松前矢越道立自然公園(まつまえやごしどうりつしぜんこうえん)は、北海道南部の渡島半島[注 1]にある都道府県立自然公園である。
概要
公園は日本海から津軽海峡に至る広範囲の海面を含んでおり、松前町西方沖の渡島大島・渡島小島、松前町から福島町を経て知内町にかけての海食崖や海浜などが断続的に続く海岸地域、知内町内陸部の森林景観を主体とした知内温泉の地域からなる。
渡島大島は「オオミズナギドリ繁殖地」、渡島小島は「松前小島」として国の「天然記念物」、北海道の「鳥獣保護区」に指定されている[2][3][4]。
自然
渡島大島・渡島小島の島嶼地域では、標高が比較的低いことにもかかわらず多くの高山植物を見ることができ、温帯植物、海岸植物、岩礫地植物が混生して特異な植生となっている。一方、アメリカオニアザミ、オニノゲシなどの移入植物も分布している。
渡島大島は渡り鳥の休息地になっているほか、日本最北端のオオミズナギドリの繁殖地になっている。渡島小島はウトウなど海鳥の繁殖地であり、ウミガラスとケイマフリ繁殖地の南限になっている他にも、カラフトルリシジミの生息も確認されている[5]。
海岸地域では、白神岬周辺や福島町岩部地区の森林地域が北海道の鳥獣保護区に指定されており[4]、渡り鳥の要衝地になっている。知内温泉周辺の地域では、知内川の渓流沿いにブナやナラの天然林が広がっている。
北海道本土部における公園内の陸生の大型哺乳類は多くはないが、エゾシカやヒグマの生息も確認されている[7]。
津軽海峡は現在でも海獣の回遊経路として機能しており[8][9]、本公園内ではカマイルカが最もよく見られ、矢越岬の周辺では観光船からのウォッチングも可能である[7]。他にもツチクジラ[注 2]、トドなどの海生哺乳類が確認されている[注 3][10][11][12] また、過去にはニホンアシカも生息していたと思われる[13]。
景勝地
脚注
注釈
出典
- ^ オオミズナギドリ繁殖地 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 松前小島 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b “鳥獣保護区等位置図” (PDF). 北海道 (2016年). 2017年2月10日閲覧。
- ^ 文化遺産オンライン, 松前小島, 文化庁
- ^ a b 854 Cruise, ツアー紹介
- ^ 津軽海峡フェリー, 津軽海峡エリアの鯨類紹介
- ^ 浅虫水族館, 2021年3月, マリンスノー, No.40
- ^ 小林由美, 條野真奈美, 後藤陽子, 服部薫, 桜井泰憲「渡島半島日本海沿岸における海生哺乳類,特に鰭脚類の出現と漁業被害」『北海道大学水産科学研究彙報』第61巻第2-3号、北海道大学大学院水産科学研究院、2011年12月、75-82頁、CRID 1050282813987317888、hdl:2115/48641、ISSN 1346-1842。
- ^ 松田純佳, 松石隆, 石川創, 山田格「1992年から2002年における北海道松前町の鯨類漂着記録(短報)」『日本セトロジー研究』第30巻、日本セトロジー研究会、2020年、7-10頁、CRID 1391412326424828288、doi:10.5181/cetology.0.30_7、hdl:2115/84437、ISSN 18813445。
- ^ 青森県自然保護課, 2 青森県レッドリストに掲載されている希少野生生物の生息・生育状況, 5-33頁,
- ^ 宇仁義和「北海道近海の近代海獣猟業の統計と関連資料」『知床博物館研究報告』第22巻、斜里町立知床博物館、2001年3月、81-92頁、CRID 1390292815272342528、doi:10.24484/sitereports.125197-87140。
参考資料
関連項目
外部リンク