政治的スペクトル (せいじてきスペクトル、英 : political spectrum )また政治光譜 (せいじこうふ)とは、異なった政治 的立場の分布 をモデル化した方法の一つで、1つまたは複数の幾何学 上の座標 軸にそれらを配置することによって、個別の政治的な側面を明確にするものである。学者や視点によって多数の軸や分布図が存在する。
左翼と右翼
従来からの分布には左翼 と右翼 があり、これは18世紀 のフランス革命 後の国民議会 の座席位置を由来とする。この最も単純な「左翼-右翼」の軸では、共産主義 や社会主義 は通常は左に、ファシズム や保守主義は反対に右に位置する。リベラリズムは異なった思想や内容を意味するため、時には左に、時には右に配置された。
文化と経済
政治的スペクトルを2軸で表現した例。ノーラン・チャート の一種。
しかし上記の単純な「左翼-右翼」軸だけでは、現実の多様な政治的信条を記述するには不十分なため、学者により他の軸を追加した。複数軸に使用できる一般的な対立軸の用語は色々あるが、文化的(政治的、個人的)な視点と経済的な視点が広く使われている。
右の図の例では、縦軸が個人的(政治的・文化的)な自由度で、横軸が経済的な自由度を表している。ここでは左翼(リベラル)は政治的な自由度が高いが経済的な自由度は低く、反対に右翼(保守主義、資本主義 )は政治的な自由度は低いが経済的な自由度は高く、そして両方の自由度が高いのはリバタリアニズム 、両方の自由度が低いのはポピュリズム (全体主義 )としている。
自由主義と全体主義
Hans Slompによるヨーロッパ の政治的スペクトル[ 1] 。各項目はクリック可能。
「左翼 - 右翼」軸に、「自由主義 - 全体主義」の軸を追加した図も、多くの学者により使われている。右の図の例では、上が自由主義(革新 )、下が権威主義 (保守 )である。
この視点では、一般には「極左 と極右 であり、対極の思想」とされる共産主義(特にスターリニズム やマルクス・レーニン主義 )とファシズムは、全体主義(政治的には中央集権 ・国家主義 、経済的には集産主義 )の傾向が強いという側面では、共通している。同様に、一般には「極左」とされるアナキズム は、右翼的とも言われる新自由主義 と自由主義の傾向が強いという側面では共通している。またアナキズムを社会的無政府主義 と個人主義的無政府主義 の分類に大別した場合は、それぞれ「極左」と「右翼」に分かれる。
脚注
^ Slomp, Hans (2000). European Politics Into the Twenty-First Century: Integration and Division . Westport: Praeger. ISBN 0275968146
関連項目