407
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[旅客 18]
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2017年(平成29年)
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3,453
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[旅客 19]
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2018年(平成30年)
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3,394
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[旅客 20]
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2019年(令和元年)
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3,263
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[旅客 21]
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2020年(令和02年)
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2,327
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[旅客 22]
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2021年(令和03年)
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2,529
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[旅客 23]
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2022年(令和04年)
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2,719
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[旅客 24]
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2023年(令和05年)
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2,863
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[旅客 1]
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貨物
「渋川市統計書」によると、貨物輸送の推移は以下の通り。
貨物輸送推移
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年度
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発送
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到着
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出典
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2001年(平成13年)
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26,187
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29,424
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[7]
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2002年(平成14年)
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21,892
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29,513
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2003年(平成15年)
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20,525
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28,227
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2004年(平成16年)
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20,718
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36,567
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2005年(平成17年)
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9,004
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11,160
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駅周辺
駅周辺は渋川市市街地である。駅前広場が整備されており、伊香保温泉等付近の各温泉へのバス等が発着する。
新町五差路までの約300mの駅前通りは約50店からなる商店街として昭和50年代までは公共交通を利用して買い物客を集めていた[新聞 2]。
しかし、時間貸しの駐車場が少なく買い物客などの車での利便性が低いこと等もあり[新聞 3]、郊外の大型店との競合で衰退して2015年(平成27年)5月時点で約30%が空き店舗となった[新聞 2]。
そのため、市が出店する際の店舗改修費補助制度を作って商工会議所と協力して新規出店者を招致した他、時間貸し市営駐車場や渋川地区物産振興協会の「しぶかわ名産品センター」等の開設等を行い、テコ入れを図っている[新聞 3]。
バス路線
駅前にバスのりばがあり、渋川市内、伊香保温泉、小野上温泉、前橋駅、高崎駅方面への路線バスや渋川市が運行する「渋川タウンバス」、関越交通や日本中央バス、JRバス関東が運行する高速バスが発着する。
過去にあったバス路線
過去にあった電気軌道線
当駅開業前の1891年(明治24年)2月に渋川新町まで開通した上毛馬車鉄道が当駅前を通っており、同線は1910年(明治43年)10月9日に電化されて路面電車となった[2]。
この路線に接続して1910年(明治43年)10月16日に開業した伊香保電気軌道や[3]、1893年(明治26年)9月1日に高崎から渋川長塚町間で営業を開始した群馬馬車鉄道が1910年(明治43年)9月23日に電化した路面電車もあり[2]、これら3路線は1927年(昭和2年)10月1日に東武鉄道が東京電燈から買収して東武伊香保軌道線として営業開始した[13]。
しかし、自動車の発達に伴う道路事情の問題からバスへの転換の要望が強まり、1953年(昭和28年)7月1日に高崎 - 渋川間を廃止したのを皮切りに[13]、1954年(昭和29年)3月1日には前橋 - 渋川間を廃止[3]、1956年(昭和31年)12月29日には伊香保 - 渋川間を廃止して伊香保軌道線は全線廃止となった[13]。
隣の駅
※特急「草津・四万」、SL快速「SLぐんま みなかみ」の隣の停車駅は列車記事を参照。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- ■上越線
- 八木原駅 - 渋川駅 - 敷島駅
- ■吾妻線(高崎駅 - 当駅間は上越線)
- 八木原駅 - 渋川駅 - 金島駅
脚注
記事本文
報道発表資料
新聞記事
利用状況
関連項目
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外部リンク