『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet: the Tomb Scene)は、ジョセフ・ライトによって1790年に完成された絵画作品。1790年と1791年に展示され、1839年に職工講習所で開催されたダービー展覧会にも出展された。現在はダービー博物館・美術館に陳列されている。この作品には夜間とろうそくを描くライトの優れた技術が表れている。描かれているのはシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の一場面で、ロミオの亡骸のそばで跪いているジュリエットが足音が近づくのを聞き、自ら命を絶とうと短剣を引きぬく瞬間である。対応する台詞は「ああ、物音が? 急がないと。 おお、ありがたい 短剣が。 これがお前の鞘。そこで錆びて、私を死なせて[1]。」("Yea, noise? Then I'll be brief. O happy dagger!")。
作品の高さは70インチ、幅は95インチであり[5]、夜とろうそくの光を描き出すライトの有名な画法が用いられている。シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』のうち、ロミオの亡骸の傍らに跪くジュリエットが足音を聞きロミオの短剣を抜く場面が描かれている[7][8]。ジュリエットが「ああ、物音が? 急がないと。 おお、ありがたい 短剣が。 これがお前の鞘。そこで錆びて、私を死なせて[1]。」("Yea, noise? Then I'll be brief. O happy dagger!")と自害の直前[9]叫んだ瞬間を捉えたものである。この作品の他、ダービー美術館はライトが準備段階に用いたスケッチも収蔵している。スケッチからは、ろうそくによって照らされた壁の占める部分を拡大するために石棺と壁龕が右側に動かされた過程が確認できる。ジュリエットが剣闘士のごとく腕を伸ばす様子は、見るものの目を引きつけ、ロミオの悲劇的な死はミケランジェロの『ティテュオス』との比較対象にされてきた[10][11]。