デル・ピラール級哨戒艦(英語: Del Pilar-class offshore patrol vessel)は、フィリピン海軍の哨戒艦の艦級。アメリカ沿岸警備隊を退役したハミルトン級カッターを再就役させたもので、再就役当初はフリゲートとして扱われていたが、軽武装であることから、2019年に一括して哨戒艦に艦種変更された[2]。
概要
長年フィリピン海軍の主力を務めてきたのは、キャノン級護衛駆逐艦などの旧式艦艇や、ジャシント級コルベットといった軽武装の艦艇であった。そのため海軍力を強化すべく、2011年より取得が始まったのが本級である。
その前身は、アメリカ沿岸警備隊のハミルトン級長距離カッター(WHEC)であり、取得時点で既に艦齢が40年を超えるが、フィリピン海軍が現在装備する戦闘艦艇としては最大である。
装備
アメリカ沿岸警備隊でハミルトン級として就役していた際には、対潜戦に備えてAN/SQS-38ソナーとMk.32 3連装短魚雷発射管を搭載していたが、これらは冷戦終結後の1990年代中盤以降、コスト低減のため撤去されている。
また防空用のAN/SPS-40対空捜索レーダーとファランクス近接防空火器(CIWS)も、フィリピンへの売却に伴って撤去された。ただしMk.75 76mm単装速射砲(オート・メラーラ 76mmコンパット砲)およびMk.92 mod.1砲射撃指揮システム(GFCS)については維持された。
Mk.92 mod.1 GFCSは、射撃指揮用の追尾用アンテナとともに捜索・捕捉用アンテナを有しており、低空警戒レーダーとしての機能も備えている。また、25mm機銃を安定化・遠隔操作式のMk.38 mod.2(タイフーンRWS)に換装する計画が認可された[4]ほか、レーダー・システムの更新やハープーン艦対艦ミサイルの搭載などの装備強化も検討されている[5]。
同型艦
脚注
出典
参考文献
- 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、2021年4月。 NAID 40022516372。
- 海人社 編「海外艦艇ニュース 米コースト・ガードのカッターをフィリピン海軍が購入」『世界の艦船』第787号、海人社、2013年11月。
関連項目