ハッランド級駆逐艦(ハッランドきゅうくちくかん、スウェーデン語: Jagare typ Halland; Hallandsklass)は、スウェーデン海軍が運用していた駆逐艦の艦級。4隻が計画され、2隻が建造されたほか、コロンビア海軍向けにも発展型2隻が建造されている[1]。
来歴
本級は、中立国スウェーデンが領海侵犯に対する警備用として建造したものである[2]。まず1948年11月19日、2隻の建造が承認され、ヨーテボリに所在する2ヶ所の造船所にそれぞれ発注された(「ハッランド」はイェータヴェルケン造船所、「スモーランド」はエリクスベリス・メカニスカ・ヴェルクスタッズ造船所)。1955年には「ラップランド」(HMS Lappland)と「ヴェルムランド」(HMS Värmland)も追加発注されたが、これは1958年にキャンセルされている[1]。
設計
船型としては船首楼型を採用した[2]。主ボイラーとしてはベノー式の蒸気圧力40 kgf/cm²、蒸気温度420℃の缶を、また蒸気タービンとしてはド・ラヴァル式の出力29,000 hp (22 MW)の機関を搭載していた[1]。
当初艦対艦ミサイルとしては試作ミサイルであるRB 315を装備していた[1]。その後、1964年にRB 08Aが完成したのに伴って、「スモーランド」は1966年、「ハッランド」は1967年に、それぞれ換装を行っている[2][3]。これにより、旧東側諸国を除いて初の艦対艦ミサイルを装備した駆逐艦となっている[1][4]。なお、RB 315の装備を艦対艦ミサイルの配備とするならば世界初とも解釈できるが、RB 08を基準とすると、就役前の1957年からP-1(SS-N-1「スクラバー」)を装備して公試を行い、1958年に就役した「ベドーヴイ」が先行する。
主砲としては、ボフォース社製の自動砲であるM/50 50口径120mm連装砲(発射速度40発/分)を艦首の船首楼甲板上および艦尾甲板に1基ずつ設置していた。また高角砲としてはM/50 60口径57mm連装砲(発射速度130発/分)を艦橋直前の甲板室上に搭載するほか、M/48 70口径40mm単装機銃6基を各所に搭載していた。建造当初は、対空レーダーとしてLW-03、射撃指揮装置としてM20およびM45を搭載していたが、このうちM20には目標捕捉機能が付与されていた。その後、LW-03およびM45とバーターに9LV 200 Mk.2が搭載された[1]。
なお、対潜兵器として搭載されたM/50 375mm 4連装対潜ロケット発射機は、オランダのホラント級に続いて2例目の採用となった[2]。
配備
「ハッランド」は1962年と1969年、「スモーランド」は1964年と1967年に改装が行われている[1]。
ギャラリー
参考文献
- ^ a b c d e f g h i Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. (1996). p. 68,445. ISBN 978-1557501325
- ^ a b c d 高須廣一「スウェーデン/チリ/ドイツのユニークな顔触れ (特集・戦後の駆逐艦)」『世界の艦船』第587号、海人社、2001年10月、96-97頁、NAID 40002156164。
- ^ “RB 08A”. Arboga Robotmuseum. 2010年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月1日閲覧。
- ^ “Jagaren Småland”. MARITIMAN. 2012年10月2日閲覧。
関連項目
- 同世代艦
外部リンク