『マクロス VF-X2』(マクロス ブイエフエックスツー、MACROSS VF-X2)は、1999年9月2日に発売されたPlayStation用の3Dシューティングゲーム。「マクロスシリーズ」を題材とするゲーム、「VF-Xシリーズ」の2作目にあたる。
1997年に発売された前作『マクロス デジタルミッション VF-X』と同様に、特務部隊「VF-X」の可変戦闘機(バルキリー)を操作しながら任務を遂行するステージクリア型の3Dシューティングゲームである。前作と同じくUNiTがゲームシステムを開発し、河森正治、宮武一貴、美樹本晴彦、板野一郎ら「マクロスシリーズ」のメインクリエーターが制作に参加した。CGイラストレーターの天神英貴は本作よりマクロス関連の仕事に参加している。
作品内ではバルキリーの特徴であるファイター、ガウォーク、バトロイドの三形態を自由に変形、操作することができる。ミサイルの搭載数、発射数が非常に多いという要素も踏襲しており、「板野サーカス」と呼ばれる大量のミサイルが画面内を飛び交う、マクロスのダイナミックな戦闘をゲーム上でも再現できる作りになっている。また、前作で不満の多かったゲーム内容やシステム面を見直し、大幅な改良を加えた。特に「バリアブルビュー」(後述)と呼ばれる独特の視点移動システムの導入は、一般的な3Dシューティングゲームとは一線を画する「バルキリーシミュレーター」としての操作感覚を生み出している。
プレーヤーが使用可能な機体として、新たに可変攻撃機VA-3 インベーダーと可変戦闘機VB-6 ケーニッヒモンスターが登場する。ケーニッヒモンスターは宮武がデザインしたデストロイド・モンスターをベースにして、河森が新たに三段変形デザインを起こした。
2002年に東京スナックが行った懸賞で、限定1000本の賞品となったスペシャルバージョンも存在する。製品版とは異なった3種のゲームモードを有し、「VF-5000 スターミラージュ」が使用可能。グラフィックも向上している。現在の入手は非常に困難。
可変戦闘機の特徴である3段変形を採用。制約などはなく、基本的には自由に変形可能である。どの形態も一長一短の要素を抱えているため、状況に応じた使い分けが重要となる。また、変形した際は現在ターゲット中の敵を自動で正面に捕捉する仕様で、これを利用することにより、例えば敵機が自機の180°後方に回ったときでも旋回行動を取らずに円滑に戦闘を行うことができる。ただし変形時は無防備になるリスクも伴うため、機体操作で敵機を捕捉する技術も必要となる。
自機後方や操縦席に視点が固定された他の3Dシューティングとは異なり、つねに自機と敵機(ミサイル)を同一のカメラ内に収める革新的な視点システム。敵機の発射したミサイルを優先的に追いかける「MISSILE」視点と現在ターゲット中の敵を常に追い続ける「TARGET」視点の2種類があり、ゲーム中に自由に切り替えができる。このバリアブルビューにより撃たれたミサイルを視認しながら回避したり、敵機の動きを把握し、見失うことなく戦闘を行うことが可能になっており、計器類などの画面表示に乏しい本作においては画面情報を得るうえでも重要な要素である。
バリアブルビューのほかに、オプション設定で通常の3Dシューティングでも使われている自機後方からの「FOWARD」視点も使用可能で、前述の3段変形と3種の視点を併用することが本作の醍醐味であり、クリアへの近道でもある。
「マクロスシリーズ」の基本ともいえる「歌」や「主人公を中心とする男女の三角関係」といった要素が薄く、代わりに主人公エイジスの一兵士としての心情の変化、戦いの中での迷いや葛藤、上官であるギリアムとの男同士の友情を前面に押し出している。敵はゼントラーディやプロトデビルンなどの異星系勢力ではなく、人種融合が進んだ時代における反体制勢力であり、展開によっては統合軍すら敵に回る。これらに加えて随所に過去シリーズの設定や出来事、オマージュを取り入れつつ新しい「マクロス」の世界を構築している。
