『ムー』 (MU) は、ワン・パブリッシングが発行する日本の月刊オカルト情報誌である。1979年(昭和54年)に学習研究社(現・学研ホールディングス)から創刊。学研のグループ再編に伴い、2009年10月から2015年9月までは学研パブリッシング、2020年6月まで学研プラス(現・Gakken)の発行となっていた。
キャッチコピーは「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」。
誌名は、一部の超古代文明論者から太平洋に在ったと主張されるムー大陸に由来する、としているが、「裏にはいろんな意味がある」とされる[1]。
創刊当時は学研が刊行していた『コース』シリーズにおいてUFOなどのオカルト関連の記事に人気が集まったことから、このような話題に特化した雑誌の企画が持ち上がり、『コース』の編集者らが集まって中高生向けの雑誌としてスタートした[2]。
しかし雑誌のコンセプトが不明確なため売り上げが伸びず1年目で廃刊が俎上に上がったが、局長がもう1年様子を見ると判断したことを機に、オカルトマニア向けの内容へと特化したことで売り上げが安定し、雑誌が継続することとなった[2]。
同誌発刊後、他社から『トワイライトゾーン(ワールドフォトプレス)』や『ボーダーランド(角川春樹事務所)』など類似の雑誌も刊行されたがほどなく休刊となり、学研が『ムー』よりも低年齢層向けとして刊行した『マヤ』も長続きしなかった。2020年現在、『ムー』は定期刊行されるオカルト専門誌としては唯一継続している。
創刊号(1979年11月号)から創刊2周年記念号のNo.13(1981年11月号)迄は隔月刊だった。またそのNo.13から本の判型が創刊号からのA4サイズから現行のB5サイズに変更されている。
創刊以来熱狂的なファンの多い雑誌ではあるが、読者はそれを表面には出さないという[3]。
2020年7月、学研の他の雑誌と共に学研プラスと日本創発グループが共同出資したワン・パブリッシングに移管される。同時に公式サイトなどウェブのプラットフォームをnoteに移行した。
主な内容はUFOや異星人、超能力、UMA、怪奇現象、超古代文明やオーパーツ、超科学、陰謀論などのオカルト全般である。全般的にオカルトに肯定的な記述がされている。現在の内容は編集方針の転換によりオカルトに特化して以降のものである[2]。
当初は中高生向けだったことから迷走気味で、初期の一年間はアニメや小説、芸能ネタも掲載されており、総合誌的な雑誌であった[4]。
雑誌の紙面の内容は、3ヶ月前から決まっており、たとえ「生きてる恐竜の出現、UFOの襲来」等の世界的超常事件が起きても緊急差し替えはせず、予定通りに決まった内容で出版する方針であると編集者は語っている。このため特集が「人類滅亡の予言」であっても次号の予告は掲載される。例外としては、2009年8月の総選挙による政権交代の結果、愛読者である鳩山由紀夫が総理大臣に就任した時のみは例外的に、1ヶ月遅れで読者コーナーで特集が組まれた。
『ムー』 編集部では、同誌の愛読者や投稿者を 「ムー民(むーみん)」 と呼んでいる[5]。芸能人や著名人(福山雅治、木村拓哉、釈由美子、デンジャラス、ラッシャー板前、OTAKU佐藤、小向美奈子、中沢健、鳩山由紀夫、上島竜兵等)の愛読者も多く、また鳩山の妻である鳩山幸が2008年に9ヶ月ほどインタビューという形で記事を掲載していたこともある[5]。火の玉研究で知られる大槻義彦が愛読者であることでも知られる。また1980年代にはのちに「戦士症候群」と呼ばれる自称戦士、転生者による投稿で読者コーナーが埋め尽くされたことがある[6]。
オウム真理教の麻原彰晃が空中浮揚の写真を掲載したりヒヒイロカネについての記事を執筆した事があり、オウム幹部には上祐史浩をはじめ『ムー』や『トワイライトゾーン』経由で麻原を知った人物も多かった[7]。継続して広告を掲載するクライアントだったので好意的な取材記事も数回掲載され「提灯記事」と揶揄された事もある[8]。
その他