マンリョウ(万両、学名: Ardisia crenata)は、サクラソウ科[注 1]ヤブコウジ属の常緑小低木。林内に生育し、冬に熟す果実が美しいので栽培され、特に名前がめでたいのでセンリョウ科のセンリョウ(千両)などとともに正月の縁起物とされる。
名称
和名の「マンリョウ」は、植物学者の辻井達一の説によれば、姿が似て同様に初冬に赤い実をつけるサクラソウ科のセンリョウ(千両)よりも、やや大きいことからの命名かと思われる、としている。YListによると、ナガバマンリョウ、オオマンリョウ、オオミマンリョウ、オオバマンリョウ、トガリマンリョウ、ハナタチバナの別名もある[1]。なお、マンリョウの別名に「センリョウ」があり、センリョウの別名に「マンリョウ」があるため紛らわしい元となっている。
分布
日本・中国・台湾など東アジアからインドの温暖な場所に広く分布する。日本では、本州(関東地方以西)・四国・九州・沖縄に分布する。分布域はセンリョウとほぼ同じである。暖地の林に自生するほか、庭木などとしても植えられている。なお、アメリカ合衆国フロリダ州では外来有害植物[10]として問題になっている。
形態・生態
常緑の小低木。高さは2メートル (m) 足らずで、センリョウよりも大きく、枝も少ない。同属のヤブコウジと似ているが、ヤブコウジは高さ10センチメートル (cm) ほどなので区別ができる。根元から新しい幹を出して株立ちとなる。
葉は互生し、葉身は長楕円形で革質、葉縁が波打ち波状の鋸歯がある。葉の波状に膨れた部分には、共生細菌が詰まった部屋が内部に形成されている。また、葉は光に透かすと黒点が見える。
花期は夏(7月ごろ)。花は白色で、小枝の先に散形花序をなす。
果実は液果で、10月ごろに赤く熟し、翌年2月ごろまで枝に見られる。赤い実と緑色の葉のコントラストが美しい。栽培品種には白や黄色の果実もある。
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株立ちした本種
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果実が熟しても赤くならない品種
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果実は葉の下に幹を囲むように付く
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実を拡大
人間との関わり
センリョウ(千両)とともにマンリョウ(万両)という景気のよい名前が喜ばれて、庭木や鉢植え、縁起を担いで正月の花材(切り花)に利用される。関西ではセンリョウやアリドウシと一緒に植えて縁起を担ぐ。庭園(関東以南の地域に限る)では、いわゆる下木、根締めに用いられる。いわゆる古典園芸植物のひとつで、江戸時代には葉が縮れたりした変異個体が選抜されて、多様な品種群が栽培された。
脚注
注釈
- ^ 最新のAPG体系ではサクラソウ科に分類されるが、古いクロンキスト体系や新エングラー体系ではヤブコウジ科に分類されていた[1]。
出典
参考文献
関連項目
ウィキスピーシーズに
マンリョウに関する情報があります。
ウィキメディア・コモンズには、
マンリョウに関連するカテゴリがあります。
外部リンク