丸山町(まるやままち)は、かつて千葉県安房郡に存在していた町。館山都市圏に属していた。
平成の大合併に伴い2006年(平成18年)3月20日に、同じ安房郡内の富浦町、富山町、三芳村、和田町、千倉町、白浜町と新設合併し、南房総市となったため消滅した[1]。
地理
房総半島南部に位置する。町域は南北に長く南部は太平洋に面し、気候が温暖であるため花の栽培が盛ん。
毎年春になると、町内の至る所で菜の花が咲く。
町内を縦貫する丸山川が町名の由来ともなっている。
町内にある石堂寺は1992年(平成4年)に重要文化財指定された多宝塔を持ち[2]、足利頼氏座像や[3]聖徳太子像[4]、戦に敗れた足利氏の末裔が隠れ住んだことを記した「足利文書」などを所蔵している[5]。
また、莫越山神社は酒造免許を所持して「神饌酒(お神酒)」造りを行っているほか[6][7]、「丸郷神社」では農作物の吉凶占う「筒粥神事」という珍しい神事も伝わっている[8][9]。
千葉県史跡に指定されている「日本酪農発祥の地」の「千葉県嶺岡乳牛試験場」が当町の一角にあり、それを記念して1995年(平成7年)11月8日にその中に歴史資料館として「酪農のさと」が開館した[10][11]。
地中海と同じ緯度に位置することから、1988年(昭和63年)に「風車とローズマリーの里」づくり構想に着手した[12][13][14]。
同年9月にはその構想に基づいて最初の木製風車3基が設置され[15][16]、同年12月には夜間に風車へのライトアップが行われるようになった[17]。1989年(平成元年)には風車10基を増設[18]、1991年(平成3年)には「風車とローズマリーの里」マークを作成し[19]、同年9月22日に「ローズマリー公園」を開園させた[20]。
「ローズマリー公園」には1995年(平成7年)5月4日に古城風の展望台を完成させ[21]、1997年(平成9年)4月23日に「シェイクスピア・カントリー・パーク」を開園させた[22]。
こうした地域活性化策が評価され、1992年(平成4年)度の「農村優良賞」[23]、1994年(平成6年)度の「毎日・地方自治大賞」奨励賞を[24]、1996年(平成8年)度の「手づくり郷土賞」を受賞した[25][26]。
また、こうした地中海風の風景造りと並行して、小野派一刀流の流祖・「小野次郎右衛門」の生誕地であることから、1988年(昭和63年)に「剣の里」づくり構想に着手し[27]、1989年(平成元年)4月14日に「小野次郎右衛門忠明生誕の地公園」を開園した[28][29]。
合併前隣接していた自治体
「朝夷地区」(あさいちく)は、和田町・丸山町・千倉町・白浜町の計4町一帯の通称名である。
歴史
産業
農業
交通
鉄道
道路
学校
小学校
中学校
観光
作品の舞台
- 『庶民御宿』(つげ義春) - バイクで千倉町に泳ぎに出かけた2人が丸山町あたりで道に迷い、一軒の農家に泊めてもらったことに端を発するユーモアとペーソスを交えた軽妙な”旅もの”漫画の名作[32]。
脚注
- ^ a b c d “南房総市が誕生 「一体感ある組織に」 県内最多の7自治体合併 市長、市議選は来月23日投開票 暫定予算を専決処分”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 17. (2006年3月21日)
- ^ “「お宝」また一つ 石堂寺の多宝塔 重文指定に関係者大喜び 丸山”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1992年5月30日)
- ^ “丸山町・石堂寺所蔵 足利文書など7件 町文化財に 頼氏の座像も”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1992年11月29日)
- ^ “石堂寺 聖徳太子像を文化財に 丸山町の指定は41件目”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1994年4月7日)
- ^ “戦に敗れた足利氏 末裔、安房に隠れ住む 丸山町石堂寺の文書で判明”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 29. (1991年5月26日)
- ^ “検査官立ち会い神饌酒の蔵出し 丸山”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 31. (1994年9月14日)
- ^ “天下御免のお神酒造り 丸山の莫越山(なこしやま)神社 冷夏幸い最上品に 丸山町”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1993年9月14日)
- ^ “今年の世相“まずまず” 丸山町の丸郷神社 筒粥神事で占う”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1988年1月29日)
- ^ “農作物の吉凶占う 丸山町に伝わる珍しい筒粥神事”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1990年1月28日)
- ^ a b “「酪農のさと」オープン 日本酪農発祥の地・丸山で 自然や動物がいっぱい”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1995年11月11日)
- ^ a b “「酪農資料館」きょうオープン 丸山の県嶺岡乳牛試験場に”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 20. (1995年11月8日)
- ^ a b “65年目標に積極推進 風車とローズマリーの里づくり 企業と提携、地域振興 丸山町”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1988年2月6日)
- ^ a b ““地中海的景観”に的 丸山町でリゾート地開発へ”. 読売新聞 (読売新聞社): p. 22. (1988年2月26日)
- ^ a b “風車とローズマリーの里 西欧風の景観でPR 観光戦略の丸山町”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 24. (1988年6月23日)
- ^ “「風車とローズマリーの里」 まず三基、丸山町に 「房総の地中海」めざす”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1988年9月1日)
- ^ “町おこし木製風車回る 丸山町”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 24. (1988年9月4日)
- ^ “丸山町 夜間に風車鮮やか 国道128号沿い 投光器を設置”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1988年12月2日)
- ^ “「風車とローズマリーの里」 今年は10基を増設 丸山町”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1989年1月6日)
- ^ “風車とローズマリーの里 “地中海風”をイメージ 丸山町がマークを作成”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 26. (1991年4月18日)
- ^ a b “丸山町ローズマリー公園オープン ハーブの香り漂う中世欧州風の庭園”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1991年9月23日)
- ^ “11度の角度で庭園美たん能 古城イメージの展望台完成 丸山町ローズマリー公園”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1995年5月5日)
- ^ a b “シェイクスピア・カントリー・パーク ローズマリーの里にきょうオープン”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1997年4月23日)
- ^ “風車とローズマリーの里に農村優良賞 住みよい空間づくり評価 丸山町”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1992年11月26日)
- ^ “「風車とローズマリーの里づくり」に奨励賞 丸山町 94年度「毎日・地方自治大賞」”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 23. (1995年2月21日)
- ^ “丸山町のローズマリー公園 「手づくり郷土賞」受賞 中世欧州スタイル観光客に大人気”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1996年7月22日)
- ^ “国土交通省大臣表彰 手づくり郷土賞”. www.mlit.go.jp. 2022年3月15日閲覧。
- ^ a b “イメージづくり進む 小野派一刀流の流祖生誕地 丸山に“剣の里” 青写真公開”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 13. (1988年11月26日)
- ^ a b “剣豪の公園が完成 丸山”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 29. (1989年4月16日)
- ^ a b “剣豪生誕の地に公園 丸山町 きょう竣工披露式”. 千葉日報 (千葉日報社): p. 15. (1989年4月14日)
- ^ “「シェークスピア・ガーデン」建設中 世界初「ニューブレイス」復元 丸山町”. 読売新聞 (読売新聞社): p. 35. (1995年12月1日)
- ^ “シェイクスピアの家復元に挑戦 丸山町で起工式 新名所の期待高く 97年完成予定”. 毎日新聞 (毎日新聞社): p. 21. (1995年8月10日)
- ^ 『つげ義春漫画術』(上・下)(つげ義春、権藤晋著 1993年ワイズ出版)ISBN 4-948-73519-1
関連項目