ハバネロ[2](西: chile habanero、英: Habanero chilli、学名:Capsicum chinense)はトウガラシ属の植物の一種で、カプシクム・キネンセの品種の一つ。実の大きさは2 - 6センチメートル。名称はハバナにちなみ、スペイン語では"H"を発音しないためチレ・アバネロとなる。
ハバネロの熟す前の実は緑色だが、熟すると様々な色に変わる。最も一般的なのはオレンジ色だが、白、ブラウン、ピンクなどもみられる。
ハバネロの辛さはおよそ300,000スコヴィル(辛さの単位)で、ギネスブックにはGNS Spices Inc. が1994年に申請した最高記録として577,000スコヴィルが掲載されている。その起源は中央アメリカから南アメリカで、アマゾン盆地かその近くの沿岸部である確率が最も高いと考えられており、そこからユカタン半島に伝わったようである。ユカタンでは現在年に1500トンが生産されており、その他の産地としてブラジル、コスタリカ、ベリーズ、アメリカ(テキサス州、アイダホ州、カリフォルニア州)がある。
ハバネロは単に猛烈に辛いだけでなく、柑橘系のフルーティーな香りがある。したがってハバネロは鳥、牛肉料理やカレーなどに用いることにより、料理全体の食味を向上させることができる。逆に日本食のうどんなどの淡白な風味の料理に用いるとハバネロの風味が勝るために使用には注意を要する。日本では東ハトがスナック菓子「暴君ハバネロ」を2003年に発売し、第一次激辛ブームの80年代(1984年~87年)以来、本商品が第二次激辛ブームの発端となり、急激に知名度が上がった。
ハバネロがギネスブックに登録されて以降、ハバネロよりも遥かに辛いトウガラシが品種改良などにより作出された。2006年12月にエスビー食品が開発した品種「SBカプマックス」が、2007年2月にはインド・バングラデシュ産のキネンセ種の一つブート・ジョロキアが世界一辛いトウガラシとしてギネスブックに認定された。また、SBカプマックス以前にギネス記録とされていた、ハバネロから選抜改良されたレッドサビナ種(Red Savina pepper)も、従来のハバネロより2 - 3倍程度スコヴィル値が高いとされている。現在では、2023年に登録されたペッパーXがギネスブックに世界一辛い唐辛子として登録されている。
激烈な刺激性を持っているため、飛沫したハバネロの汁が眼やその周辺、鼻、耳、皮膚の弱い部分等に付着、それを放置すると火傷のように爛れる恐れがあるので、すぐに水で洗い流す必要がある。従って、調理の際には手袋やゴーグルを着用する事が望ましい。
ハバネロ等唐辛子を使った料理には、含有されているカプサイシンの効果により脂肪を燃やす働きがあり“やせる”と考えられることもあるものの、まだ明確な根拠は示されていない[3]。「ハバネロ料理」又はスパイスとしてハバネロが用いられている料理には肉類やコーン類・油脂等総合的に見れば高カロリーになっているものもあるので注意が必要。
近年、テキサス州の研究者がユカタン半島の辛いハバネロとボリビアの辛くないキネンセ種を掛け合わせ、風味はハバネロそのものだが、辛味のない唐辛子を作出した[1]。
日本国内における栽培は、野菜の中でも比較的容易である。国内で栽培する場合は一年草として扱うが、室内栽培であれば比較的容易に越冬させられる(以下に示した月数は東京を基準としている)。