リディム (Riddim )とはヴァージョン (Version )とも呼ばれ、ドラム と特徴的なベース ラインで演奏されるレゲエ のリズム体 である。このジャマイカ英語 (パトワ )の言葉は、英語の「リズム(Rhythm)」が変化した言葉であり、他の音楽ジャンルでは、グルーブ やビート 、トラック などと呼ばれている。リディムという言葉が用いられるのは、レゲエとその派生ジャンル(ラヴァーズ・ロック 、ダブ 、ラガマフィン 、ダンスホール・レゲエ など)においてである。1990年代以降はR&B やレゲトン でもリディムが用いられることがある。
リディムの類型
「スレンテン (英語版 ) 」誕生のきっかけとなった電子楽器カシオトーン・MT-40 [ 1] 。
リディムは、いくつかのカテゴリーに分類することができる。最も古いタイプのリディムは、ルーツ・レゲエ のダブやロックステディ の楽器演奏の音を使用するファウンデーション・リディムである。2つ目のタイプは、ラガマフィン やダンスホールレゲエのリズムであるダンスホール・リディムである。そして3つの目のタイプは、レゲエ音楽の製作にシンセサイザー 等の電子楽器 が使用されだした1985年 以降に一般化したコンピュータライズド・リディムである。しかしながらこの定義はやや曖昧で、キング・ジャミー が1985年に制作した「スレンテン (英語版 ) 」リディムのようにコンピュータライズド・リディムでありながらファウンデーション・リディムとしても認知されている物もある。
現在では大半のレゲエのリディムは電子楽器 を使用して製作されているが、依然として生楽器によるリディムも作られ続けている。また、生楽器と電子楽器を組み合わせる手法も一般的である。
リメイク
レゲエ特有の音楽的手法として「リディムのリメイク」がある。他ジャンルでの「歌のカバー 」と同様にリディムだけをカバーするのである。
例えば1975年 のリトル・ロイ「Prophecy」のリディムは1981年 スライ&ロビー によって「アンメータード・タクシー(Unmetered Taxi)」リディムとしてリメイクされ、以来ダンスホールレゲエシーンにおいて定番化した。同リディムは1984年 ホープトン・ジェームス「In the mood」、1989年 ジョニー・オズボーン「Reason」、1996年 バウンティ・キラー「Lord is my light and my salvation」、2006年 ブジュ・バントン 「Driver」等の楽曲にリメイクされ、それぞれがヒット曲となった。なお、同リディムはソン の楽曲「ピーナッツ・ヴェンダー 」のベースライン を編曲 したものである[ 2] 。
また、同一のリディムのみで作られたコンピレーション・アルバム のことを特に「ワン・ウェイ・アルバム」という。
リディムの名前
各リディムの名前は、最初にそのリディムに乗せて歌われた曲の名前か、最も売れた曲の名前が付けられている場合が多い。しかしながら、1990年代以降は歌を載せる前、トラックメイカーやプロデューサーがリディムを完成させた段階で決めることが多くなってきている。
脚注
^ “レゲエ界に革命を起こしたリズム「スレンテン」は日本人女性が生み出した:カシオ開発者・奥田広子さん ”. nippon.com (2022年1月3日). 2022年10月13日 閲覧。
^ overheat.com Sly & Robbieインタビュー
関連項目