『トゥゲザー・スルー・ライフ』(英: Together Through Life)は、2009年にリリースされたボブ・ディラン33作目のスタジオ・アルバム。
ビルボード200と全英アルバム・チャートの両チャートで初登場1位を記録し、イギリスでは『新しい夜明け』(1970年)以来39年ぶりの1位獲得となった[1]。
経緯
ローリング・ストーン誌によればアルバムの噂は突然の驚きであり[2]、公式発表の2009年3月16日にはリリースまでにすでに2ヶ月を切っていた。これは、当初秋リリース予定だったものが次作『クリスマス・イン・ザ・ハート』のプランが立ち上がったことで前倒しにされたためである。ディランは『ラヴ・アンド・セフト』(2001年)及び『モダン・タイムズ』(2006年)の2作に引き続いて、ジャック・フロストの変名でプロデュースをしている。
リリースに先行して、ディランの公式サイトには音楽ジャーナリストのビル・フラナガンとのインタビューが掲載された。そこでディランはアルバムの創作初期段階について、フランス人映画監督のオリヴィエ・ダアンよりロード・ムービー『My Own Love Song』(2010年)のための曲を依頼され、それが「ライフ・イズ・ハード」という曲になり、「それがこのレコードの方向性のようなものになった」と述べている[3]。
このアルバムのレコーディングには、2008年時点でのディランのツアーバンドに加えて、ロス・ロボスのデヴィッド・イダルゴ(David Hidalgo)がアコーディオン奏者として、さらにトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・キャンベル(Mike Campbell)がギタリストとして参加している。
3月30日、「ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシン」が1日限定の無料ダウンロードで公式サイトより配布された。4月6日、「アイ・フィール・ア・チェンジ・カミング・オン」がタイムズ紙の公式サイトにて発表され[4]、追ってディランの公式サイトでも試聴が可能となった。
楽曲
ディランはこのアルバムの楽曲のほとんどを、グレイトフル・デッドの作詞家だったロバート・ハンター(Robert Hunter)と共作している。ハンターとの共作は『ダウン・イン・ザ・グルーヴ』(1988年)以来である。
前作に続きブルース色が濃い内容となっている。中でも「マイ・ワイフズ・ホーム・タウン」はマディ・ウォーターズの "I Just Want to Make Love to You" (作曲: ウィリー・ディクスン)の替え歌とも言える内容で、アレンジも殆ど変えていない。
エディション
このアルバムは3種類の形態でリリースされている。
- 通常盤CD - 楽曲のみ
- デラックス盤(3枚組) - 通常盤CDに、ディランのラジオ番組である『テーマ・タイム・ラジオ・アワー』で放送分のエピソード "Friends & Neighbors" のCD、及び映画『ノー・ディレクション・ホーム』(2005年)から外された、ディランの最初のマネージャーであるロイ・シルバーのインタビューDVDが付属
- LPレコード(2枚組) - 米盤には通常盤CDが付属
収録曲
通常盤CD
特記なき楽曲は、作詞: ボブ・ディラン、ロバート・ハンター(Robert Hunter)、作曲: ディラン
- ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング - Beyond Here Lies Nothin' – 3:51
- ライフ・イズ・ハード - Life Is Hard – 3:39
- マイ・ワイフズ・ホーム・タウン - My Wife's Home Town – 4:15
- イフ・ユー・エヴァー・ゴー・トゥ・ヒューストン - If You Ever Go to Houston – 5:49
- フォゲットフル・ハート - Forgetful Heart – 3:42
- ジョリーン - Jolene – 3:51
- ディス・ドリーム・オブ・ユー - This Dream of You – 5:54
- シェイク・シェイク・ママ - Shake Shake Mama – 3:37
- アイ・フィール・ア・チェンジ・カミング・オン - I Feel a Change Comin' On – 5:25
- イッツ・オール・グッド - It's All Good – 5:28
デラックス盤
通常盤CDに加えて、下記のCD及びDVDが付属する。
- CD
- Theme Time Radio Hour: Friends & Neighbors
- 下記はこのエピソードで流されて、CDにも含まれている楽曲である。
- Howdy Neighbor – Porter Wagoner & The Wagonmasters
- Don't Take Everybody to Be Your Friend – Sister Rosetta Tharpe
- 作詞・作曲: M.Gabler/R. Tharpe
- Diamonds Are a Girl's Best Friend – T-Bone Burnett
- La Valse de Amitie – Doc Guidry
- Make Friends – Moon Mullican
- My Next Door Neighbor – Jerry McCain
- Let's Invite Them Over – George Jones & Melba Montgomery
- My Friends – ハウリン・ウルフ
- 作詞・作曲: C. Burnett/S. Ling
- Last Night – リトル・ウォルター
- 君の友だち - You've Got a Friend – キャロル・キング
- Bad Neighborhood – Ronnie & The Delinquents
- 作詞・作曲: Caronna/M. Rebennack
- Neighbours – ローリング・ストーンズ
- Too Many Parties and Too Many Pals – Hank Williams
- 作詞・作曲: B. Rose/M. Dixon/R. Henderson
- Why Can't We Be Friends – War
- 作詞・作曲: S. Allen/H. Brown/M. Dickerson/J. Goldstein/L. Jordan /C. Miller/H. Scott/L. Oskar
- DVD
- ロイ・シルバー – ロスト・インタビュー - Roy Silver – The Lost Interview
- 1962年7月、「風に吹かれて」Witmark デモ録音を含む
パーソネル
チャート
『トゥゲザー・スルー・ライフ』はリリース第1週で125,000枚を売り上げ、ビルボード200でチャート初登場1位を記録した[5]。
リリース
- 日本
日付
|
レーベル
|
フォーマット
|
カタログ番号
|
付記
|
2009年5月27日[6]
|
ソニー
|
CD + DVD
|
SICP-2235・2236
|
初回生産限定盤、日本独自特典DVD付(映画『色即ぜねれいしょん』、映画『アヒルと鴨のコインロッカー』、映画『アイデン&ティティ』の一部映像)
|
2009年5月27日[7]
|
ソニー
|
CD
|
SICP-2237
|
通常盤
|
2009年6月10日[8]
|
ソニー
|
2CD + DVD
|
SICP-2250・2251・2252
|
デラックス・エディション、完全生産限定盤、アルバムジャケット絵柄のステッカー&ポスター封入
|
脚注
|
---|
スタジオ・アルバム | |
---|
ライブ・アルバム | |
---|
コンピレーション・アルバム | |
---|
ブートレッグ・シリーズ | |
---|
コンサート&ツアー | |
---|
映画 | |
---|
関連項目 | |
---|
カテゴリ |