ゲームは「ブリーフィング→ミッション→ステージ間イベント→ブリーフィング→…」という流れで進んでいく。ステージ間のイベントはミッションで獲得したスコアによって演出内容が変わる場合もある。各ミッションにおけるミッションコードは映画、ミュージカルのタイトルや「マクロスシリーズ」のサブタイトルから引用されており[注 1]、ミッションコードに即した作戦や台詞回しが展開される。マルチエンディング方式を採用しており、プレイヤーの行動によってストーリーが分岐する。
のちのシリーズ作品では、おもに小太刀右京作の小説作品のなかで本作の設定が引用されている(後述)。
西暦2050年。銀河系内に広く移民を続けた結果、人類は安定期を迎えようとしていた。その一方で、政治的・軍事的緊張からの暴動や反乱、テロ行為、シンジケート犯罪が頻発、これらの新たなる危機に直面した統合政府は、優れた操縦技術と強靭な精神力を持つエース・パイロットを集め、AVF(Advanced Variable Fighter : 次世代全領域可変戦闘機)を主戦力とする特務部隊、第727独立戦隊VF-Xレイヴンズを設置した[注 2]。天才肌のパイロット、エイジス・フォッカーは晴れてレイヴンズに配属されるが、隊長のギリアム・アングレートには「卵野郎」扱いされ、厳しく鍛え上げられていく。
レイヴンズはテロリスト集団ブラックレインボーや星間企業クリティカルパス・コーポレーション、反政府組織ビンディランスの活動を阻止するため、星々を股にかけて奮戦する。ビンディランスとの戦闘中、ギリアムは同組織のエース、マリアフォキナ・バンローズを追ったまま行方不明となる。エイジスはレイヴンズのリーダーを引き継ぎ、2名の新隊員スージー・ニュートレットとトーマ・シュンを率いることになる。
地球圏に迫るビンディランス艦隊との交戦中、エイジスの前に突然ギリアムが現れ、統合政府の不正を訴え、自分とともにビンディランスに加わるよう説得する。反逆者の元隊長を討つべきか、仲間を見捨て誘いに応じるべきか、エイジスは決断を迫られる。
ルートA ギリアムに従う(ビンディランスルート) - ビンディランスに合流したエイジスは、統合政府内の地球至上主義派「ラクテンス」が反対勢力を弾圧する手段としてレイヴンズを利用していた事実を知る。ラクテンスはクリティカルパスと内通し、「超空間共振水晶体」を用いた「ディ・ツァオバーフレーテ」をもとに開発した広域ジャミング・システムで地球圏を支配しようと企んでいた。エイジスとギリアムはラクテンスの野望を砕くべく地球防衛網を突破するが、レイヴンズの司令官ウィルバー・ガーランドの襲撃を受け、ギリアムは戦死する。エイジスは自身の味方についたレイヴンズの士官たちの助力を得てウィルバーを倒し、広域ジャミング・システムが搭載されたSDF-1 マクロス頭部を破壊する。そしてギリアムの遺志を継ぎ、本命の広域ジャミング・システムを搭載した敵母艦マクロス13を破壊する最終作戦「リメンバー・ラブ」に突入する。
ルートB レイヴンズに留まる(統合軍ルート) - エイジスらはビンディランスと決着をつけるため、アステロイドベルトの基地を攻撃する。エイジスはマリアフォキナを討ち取ったあと、ギリアムに最後の勝負を挑む。
「マクロスシリーズ」の年表には「A.D.2050年 特務部隊VF-Xレイヴンズ設立」とだけ記されており、ラクテンスとビンディランスの抗争に関する記述はない[8][9]。
一方で、『マクロスF』以降の小太刀右京の筆による小説作品には、『VF-X2』に関連する人物や用語が登場する。ストーリーの分岐に関しては、エイジスがギリアムとの共闘を選ぶ選択肢(ビンディランスルート)に則っている。ただし、小太刀のノベライズにはアニメ本編と異なるアレンジも含まれており、どの範囲までが公式設定であるのかは定かでない。
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