『宇宙幻想』(うちゅうげんぞう)は、冨田勲のシンセサイザー音楽としての5作目のアルバムである。
「宇宙3部作」の第2作で、その名の通り宇宙をテーマにしたアルバムとなっている。
前4作が『火の鳥』を除いて基本的に1人の音楽家の楽曲で構成されていたのに対し、本作及び次回作の『バミューダ・トライアングル』は、テーマに沿って様々な作曲家の作品を採り上げるオムニバス方式になっている。
本作からローランド MC-8などのマイクロ・コンピューター(デジタルシーケンサー)が導入された。ライナーノーツに記載された冨田自身の解説によると、トラック7の「ホラ・スタッカート」の演奏は全てマイクロ・コンピューターが使用されている。
本作は、国内盤と海外盤で以下の相違が存在する。
国内盤(LP及び1986年の初CD化盤)は、ジャケットには「TOMITA/COSMOS」と記載され、付属のオビに「宇宙幻想 冨田勲」と記載されている。一方、海外(アメリカ)盤は「TOMITA/KOSMOS」と記載されている。
国内盤は、宇宙空間に青色の幾何学的な図形が配置され、胴の長い魚が波しぶきを立てて泳いでいる…というイラストが使用されている。一方、海外盤は恒星の光で赤く染まった空を背景に、鏡面加工が施された仮面が浮かんでいる…というデザインになっている[1]。
国内盤は、スター・ウォーズのテーマがトラック4(LPの場合はA面の最後)に収録されている。一方、海外盤は同曲がトラック1(LPの場合はA面の冒頭)に収録されている。また、同曲はアレンジが異なっており、海外盤に収録されたバージョンは国内盤に冒頭のファンファーレとエンディングの効果音[2]を付加したアレンジに仕上げられている。 なお、この曲が収録されたのは、アメリカのRCAレコードからのセールスを意識しての要望を受けたものであり、国内版と海外版との扱いの違いは、同曲に対する冨田のスタンスを表しているものとも受け取れる。
月の光 - 展覧会の絵 - 火の鳥 - 惑星 - 宇宙幻想 - バミューダ・トライアングル - ダフニスとクロエ - 大峡谷 - ドーン・コーラス