『ハウス・オブ・M 』(House of M )は、マーベル・コミック から2005年より出版された全8号のリミテッド・シリーズで、クロスオーバー ストーリーである。ライターはブライアン・マイケル・ベンディス 、イラストレーターはオリビア・コワペル である。『プラネットX 』、『アベンジャーズ・ディスアッセンブルド 』から続き、子供と力を失い精神を病んだミュータントヒーローのスカーレット・ウィッチが能力を暴走させ、世界を改変させるストーリーである。スカーレットの父のマグニートー や双子の弟のクイックシルバー も登場する。
マーベルのマルチバース(多元宇宙) (英語版 ) では、本作品の舞台はアース-58163と設定されている。(正史世界はアース-616である)
出版史
2005年6月に第1号が発売されて233000部以上を売り上げ、第2号と合わせてその月で1位、2位を獲得した[1] 。11月に出た最終第8号は135462部を売り上げ、第3位の成績となった[2] 。全8号の本編に加え、『エクスカリバー 』第13-14号、『アンキャニー X-メン 』、 『ニュー・X-メン: アカデミー・X 』、『ウルヴァリン 』とクロスオーバーした他、『ファンタスティック・フォー: ハウス・オブ・M 』、『ジ・インクレティブル・ハルク: ハウス・オブ・M 』、『アイアンマン: ハウス・オブ・M 』、『ミュートピア・X: ハウス・オブ・M 』、『スパイダーマン: ハウス・オブ・M 』といったミニシリーズも制作された。
主な登場キャラクター
アストニッシングX-MEN
ジェノーシャ国
プロフェッサーX
マグニートー
スカーレット・ウィッチ
クイックシルバー
ニューアベンジャーズ
オールド・アベンジャーズ
イエロージャケット(ハンク・ピム)
ワスプ
ワンダーマン
ミズ・マーベル
ファルコン
シー・ハルク
その他
あらすじ
発端
スカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフはチャールズ・エグゼビア教授(プロフェッサーX)と父のマグニートーと共にアフリカ東部の島国・ジェノーシャで療養生活を送っていた。プロフェッサーXは、テレパシー能力でワンダを眠らせ、現実改変能力を抑えるのには限界が来ているとマグニートーに話す。マグニートーは自分の夢と野望のために自分の子供を不幸に陥れたことで自責の念に囚われていた。
場面は変わり、エグゼビアはアベンジャーズ・タワーにX-メン とアベンジャーズ を招集し、ワンダ・マキシモフの今後の処置についての会議を開いた。エマ・フロスト はワンダを処分するしかないと結論付ける一方、キャプテン・アメリカ は他の方法を捜すべきだと述べる。フロストはさらに、ワンダの暴走が世間に知れ渡ったら人間とミュータントの関係は石器時代まで逆戻りしてしまうと主張する。話は平行線を辿り一向に結論が出ないため、一同は彼女と話し合うためにジェノーシャへ向かう。
同じ頃、ジェノーシャでは取り乱したクイックシルバー がマグニートーに詰め寄り、ニューヨーク でX-メンとアベンジャーズがワンダを殺すことを企てていると話す。マグニートーはどうしていいかわからず、ただすすり泣く息子と眠らされている娘を見るだけだった。
その後、エグゼビアと2つのグループがジェノーシャに到着するが、ワンダの姿がどこにも見当たらない。そして突如、世界が真っ白になる。
新世界
光が消えると、世界は大きく変化していた。サイクロップス とエマ・フロストは結婚し、ドクター・ストレンジは心理学者となり、アスリートで俳優のピーター・パーカー(スパイダーマン) はグウェン・ステイシー と結婚して子供をもうけ、キャロル・ダンバース はアメリカを代表するスーパーヒーローであるキャプテン・マーベル として活動し、ガンビット は犯罪者として追われ、スティーブ・ロジャースは老人となり、そして皆改変前の世界の記憶を失っていた。しかし、これまでの生涯の記憶を全て取り戻したウルヴァリン だけが元の記憶を保持し、世界が変わったことを認知した。この世界ではホモ・スーペリアー(ミュータント)とホモ・サピエンス (人間)の立場が逆転しており、マグナス一族(ハウス・オブ・M)が王族となって支配していたのだ。
ウルヴァリンはX-メンとアベンジャーズを捜し始める。まずはウェストチェスター郡にある恵まれし子供らの学園へ向かったが、プロフェッサーXは見当たらない。次にウルヴァリンはトニー・スターク を探しにスターク・タワーへ行くが、そこで元の世界では「仲間」だったレッドガード(S.H.I.E.L.D. のエリートミュータント集団)に遭遇する。逃亡したウルヴァリンは人間を守るためにレジスタンス活動をするルーク・ケイジ と出会い、更に現実世界で死んだはずのホークアイ(クリント・バートン) を見て衝撃を受ける。
ウルヴァリンはなぜ自分だけがこの世界がスカーレット・ウィッチによって創られたものであることを知っているのか、理由をケイジ達に説明する。彼はマグニートーが皆の望みが反映された世界を創造する為に、彼女を利用したのだと推理した。マグニートーはミュータントを支配する世界、スパイダーマンは罪悪感から自由になる生活、ウルヴァリンは失われた長年にわたる全ての記憶を取り戻したのだ。ケイジは、昨日出会いウルヴァリンと全く同じ話をするレイラ・ミラー という少女を紹介する。彼女もまた元の世界を知る者で、ヒーローたちの元の記憶を呼び覚ます能力を持っていたのだ。ヒーローたちを目覚めさせるため、ウルヴァリン達は新しい人生を送るアベンジャーズやX-メンの下を訪れるのだった。
目覚め
