新生児黄疸(しんせいじおうだん)は新生児にみられる黄疸。症候の一つ。
胎生期の胎児は成人と比較して赤血球数が1.5〜2倍程度多い。これは胎盤での酸素交換が肺より効率が良くないため、胎児は成人と比較するとわずかながら酸素不足に陥る。これを補うため赤血球を増やし、必要な酸素量を確保している。新生児のことを「赤ちゃん」と呼ぶのは、赤血球数が多いため皮膚が赤く見えるためである。出生後、肺が使えるようになると赤血球過多となり、余分な赤血球は脾臓で破壊される。この破壊された赤血球中の赤い色素ヘモグロビンが、黄色い色素のビリルビンとなり、皮膚が黄色く見えるようになる。これが新生児黄疸である。新生児黄疸自体は生理的な現象ではあるが、時として血中ビリルビン濃度が過多となると大脳基底核などに沈着し悪影響を及ぼすことがある。
日本人では 98%、白人では 60%に新生児黄疸が発生し、男子に多く低体重児ほど強く表れやすい[1]。
本症は高ビリルビン血症のため起こる。 ビリルビンには間接ビリルビンと直接ビリルビンの2つがある。 生後24〜48時間に現れる早期黄疸は何らかの疾病による物である[2]。
ビリルビンは赤血球が破壊されることによって産生される。 胎児期は胎盤を経由して母体が間接ビリルビンを代謝するので、胎児期には黄疸に至らない。 肝臓が成熟していくまでの経過で、ビリルビンの代謝が不十分であるため、生理的黄疸に至る。 多血症や母乳分泌不足による脱水、胎便排泄遅延(腸肝循環によるビリルビンの再吸収)なども黄疸を助長する。
出生後24時間以内に発症する黄疸(早発黄疸)では、ビリルビンの産生が亢進する病態を疑う。 具体的には、ABO式血液型不適合などの溶血性疾患の存在を念頭において対応する必要がある。
遷延性黄疸では、ビリルビンの代謝・排泄の障害を疑う。 母乳性黄疸(肝臓における間接ビリルビンの代謝が不十分な状態が続く)が最も多い。 白色便や直接ビリルビン高値を伴うときは、胆道閉鎖症や新生児肝炎などの胆汁鬱滞をきたす病態を疑う。
ビリルビン脳症は、アンバウンドビリルビン(UB)の神経毒性に由来する。 早産児は正期産児と比べてビリルビン脳症を発症しやすい。 早産児ビリルビン脳症(核黄疸)は、アテトーゼ型脳性麻痺・auditory neuropathy 型聴覚障害・動眼神経麻痺による上方注視障害などの神経症状を呈する[3]。
新生児黄疸の分け方には、黄疸が見られる時期による分け方と、黄疸の病態による分け方がある。
新生児黄疸は時期によって早発黄疸、生理的黄疸、遷延性黄疸、の3つに分けられる。 早発黄疸は生後48時間以内に見られる黄疸、生理的黄疸は生後2日〜2週間程度に見られる黄疸、遷延性黄疸は生後2週間以上に見られる黄疸である。
また病態によって高間接ビリルビン血症、高直接ビリルビン血症、の2つに分けられる。
疾病が原因とならない黄疸は、
何らかの疾病が原因となる黄疸は、
などである[2]。
症状は黄疸である。重症な黄疸の新生児は核黄疸を発症し、脳障害の後遺症を残す。
治療法として、光線療法、交換輸血、ガンマーグロブリン点滴療法がある。
疾病が原因とならない黄疸の治療は、
黄疸の程度(血中ビリルビン値)と原因とによって、下記のような治療法が選択される。
2017年に発表された神戸大の基準[6]では、総ビリルビン値(TB値)およびアンバウンド・ビリルビン値(UB値)を下記のように組み合わせて適切な対応を導き出す。 各セル内の値は、左から順に、Low モード光線療法 / High モード光線療法 / 交換輸血の適応基準値である。
ヒトだけで無くウマ[7]やブタ[8]等の動物でも発症することがある。
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