メインストリート
プルマン (Pullman)は、アメリカ合衆国 ワシントン州 南東部、ウィットマン郡 にある都市。人口は3万2901人(2020年)[1] 。ワシントン州立大学 (WSU)がキャンパスを構える大学町 として知られている。近年では市の北側に約500,000m²の敷地を有する工業団地が形成され、ハイテク産業が発展してきている。またプルマンの周辺は肥沃な土地に恵まれているため、農業 も盛んである。
プルマンの東約10kmにはアイダホ大学 の所在地であるモスコー が位置している。ワシントン州立大学とアイダホ大学は学術をはじめ多方面で交流を持っている。また玄関口となる空港を共有するなど、都市同士の結びつきも強い。
歴史
プルマンは1886年に市として法人化 した。当時は人口はわずか250人であった。もともとはミズーリ・フラット川(Missouri Flat Creek)、ドライ川(Dry Creek)、サウス川(South Fork)の3本の小さな川が合流する地点であったことから、スリー・フォークス(Three Forks)という市名であった。やがて鉄道の寝台車を発明した発明家ジョージ・プルマン にちなんで、市名はプルマンに改められた。1890年にはワシントン州立大学 が創立された。
地理
ウィットマン郡内の位置(右)
プルマンはアイダホ州 境に近い。座標は北緯46度43分57秒 西経117度10分18秒 / 北緯46.73250度 西経117.17167度 / 46.73250; -117.17167 (46.732614, -117.171790)である。市の標高は778mである。アメリカ合衆国統計局 によると、プルマン市は総面積23.3km²(9.0mi²)である。市の全域が陸地であり、水域はない。プルマン市は水道水源として地下水 を用いている。
プルマンの市街地はミリタリー・ヒル(Military Hill)、パイオニア・ヒル(Pioneer Hill)、カレッジ・ヒル(College Hill)、サニーサイド・ヒル(Sunnyside Hill)という4つの丘の上に広がっている。これらの丘はちょうど市を4つに分けるように位置している。周辺は肥沃な土地に恵まれ、冬小麦 、春小麦、大麦 、レンズ豆 、えんどう豆 などの農業が盛んな穀倉地帯となっている。
プルマンとその周辺の気候は乾燥した夏と寒く湿潤な冬に特徴付けられる。夏の日中は摂氏 27-28度まで上がるが、乾燥しているため夕方になると涼しくなり、摂氏14度ほどまで下がる。従って月平均気温は7月・8月でも摂氏20度程度である。最も寒い月は1月で、月平均気温は氷点下4度ほどであるが、降雪のために湿潤であり、そのため夏ほど気温の日較差は大きくない[1] 。ケッペンの気候区分 では高地地中海性気候 (Dsb)に属する。
教育
WSU
プルマンはワシントン州立大学 (WSU)がキャンパスを構える大学町 である。同大学は250以上の専攻を有し、20,000人以上の学生を抱える総合大学で、特に獣医学、工学、農学、薬学、コミュニケーションの分野で高い評価を得ている。
一方、スポーツではパシフィック・テン・カンファレンス に所属し、男女あらゆる競技でリーグに参加している。同校のスポーツチームはクーガーズ(Cougars)と呼ばれている。特にフットボール ではワシントン大学 とは積年のライバル関係があり、毎年11月のシーズン最終戦では必ず対戦する。この定例戦はアップル・カップ(Apple Cup )と呼ばれ、プルマンとワシントン大学の所在地であるシアトル とで1年おきに交互に行われる。
ミリタリー・ヒルに建つプルマン高校は生徒数約700人の小さな高校であるが、学業的には優れており、優等生プログラムやアドバンスト・プログラムを有している。また、ワシントン州立大学や地元のコミュニティ・カレッジ で開講されている講義を受け、プルマン高校での卒業単位に充てることのできるランニング・スタートというコースもある。同校はプルマン公立学校区(Pullman School District )によって運営されている。プルマン公立学校区はこのほか、リンカーン中学校、および市内3校の小学校を運営している。その3校のうち、サニーサイド小学校は、全米で最も優れた小学校100校のうちのひとつに数えられている。
スポーツ
ワシントン州立大学は前述のアップル・カップをはじめとしたフットボール の試合やバスケットボール の試合など様々なスポーツイベントを開催している。また、同大学はビーズリー演技芸術コロシアム(Beasley Performing Arts Coliseum)や美術館も有しており、プルマンの文化の中心としての役割を担っている。
文化
ワシントン州立大学のほかの文化施設・イベントとしては、プルマン・シビック・シアター(Pullman Civic Theatre)やワシントン・アイダホ・シンフォニー(Washington-Idaho Symphony)の公演が挙げられる。アイダホ・ワシントン・コンサート・コレール(Idaho Washington Concert Chorale)もプルマンでときどき公演を行なう。モスコー にあるアイダホ大学 のキャンパスでは、ライオネル・ハンプトン・ジャズ祭(Lionel Hampton Jazz Festival )が行なわれる。
プルマンでは全米の多くの都市同様、7月4日 には独立記念日 を盛大に祝う。また、毎年収穫期になると、市内でナショナル・レンティル・フェスティバル(National Lentil Festival)というレンズ豆の収穫祭が行なわれる。
交通
プルマンの玄関口となる空港は市の東約3キロメートルに位置するプルマン・モスコー地域空港(Pullman-Moscow Regional Airport)である。この空港はアイダホ州 モスコー の玄関口ともなっている。同空港とシアトル・タコマ国際空港 との間に1日4便、ホライズン航空 の便がある。また、プルマン・モスコー地域空港よりも規模の大きいスポケーン国際空港 も利用可能な距離に立地している。プルマンと同空港との間には空港シャトルが走っている。
プルマンにはスポケーン からの中距離バスの便もある。地域の路線バス は市民やワシントン州立大学の学生に広く利用されている。
人口動勢
プルマンの人口動勢はワシントン州立大学 の影響を大きく受けている。そのため、18-24歳の年齢層が人口の約半数を占め、年齢の中央値も若い。また、無収入の学生は統計データ上では「貧困線 以下」として扱われるため、プルマンの貧困率は人口の37.5%という極めて高い値を示しているが、スラム 街とは異なり、実際に貧困層が多いわけではない。
統計データ
以下は2000年の国勢調査 における人口統計データである。
基礎データ
人口: 24,675人
世帯数: 8,828世帯
家族数: 3,601家族
人口密度 : 1,058.6人/km²(2,740.8人/mi²)
住居数: 9,398軒
住居密度: 403.2軒/km²(1,043.9軒/mi²)
人種別人口構成
年齢別人口構成
18歳未満: 13.1%
18-24歳: 49.4%
25-44歳: 22.8%
45-64歳: 10.3%
65歳以上: 4.5%
年齢の中央値: 22歳
性比(女性100人あたり男性の人口)
世帯と家族 (対世帯数)
18歳未満の子供がいる: 20.0%
結婚・同居している夫婦: 33.0%
未婚・離婚・死別女性が世帯主: 5.8%
非家族世帯: 59.2%
単身世帯: 31.1%
65歳以上の老人1人暮らし: 3.7%
平均構成人数
収入と家計
収入の中央値
世帯: 20,652米ドル
家族: 46,165米ドル
性別
男性: 36,743米ドル
女性: 29,192米ドル
人口1人あたり収入: 13,448米ドル
貧困線 以下
対人口: 37.5%
対家族数: 15.3%
18歳未満: 20.0%
65歳以上: 3.6%
姉妹都市
プルマンは以下の都市と姉妹都市 提携を結んでいる。
脚注
外部リンク