古ラテン語 (こラテンご、英語 : Early Latin 、Archaic Latin 、Old Latin )は、古典期 より前のラテン語 をいう。
古ラテン語の特徴がみられる後代の作家として大カト (紀元前234年 - 紀元前149年 )やプラウトゥス (紀元前3世紀 - 紀元前2世紀 )があげられる。
特徴
格語尾 の -os, -om (古典期には -us, -um になる)
二重母音 の oi と ei (古典期には ū, oe と ī になる)
古典期に見られるロータシズム と呼ばれる母音間の s の変異(s > z > r)が起きていない
アルファベット
古ラテン語では最初期は以下の21文字のアルファベット (ラテン文字 )が使われた。下段には現在の字形を記している。これはほぼ西方ギリシア文字 ・初期のエトルリア文字 (古イタリア文字 )のアルファベットを踏襲した。ただしΘΞΦΨϺ (サン)の文字を取り除いている。C (Γ の異体字形)は /g/ の音を表す。
五つの母音字 (A, E, I, O, V) は長短両方を表したが、文字の綴りでは長短の区別はなかった。
母音字兼半母音字
母音字兼半母音字は二つの音価を持った:
I は /i/ と /j/ の音を表す。
V は /u/ と /w/ の音を表す[4] 。
紀元前3世紀
紀元前3世紀 になるとエトルリア語 の影響[5] により、C が /k/ の音を表す主要な文字となり、それまでの文字 K の使用は少数の語中で KA として残るのみとなった[6] 。また /g/ の音を区別して表すためにそれまでのC を元にして新たな G の文字が作られ、アルファベット の7番目の位置に置かれた(それまでの Z [2] は不要として取り除かれた)。
古ラテン語碑文、但し1列は右から左、2列目は左から右、3列目は再び右から左へと交互に表記されている。
最古の史料
文学上の史料が現れるのは前3世紀 以降であるが、碑文や遺物に記された断片は前7世紀 のものまで出土している。主な出土物を以下に挙げる。
脚注
^ Ϝ (ディガンマ)の文字はラテン語の/f/の音に対応させラテン文字のF となった。
^ a b ラテン語に不要となった/z/の音ではあるが、最初期のアルファベットはギリシャ語のΖ (ゼータ)に当たる文字は取り除かれなかった。紀元前3世紀 頃にもはや不要と判断されたZに代わって、この位置に新たな G の文字が置かれた。なお古典ラテン語 の時期にやはりギリシャ語由来語を表す必要から文字 Z が復活した。
^ V は、ギリシア文字 Υ の異体字形。
^ ラテン語は/v/の発音およびそれを表す文字を持たなかった。後世にラテン文字V が/v/の発音を表すようになった。また母音字 V /u/ は後世に字形を U へ変えた。
^ エトルリア語の影響により、「CE(/ke/),CI(/ki/),CO(/ko/),QV(/kw/),CAもしくはKA(/ka/)」と綴り分けされるようになった。
^ 例えば、kalendae と calendae の二通りの綴りが使われた。
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
古ラテン語 に関連するカテゴリがあります。