早期教育(そうききょういく)とは、子ども 本人ではなく保護者や国家など大人の意向で、一般よりも年齢を繰り上げて文字や数、外国語、音楽、スポーツなどの教育を開始すること。本項では主に日本の早期教育について述べる。
早期教育は、脳が柔軟なうちに子供の知的好奇心を促進し、高い吸収能力や順応能力を持つ幼い間に教育を開始することで脳の活性化を高めれば、「優秀な」人間に育つという理念に基づいている。そのため脳科学や発達心理学と非常に深い関係がある。早期教育によって将来の可能性を広げる、十分な基礎学力を得ることによって落ちこぼれを防ぎ子供の自尊心を高める、年齢や達成度という枠に囚われずに自由に教育を受けることができる、といった利点がある。学習面に限らず、独創性、社会性、情緒性を高めるための教育も含む。
また早期教育はエリート教育、ギフテッド教育と重複する部分もある。
様々な種類があるが、日本では早期教育と言うと、主に「超早期教育」と「幼児・就学前教育」を指すことが多い。
一口に早期教育と言っても、導入する保護者の目的や実践内容は様々である。積極的に早期教育を取り入れるのは以下のような動機が背景にある。
早期教育は江戸時代やそれ以前にも存在していた。教育者である親自身が手ほどきしたり、親戚や知人のもとで将来就くであろう職業に関わる教養や訓練、または躾として幼少より学問を修めさせていた。また神童とみなされた者が教育者のもとに預けられることもあった。
明治時代に年齢を基本にする学年制が確立し、義務教育機関における早期教育はなくなった。1990年代になって早期教育が加熱し始めたのは以下のような要因があるとみられる。
東京大学教育人間学教授の汐見稔幸は、中央教育審議会[1]において自信喪失と企業戦略の二点を主な要因に挙げている。
汐見によると、社会や育児環境の変化で「こうやっておけば大丈夫」と子供を放っておける時代はとうの昔に終わっており、また親自身も放任された世代ではないため、積極的に育児参加・教育指導をするべきだと考えている。しかし時代の流れが速く選択の幅が広い現代社会では確固とした育児目標が持てない親は、ガイドラインを失い不安な状態に在る。自己の育児能力に対する自信を喪失しており、親が育児の「先生」を必要としている状態である。
親の先生代わりとして登場したのが、育児のノウハウを作り上げ教育産業へ進出した民間企業であり、早期教育論や右脳・左脳論を掲げる出版・メディア業界である。知育教育に関して「これだけやっておけば大丈夫」という安心感を親に与えるだけでなく、健康・躾・情緒の発達、また親の悩みといった面まで、常に情報不足を感じている親のニーズを上手くすくいあげ、ビジネス・チャンスにしている。受験を経験した世代である親は、短期間で効率的に成し遂げるという早期教育に共鳴しがちである。とくに公文式や進研ゼミは受講経験のある親が多く、安心感を与える。
年齢に固執せずに次々と課程を進むのが早期教育の最大の利点であるが、特に乳児・幼児・小学校低学年など小さい子供には無駄、弊害があるという説もある。2007年の時点では、まだ早期教育は実験段階であり、十分なサンプルを得た科学的な調査結果、長期に渡った研究結果が出ていない。
批判は主に次の四種の主張に分かれる。
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