ウルヴァリンとレジスタンスたちはサイクロプス、スパイダーマン、シャドウキャット、ドクター・ストレンジ、アイアンマン、シー・ハルク 、デアデビル 、ローグ、ミスティーク 、ナイトクローラー 、トード、スパイダーウーマン を含む多くのヒーローたちの記憶を呼び起こす。元の世界で自分が死んだと知ったホークアイは姿を消した。そして一同はマグニートーと決着をつけるためにジェノーシャへと向かう。
ジェノーシャではマグニートーが記念行事の為に世界各国から代表者を招待しており、そこへヒーローたちが攻撃を仕掛ける。その一方でクローク、エマ・フロスト、ドクター・ストレンジ、レイラ・ミラーがエグゼビアを捜していた。彼らは、エグゼビアの名前が彫られた墓石を見つけ、クロークがその下に潜って身体を探すが、何も見つからなかった。
決戦
マグナス一族とヒーロー達が激しい戦闘を繰り広げる中、ドクター・ストレンジは離脱してワンダと子供たちが居る塔へと向かう。彼はこの狂気の原因を明らかにするためにワンダに問いかけ、そして彼女はストレンジに世界が変わる直前の光景を見せる。そこには、クイックシルバーがワンダに誰も幸せに過ごせる完璧な世界を創造することを促している姿が映っていた。この事実を知ったエマ・フロストは、ドクター・ストレンジに、さらにチャールズ・エグゼビアの居場所について質問するように指示した。だがそのとき、ワンダは背後から弓矢で射ぬかれた。
矢を放ったのはワンダに激昂するホークアイだった。ホークアイはさらにもう一度矢を向けようとするが、その瞬間彼の肉体は消滅させられる。再びワンダが暴走を始めようとしたそのとき、レイラ・ミラーによって現実の記憶を取り戻したマグニートーが現れ、世界を弄んだ上に自分の名を騙ったクイックシルバーに激怒し、絶命させてしまう。クイックシルバーの亡骸を抱えたワンダはマグニートーに「私たちはただのフリークよ!それがミュータントよ!あなたが望んだ世界は皆を不幸にしただけ!それなら…ミュータントなんていなくなればいい…」と言い、そしてまたも世界は真っ白になった。
M-デイ
目が眩むような閃光がおさまると世界は外観上は元通りになり、ピーター・パーカーがベッドで目覚めると側にメリー・ジェーンが居た。アベンジャーズはその夜何が起こったかを理解するために集まるが、一部の者達を除いて多くの者が再び記憶を失っていた。話し合いの最中そこにドクター・ストレンジが現れ、「世界は元に戻っていない」と言う。そこに、破壊された旧アベンジャーズマンションより侵入警報が発せられる。アベンジャーズが見た物は、壁に矢で張り付けられたホークアイのコスチュームと弓矢であった。戦死したはずのホークアイは復活したのか?
同じ頃、恵まれし子供らの学園でエマ・フロストたちが目覚め、学園のミュータントたちのほとんどがその能力を失っていることに気づく。さらに、エマがセレブラでスキャンしたところ、世界中に数百万いたはずのミュータントの大部分が同じように能力を失くしていることが判明する。すぐにX-メンはジェノーシャへ飛んだが、そこに居たのは能力を失くしたマグニートーだけで、ワンダもクイックシルバーの姿も見えなかった。
この日起こったミュータント能力消失現象は、後に「M-デイ」と呼ばれることとなる。また、この日ミュータントから消え去ったパワーが原因で引き起こされた騒動がニューアベンジャーズ の「コレクティブ編」で描かれることになった。
ディシメーション
2005年末、「ハウス・オブ・M」でミュータント能力を失ったヒーロー・ヴィランたちのその後を描く『ディシメーション 』が出版された。
タイ・イン
『ハウス・オブ・M』は以下のコミックとストーリーの繋がりがある。
コレクテッド・エディション
トレード・ペーパーバック
タイトル
収録作品
発行日
ISBN
House of M: Excalibur - Prelude
Excalibur #11-14
2005年8月
978-0785118121
House of M
House of M #1-8; The Pulse: House of M Special
2006年2月
978-0785117216
House of M: Incredible Hulk
Incredible Hulk #83-87
2006年2月
978-0785118343
House of M: Fantastic Four / Iron Man
Fantastic Four: House of M #1-3; Iron Man: House of M #1-3
2006年7月
978-0785119234
House of M: Uncanny X-Men
Uncanny X-Men #462-465; first half of Secrets of the House of M
2006年1月
978-0785116639
House of M: Mutopia X
Mutopia X #1-5
2006年2月
978-0785118114
House of M: New X-Men
New X-Men: Academy X #16-19; second half of Secrets of the House of M
2006年2月
978-0785119418
House of M: Spider-Man
Spider-Man: House of M #1-5
2006年3月
978-0785117537
House of M: World of M, Featuring Wolverine
Wolverine #33-35; Captain America #10; Black Panther #7; Pulse #10
2006年3月
978-0785119227
