川湯温泉(かわゆおんせん)は、北海道川上郡弟子屈町にある温泉である。川湯の名は、アイヌ語の「セセキ(熱い)ペツ(川)」を意訳したものである。温泉街のなかを高温の温泉川が流れている。
泉質
- 硫黄泉、酸性明礬泉など。
- 眼や傷にしみるほか、釘を溶かすなど、貴金属が腐食するため、腕時計をつけないなどの注意をする必要がある。
- 湯の花が湯船に沈殿する。
温泉街
高温の湯が流れる温泉川の源流である湯元を中心に、20軒余りのホテル・旅館・土産物店・飲食店等が温泉街を形成している。町中に湯の川が流れ、湯けむりと硫黄の香りが漂う情緒深い温泉街である[1]。その他にも無料の足湯や、共同浴場(有料)もある。湯量が豊富であるが、強酸性泉で循環機器に不適なため、全ての施設が掛け流しである。さらに、その掛け流しを売りにしようと、「源泉かけ流し宣言」もされている。
温泉街周辺には、環境省の川湯エコミュージアムセンターや、この地で少年時代を過ごした第48代横綱:大鵬幸喜の功績を讃える資料館の大鵬相撲記念館、温泉熱を利用した屋内プール、地元の信仰を集める川湯神社等がある。
川湯駅前温泉
川湯温泉駅に無料の足湯が併設されている。駅から国道391号にかけて2軒の温泉ホテル・旅館等がある。
こちらの泉質は川湯温泉と違い、中性でナトリウム-炭酸水素塩泉等となっている。ガイド本や紹介サイトによっては、川湯温泉とひとくくりにされる事もある。
歴史
前述の通り温泉川が流れており、温泉の存在は古くから知られていたが、湯治場としての川湯の起源は定かでない。宿泊施設としては、1886年(明治19年)に温泉宿が設立された記録があるが、硫黄山で働く人夫の賭博場と化してしまったため、すぐ閉鎖された。その後、1904年(明治37年)にロシア風建築の温泉宿が設立され、これが現在の川湯温泉のおこりとされる。
大正時代まではこの1軒のみが細々と営業を続けていたが、昭和に入ってからは自動車道路の開通に続き、1930年(昭和5年)に釧網本線が開通、1934年(昭和9年)には阿寒国立公園が設立され、湯治客は激増した[2]。
第二次世界大戦中は観光需要が冷え込み、また終戦後すぐの1948年(昭和23年)には大火災に見舞われる[3]などした。しかし、1953年(昭和28年)に公開され大ヒットした映画『君の名は』で屈斜路湖周辺が撮影地となったことから、当地を訪れる観光客が再び激増し、温泉街は急速に発展した。
1970年代までは冬季の道路閉鎖が多かったが、その後除雪体制や道路整備が進み、年間を通して温泉客を呼び込む態勢が整った。最盛期の1991年度(平成3年度)には年間734,000人の宿泊客が訪れた[4]。
しかしその後は宿泊客の減少が続いた。2011年(平成23年)に発生した東日本大震災による自粛ムード[5]、2018年(平成30年)に発生した北海道胆振東部地震の影響なども響いた[6]。2020年(令和2年)時点で、営業不振により休業したままのホテル・旅館が10軒ほどあり、一部は廃屋化し景観上の問題となっている[6]。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2020年度(令和2年度)の宿泊客は91,000人にとどまった[4]。
なお、「川湯」の由来については、前述のアイヌ語「セセキベツ」を意訳する際、既に函館近郊の湯の川温泉(こちらはアイヌ語「ユ(湯)ベツ(川)」の意訳)が存在していたため、「川湯」と順序を変えたとされている[7]。
アクセス
脚注
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