亀頭包皮炎 (英 : balanoposthitis [ 注 1] )は、陰茎亀頭 および陰茎包皮 の炎症 を指す。亀頭に雑菌や真菌(カビ)などが感染することによって起こる皮膚炎である。ヒトからヒトへ感染することがない場合、性感染症 ではないとされている。亀頭包皮炎が発症すると、亀頭部分や包皮の皮膚が赤くなり、ニキビ のような赤い斑点や、ただれ、アトピー のような症状が発生する。かゆみや痛みがある場合もある。
市販の軟膏クリームで治癒する場合もあるが、医師 の処方が必要な抗生物質 や抗真菌剤 配合の軟方を必要とする場合もある。
徴候・症状
亀頭の小さな赤い糜爛(最初の徴候)
包皮の発赤
陰茎の発赤
陰茎頭部のその他の発疹
悪臭を伴う排出物
包皮と陰茎の痛み
合併症
亀頭包皮炎の再発は、包皮口 (英語版 ) の瘢痕 化の原因となり、包皮の弾力性の低下は、病的包茎 を引き起こし得る[ 1] 。合併症として、下記のものが考えられる[ 2] 。
原因
恥垢 により引き起こされた亀頭炎
炎症の原因としては、環境物質による刺激、特定の薬剤、身体的外傷、細菌、ウイルス、真菌等の感染など、様々なものが考えられる[ 3] [ 4] 。これらの中には性行為によって感染するものもあるが、イースト 感染症であるカンジダ 性亀頭包皮炎は一般的に性感染症には分類されない。
ヒトの場合小児 に多く見られ、包茎 もその原因となる[ 5] 。割礼後の症例は少ない。
多くの場合、包皮の機能不全が原因または一因である[ 6] 。洗浄が不充分な場合も過度な場合も問題を起こす[ 6] 。
亀頭包皮炎に罹患したイヌの陰茎鞘
イヌでは亀頭包皮炎は外傷 や異物 の侵入などの外皮系 の崩壊により引き起こされる[ 7] 。一般に行動に異常はなく、陰茎包皮を過度に舐め、黄緑色の膿 様分泌が認められる[ 7] 。
ヒツジの潰瘍性地方病性亀頭包皮炎はCorynebacterium renale 群 (C. renalem , C. pilosum , C. cystidis ) により引き起こされる。pizzle rotとして知られる。
ウシでは牛ヘルペスウイルス1型 により引き起こされる。
亀頭包皮炎は、有袋類のギルバート・ポトルーが絶滅寸前まで減少した一因と考えられている[ 8] 。
診断
診断では、充分な病歴聴取、炎症表面の分泌物の採取と培養 、生検 による病理学的検査などにより慎重に原因を特定する必要がある[ 9] 。
治療
成人の初期治療では、包皮を剥いて陰茎を洗浄するだけで済むことが多い[ 6] が、軽症でも抗生物質 や抗真菌薬 の軟膏 を外用する場合がある。重症度によっては、ステロイド外用薬 を使用する場合もある。
包茎が原因となっている場合、再発を繰り返すのであれば包茎手術 を行う[ 5] 。
発生率
脚注
注釈
^ 古希 : βάλανος (ドングリ) + 古希 : πόσθη (包皮) -itis(炎症)
出典
^ Phimosis - eMedicine
^ “Balanitis ”. clarewellclinics.co.uk . 2024年11月8日 閲覧。
^ Edwards S (1996). “Balanitis and balanoposthitis: a review” . Genitourin Med 72 (3): 155–9. doi :10.1136/sti.72.3.155 . PMC 1195642 . PMID 8707315 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1195642/ .
^ Cleveland Clinic: Penile Disorders
^ a b 田中啓幹、盛岡政明(編)、2001、『泌尿器科学ハンドブック』、大学教育出版 pp. 71
^ a b c Edwards, SK; Bunker, CB; Ziller, F; van der Meijden, WI (August 2014). “2013 European guideline for the management of balanoposthitis.”. International Journal of STD & AIDS 25 (9): 615–26. doi :10.1177/0956462414533099 . PMID 24828553 .
^ a b “Diseases of the Male Reproductive System, VM 552 SAM Urogential System ”. College of Veterinary Medicine, Washington State University (2007年7月26日). 2008年6月18日 閲覧。
^ Vaughan-Higgins, Rebecca; Buller, Nicky; Friend, J. Anthony; Robertson, Ian; Monaghan, Cree L.; Fenwick, Stan; Warren, Kristin (2011). “Balanoposthitis, Dyspareunia, and Treponema in the Critically Endangered Gilbert's Potoroo (Potorous gilbertii )” . Journal of Wildlife Diseases 47 (4): 1019–1025. doi :10.7589/0090-3558-47.4.1019 . PMID 22102677 . http://researchrepository.murdoch.edu.au/id/eprint/6136/ .
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