フリオ・メデム(Julio Medem, 1958年10月21日 - )はスペイン・ギプスコア県サン・セバスティアン出身の映画監督・脚本家である。
経歴
1958年にバスク地方のギプスコア県サン・セバスティアンに生まれ、バスク大学で精神医学を学んで医学修士となった[1]。17歳で短編映画の製作を始め、バスク大学在学中には新聞で映画評を書くなどしていた[1]。大学卒業後には本格的に映画界に進出して短編映画を製作し、1992年の長編第1作『バカス』ではゴヤ賞で新人監督賞を受賞し、「イギリスで発表された独創性と創造性が高い映画」に与えられるサザーランド杯を獲得した[1]。1993年の長編第2作『赤いリス』ではカンヌ国際映画祭で高評価を得てスタンリー・キューブリック監督に称賛され、デンヴァー国際映画祭でも特別賞を受賞した[1]。
1998年の『アナとオットー』ではゴヤ賞のオリジナル脚本賞にノミネートされ、スペインでは歴代3位の興行成績を記録した[1]。2003年にはバスク地方の伝統的スポーツのペロータ・バスカを扱ったドキュメンタリー映画『バスク・ボール』を撮影し、バスク地方のスペインからの独立やバスク祖国と自由(ETA)によるテロ問題などに触れたことから、様々な立場の人々からの大きな議論を呼ぶこととなった。
2015年にはペネロペ・クルス主演の『あなたのママになるために』を製作し、ゴヤ賞では主演女優賞を含む3部門にノミネートされた。
作風
『赤いリス』を除く多くの作品では作品中にバスク地方が登場しており、舞台がバスク地方であったり、登場人物がバスク人であることが多い。作品のテーマは悲劇、運命、偶然、愛、競争、情熱などであり、現実とファンタジーのどちらでもない作風が特徴である[2]。
監督作品
- バカス Vacas (1992)
- 赤いリス La ardilla roja (1993)
- Tierra (1996)
- アナとオットー Los amantes del Círculo Polar (1998)
- ルシアとSEX Lucía y el sexo (2001)
- バスク・ボール La pelota vasca. La piel contra la piedra (2003)
- Caótica Ana (2007)
- ローマ、愛の部屋 Room in Rome (2010)
- Moving the Arts (2010)
- あなたのママになるために Ma ma (2015)
受賞
映画賞
- ゴヤ賞
年 |
作品 |
部門 |
結果
|
2011 |
ローマ、愛の部屋 |
脚本賞 |
ノミネート
|
2005 |
!Hay motivo! |
ドキュメンタリー賞 |
ノミネート
|
2004 |
バスク・ボール |
ドキュメンタリー賞 |
ノミネート
|
2000 |
ルシアとSEX |
撮影賞 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
脚本賞 |
ノミネート
|
1998 |
アナとオットー |
脚本賞 |
ノミネート
|
1997 |
Tierra |
監督賞 |
ノミネート
|
1993 |
バカス |
新人監督賞 |
受賞
|
脚本賞 |
ノミネート
|
- サン・ジョルディ賞(スペイン語版)
年 |
作品 |
部門 |
結果
|
1994 |
赤いリス |
スペイン映画賞 |
受賞
|
1993 |
バカス |
Primer trabajo |
受賞
|
映画祭
- カンヌ国際映画祭
年 |
作品 |
部門 |
結果
|
1996 |
Tierra |
パルム・ドール |
ノミネート
|
1993 |
赤いリス |
新人監督賞 |
受賞
|
- ヴェネツィア国際映画祭
- マラガ映画祭
脚注
外部リンク