House of M: Avengers
House of M: Avengers #1-5
2008年7月
978-0785127505
House of M: Civil War
Civil War: House of M #1-5
2009年5月
978-0785133803
House of M: Masters of Evil
House of M: Masters of Evil #1-5
2010年2月
978-0785141662
ハードカバー
タイトル
収録作品
発行日
ISBN
House of M, Vol 1
House of M #1-8; The Pulse: House of M Special
2008年1月
978-0785124665
House of M, Vol 2: Spider-Man, Fantastic Four, and X-Men
Spider-Man: House of M #1-5; New Thunderbolts #11; Fantastic Four: House of M #1-3; Black Panther #7; Uncanny X-Men #462-465
2009年12月
978-0785138815
House of M, Vol 3: Wolverine, Iron Man, and Hulk
Wolverine #33-35; Iron Man: House of M #1-3; Incredible Hulk #83-87; Hulk: Broken Worlds #1; Captain America #10; Pulse #10; Cable & Deadpool #17
2010年2月
978-0785138822
House of M, Vol 4: No More Mutants
Mutopia X #1-5; New X-Men #16-19; Exiles #69-71; House of M: The Day After ; Giant-Size Ms. Marvel #1
2010年1月
978-0785138839
日本語版
ヴィレッジブックス より発売されている。
タイトル
収録作品
訳者
発行日
ISBN
X-MEN/アベンジャーズ ハウス・オブ・M
House of M #1-8; The Pulse: House of M Special
石川裕人 御代しおり
2010年10月
978-4863322837
スペイン王室とのトラブル
2005年に発売の『The Pulse: House of M Special』の表紙として当初発表されたイラスト(Mike Mayhew作画)は、スペイン王室が著作権を所有するスペイン国王フアン・カルロス1世 の写真を模写してマグニートーに書き換えたものであったため、スペイン王室の法務担当者よりマーベルに抗議が入り[3] 、実際の表紙は白いスーツを着たマグニートーに差し替えられた。
ただし、スペイン国王に酷似したマグニートーの礼服自体は『ハウス・オブ・M』本編でそのまま使用されており、2011年にカプコン より発売となったゲーム『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3 』ではマグニートーのアレンジコスチュームとしてスペイン国王風衣装がダウンロード販売されると発表。しかし、スペインのマスコミによって自国国王に酷似した衣装のゲーム内で使用されることが報道され問題化したため[4] 、マグニートーのアレンジコスチュームの販売は中止となった[5] 。
関連項目
出典
外部リンク
コミック作品
コミック作品 映画
MCU単独作品 MCUクロスオーバー作品 MCUゲスト出演作品
OVA
テレビアニメ
テレビゲーム テーマパーク キャラクター
関連項目
映画
MCU単独作品 MCUゲスト出演作品 MCUクロスオーバー MCUカメオ出演作品
テレビアニメ
OVA
コミック作品 映画
テレビアニメ
キャラクター
関連項目
コミック作品 映画
単独作品 MCU単独作品 MCUクロスオーバー作品 MCUゲスト出演作品
テレビドラマ テレビアニメ
キャラクター 日本での関連項目
コミック作品 映画 テレビアニメ
キャラクター
日本の関連項目
コミック作品 映画、OVA
テレビアニメ
ゲーム
キャラクター
作者
テレビアニメ 配信アニメ 実写作品 書籍 楽曲
OP ED
Imagination > Reality - 半パン魂 - アメイジング ザ ワールド - 迷々コンパスはいらない - Roots of Happiness - Carry on - Chase Me - 明日へ - スタートダッシュ - MAGIC TIME - Twinkle - ハートフル
挿入歌
関連項目
作品
昭和シリーズ 平成vsシリーズ ミレニアムシリーズ 2010年代以降 アニメ映画 アメリカ映画
テレビ・Web番組 関連作品
その他
関連人物
プロデューサー 原作者 脚本家 映画監督 特技監督 音楽家 スーツ・モーションアクター 彫刻家 その他
カテゴリ
映画
テレビアニメ テレビドラマ テレビゲーム コミック その他
玩具シリーズ 特定機種
ヘリック共和国 ゼネバス帝国 ガイロス帝国 ネオゼネバス帝国 その他
メディア展開
設定
関連項目
カテゴリ
クラシック ビーストウォーズ マイクロン三部作 プライムユニバース Webアニメ その他 実写映画シリーズ サブシリーズ キャラクター
サブグループ
設定 復刻商品 日本国外展開 テーマパーク コミック 漫画 制作 人物 音楽 出版 日本の放送枠
カテゴリ
クロスオーバー
カテゴリ