『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』(ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドをふっかつせよ、DRAGON QUEST BUILDERS)は、スクウェア・エニックスより2016年1月28日に発売されたゲームソフト。略称は『DQB』。
対応プラットフォームはPlayStation 4、PlayStation 3、PlayStation Vita(Vita TVは非対応)、Nintendo Switch(2018年3月1日発売[4])。
「ブロックメイクRPG」というジャンルの『ドラゴンクエストシリーズ』[8]。
竜王の罠によって勇者が姿を消し、魔物に支配された世界の「アレフガルド」を冒険し、素材を集めて、町やお城を創り復興するという新しいテーマの作品。ドラゴンクエストシリーズ最後のPS3・PS4用ソフトとなった。
ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエスト』の終盤では、最終ボスの竜王がプレイヤーに対して仲間になるように勧誘するイベントが発生し、拒否すると竜王との最終決戦になるが、逆にプレイヤーが竜王の誘いにのるとゲームオーバーになってしまう[注 1]。本作『ビルダーズ』は、このイベントで勇者が竜王の誘いに乗ってしまったために闇に包まれ、荒廃してしまったアレフガルドを復興させるという設定になっている。
スライムやドラゴンといった初代『ドラゴンクエスト』に登場したモンスターだけでなく、新たに竜王の配下になったという設定で他のシリーズ作品からもモンスターが登場する。
荒廃したアレフガルドを再建しつつ、竜王討伐を目指す「ストーリーモード」と、知られざる島で自由にモノづくりを楽しむ「フリービルドモード」の2つのモードがあり、後者はストーリーモードクリア状況により解放される大陸から素材を入手したりバトル島で特別なモンスター軍団と戦ってレシピを得たりできる他、ネットワークに繋ぐことで他プレイヤーが作った建物をやりとりできる。
公開された情報からは『ドラゴンクエスト』版の『Minecraft』(マインクラフト)的なゲームになるのではないかと推測するメディアもあった[9][10]。
PS4、PS3、PS Vitaの3機種で発売されたが、セーブデータ容量がかなり大きくなるためクロスセーブには非対応[11]。
『週刊ファミ通』のクロスレビューでは合計36点(40点満点)でプラチナ殿堂入りした。
売り上げは3機種合計で55万本となり、発売週はPS Vita版が1位、PS4版が2位の売り上げでワンツーフィニッシュとなった。店頭消化率は85%に達し、本体の売り上げも牽引するなど好調な売り上げだと報じられた[12]。2016年10月には北米、ヨーロッパでも『Dragon Quest Builders』のタイトルで発売され、世界累計で110万本のヒットとなった。
Nintendo Switch版はフリービルドモードでベビーパンサーに乗れる、初代『ドラゴンクエスト』のドットを再現したブロックが手に入るといった追加要素[4]のほか、カメラ視点の変更(3段階)、日数チャレンジの廃止など旧機種には無い改善点もいくつかある。
iOS・Android版は作業を戻せるundo機能やタップした場所への配置、破壊。前方広範囲の物を破壊するドッカンハンマーが追加され、フリービルドモードにも様々な新アイテム(有料ダウンロードコンテンツ含む)が追加されている。
2024年2月14日には、Steamでのダウンロード販売もされた。既にSteam移植版が配信されていた、「ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島」とのバンドル販売版もある。
2016年1月22日からPS4、PS Vita版(PS3版は無し)、2018年2月1日からNintendo Switch版の体験版が配信された。メルキド編の序盤をプレイ可能。体験版はセーブ可能だが、セーブデータは製品版には継承できない。
『ドラゴンクエストビルダーズ』のゲームソフトと、メタルスライムカラーのPlayStation Vita本体、オリジナルテーマ、「はぐれメタル」イヤホンジャックフィギュアを同梱した限定パッケージも同時発売される[13]。
また、PS4本体も主人公とスライムのイラストが刻印され、オリジナルのテーマを封入した「ビルダーズエディション」が発売されるが、こちらにはソフトは付属しない。
2018年12月20日には、続編の『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』がPS4とNintendo Switchで発売された[14]。本作からの引き継ぎ要素もある[4]。
アレフガルドに現れた邪悪なドラゴンの化身・竜王は魔物の軍勢を率い、この地に侵攻する。伝説のロトの血を引く勇者が現れ、魔物たちに挑むが、竜王の罠に嵌まり帰らぬ人となってしまう。
大地は引き裂かれ、城塞都市メルキドの守護神ゴーレムは人間を襲い、美しい湖の街リムルダールは毒の沼地に浸食され、温泉の街マイラは溶岩に覆われた。そして人々はものを創り出す力を奪われ、住む地を追われてしまう。魔物が支配し、闇に包まれたアレフガルドは荒廃していった。
しかし、それから数百年後、この地に新たな救世主が現れる。精霊ルビスの導きによって現れた「ビルダー」は失われた「創造する力」によって滅びた街を復興させる。樹を植え、家を作り、食べ物を作り、散り散りになった人々を集めていく。モンスターと戦い、人々の希望を繋ぎアレフガルドを復活させていく。
ビルダーは勇者の肩書を持たぬ身ながら世界に光を取り戻すべく、竜王に立ち向かっていくのだった。
ターン制の多いドラゴンクエストシリーズに対して、本作はアクション要素の強いものになっており、オープンワールドゲームのうち「サンドボックス」と呼ばれる形式に近い。フィールドから採取した素材や、それを加工したアイテムを使って町や施設を作り上げ、住人からの依頼を受けたり、竜王の刺客を排除したりして、その地域を支配するモンスターの撃破を目指す。
本作の開発は2014年に開始された[28]。『ファイナルファンタジーXIV』のアシスタントディレクターを務めていた新納一哉がサンドボックスタイプのゲームを作りたいという企画を出し、吉田直樹とのディスカッションでストーリー性があるものを作れないかと『ドラゴンクエスト』の世界を合わせてみた。これを三宅有にプレゼンテーションしたところ、藤本則義が一目ぼれし堀井雄二に提案した。はじめに新納の企画があり、そこに後から『ドラクエ』の世界設定が採用された形となっており、企画書の段階ではファイナルファンタジーシリーズの世界を使用した物もあったという[29]。このような経緯もあり、開発は新納が当時所属していたスクウェア・エニックス第5ビジネスディビジョン(現第三開発事業本部)が手がけており、派生シリーズとしては初めての内製となった。
ゲームの規模としてあまり広すぎると間延びするため、『DQI』のアレフガルドの規模が丁度いいということで舞台に選ばれ、プロジェクト名は「城砦都市メルキド」とされた。堀井雄二もモノ作りが楽しめるゲームが好きだったものの、一方で何でも自由にできるゲームだとプレイヤーが何をやっていいか分からなくなるのではと懸念した。ドラゴンクエストシリーズは年齢を問わず、誰でも安心して遊べることを最低条件としているため、打ち合わせが続けられた。
その中で堀井から、図面通りに作れば誰でも建物を完成させられる「設計図」のシステムが提案され、企画が進行した。また、壊れたお城を登場させ、それを直すことで建物を完成させる楽しさを味わえるようにするなどの工夫がされている。序盤のゲームバランスは特に念入りに調整され、第1章であるメルキド編の序盤だけで1年以上が費やされた。