ジェームス・テイラー (アルバム)
『ジェームス・テイラー 』(James Taylor 、旧邦題『心の旅路』) は1968年12月6日に発売されたアメリカのシンガー・ソングライター、ジェームス・テイラー のセルフタイトルのデビュー・アルバム。
このアルバムはアップル・レコード で初めての英国人以外による録音であり、テイラーにとってはこのレーベルからの唯一のリリースとなった。南アフリカではFirst Album のタイトルで発売された。
背景
アルバムはビートルズ が新たに結成したレーベルアップル・レコード のA&R チーフのピーター・アッシャー にプロデュースされた[ 1] 。テイラーはビートルズの『ホワイト・アルバム 』のレコーディングと同時期の1968年7月から10月にかけて、ロンドンのトライデント・スタジオでアルバムを録音した[ 2] [ 3] 。トライデントはこの当時、イングランドで最も技術的に先進的なスタジオであり、とても混んでいたので、ビートルズによって予約されたセッション時間の一部がテイラーのアルバムの録音に使用された。ポール・マッカートニー とピーター・アッシャーがアレンジャーのリチャード・アンソニー・ヒューソン を何曲かにオーケストレーションを加えるために招き、曲と曲との間に珍しい「リンク」パッセージを追加したが、これらの曲は良くても混合的な評価を受けることになった[ 4] [ 5] 。
楽曲
注目すべき楽曲としては「彼女の言葉のやさしい響き 」、「思い出のキャロライナ 」および 「雨の日の男」"Rainy Day Man" などがあげられる。マッカートニーとクレジットにはないがジョージ・ハリスン がそれぞれその歌詞の"holy host of others standing around me"でビートルズに言及している「思い出のキャロライナ」でベース とバッキング・ボーカル をでゲスト参加したが、「彼女の言葉のやさしい響き」"Something in the Way She Moves" のタイトルがハリスンに「サムシング 」のきっかけを提供した[ 4] [ 6] 。(偶然にも、テイラーはこの曲をコーラスのドミナント・ラインにちなんで "I Feel Fine "と呼ぶつもりだったと言っているが、タイトルはすでにビートルズの曲 に取られていた)。テイラーはまた、2枚目のアルバムで画期的なヒットとなるファイアー・アンド・レイン の極めて初期のバージョンも録音したが、アッシャーはアルバムに収録しなかった[ 7] 。
発売と反応
アルバムはアップル・レコード からイギリスでは1968年12月6日に、アメリカでは1969年2月に発売された[ 14] 。ローリング・ストーン 誌のジョン・ランドー の「このアルバムは長い間吸ってきた新鮮な空気の中でも最もクールなものだ。このアルバムは私をノックアウトする」という非常に好意的なレビューを含めて、評論家の反応は概ね良好だった[ 5] 。レコードの商業的な可能性は、テイラーが薬物中毒で入院していたためにプロモーションができず、売れ行きは芳しくなかった[ 14] 。「思い出のキャロライナ」(B面:"Something Wrong")が1969年2月にイギリスでシングル(APPLE 32)としてリリースされたが、チャートには入らなかった[ 14] 。このシングルはアメリカでは1969年3月にAPPLE 1805としてリリースされたが、118位に届いたにすぎなかった[ 14] 。"Knocking 'Round the Zoo"がB面を"Something's Wrong"としてフランスで発売された(APF 506)[ 15] 。
1970年代のアップルからの使用許諾を得る困難さから、テイラーの『グレイテスト・ヒッツ 』のためにテイラーは1976年に「思い出のキャロライナ」と「彼女の言葉のやさしい響き」を再録音した。
収録曲
特記あるものを除き、ジェームス・テイラー の作詞作曲。
演奏時間はオリジナルのアップルのLPレコードのラベル記載の数値。
サイド1
"Don't Talk Now" – 2:36
"Something's Wrong" – 3:00
「ノッキング・ラウンド・ザ・ズー 」"Knocking 'Round the Zoo" – 3:26
"Sunshine Sunshine" – 3:30
"Taking It In" – 3:01
「彼女の言葉のやさしい響き 」 "Something in the Way She Moves" – 2:26
Side two
「思い出のキャロライナ 」"Carolina in My Mind" – 3:36
"Brighten Your Night With My Day" – 3:05
"Night Owl " – 3:38
"Rainy Day Man" (Taylor, Zach Wiesner) – 3:00
"Circle Round the Sun " (Traditional; arranged by Taylor) – 3:24
"Blues Is Just a Bad Dream" – 3:42
CD bonus tracks (2010 remaster)
"Sunny Skies " (Demo) – 2:12
"Let Me Ride" – 3:57
"Sunshine Sunshine" (Demo) – 2:51
"Carolina in My Mind" (Demo) – 3:06
参加ミュージシャン
ジェームス・テイラー – リード・ボーカルおよびアコースティックギター (全曲)、パーカッション(1)、エレクトリックギター (9)
リチャード・ヒューソン – オーケストレーション(2,3,4,7,8,9,11,12)
ドン・シン (英語版 ) - オルガン(1)、ハープシコード(1,5,6-intro link)、エレクトリックピアノ(8)
ルイス・セナモ (英語版 ) – ベースギター(1,2,3,5,8,9,10)
ビショップ・オブライエン – ドラムス (2,3,5,7,8,9,10,11)
ピーター・アッシャー – パーカッション(1)、ボーカル(1,7,10)、タンバリン(7)
スカイラ・カンガ (英語版 ) – ハープ (4)
ミック・ウェイン (英語版 ) – ギター(7)
フレディー・レッド (英語版 ) – オルガン(7)
ポール・マッカートニー – ベースギター(7)
ジョージ・ハリスン – バッキングボーカル(7) (クレジットなし)
脚注
^ White, Timothy . James Taylor: Long Ago and Far Away , Omnibus Press , 2002, ISBN 0-7119-9193-6 . pp. 134–135.
^ White, Long Ago and Far Away , pp. 136–137.
^ Lewisohn, Mark (1988). The Beatles: Recording Sessions . Harmony Books . ISBN 0-517-57066-1 p. 146.
^ a b White, Long Ago and Far Away , pp. 137–140.
^ a b c Landau, Jon (April 19, 1969). “James Taylor James Taylor > Album Review” . Rolling Stone (31). オリジナル の2 June 2007時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070602164839/http://www.rollingstone.com/artists/jamestaylor/albums/album/113822/review/5945820/james_taylor 2015年4月20日 閲覧。
^ Cross, Craig (2004年). “Beatles songs – S ”. 2004年6月3日時点のオリジナル よりアーカイブ。2004年6月3日 閲覧。
^ According to the liner notes on Apple's reissue of this album.
^ Planer, Lindsay. ジェームス・テイラー - オールミュージック . 2004年10月2日 閲覧。
^ Larkin, Colin (2007). Encyclopedia of Popular Music (4th ed.). Oxford University Press . ISBN 978-0195313734
^ Harris, John (November 2010). “Strange Fruit: Various, Original Apple albums, 1969–73”. Mojo : p. 117
^ Graff, Gary; Durchholz, Daniel (eds) (1999). MusicHound Rock: The Essential Album Guide . Farmington Hills, MI: Visible Ink Press. p. 1125 . ISBN 1-57859-061-2 . https://archive.org/details/isbn_9781578590612/page/1125
^ Coleman, Mark; Edmonds, Ben (2004). “James Taylor”. In Brackett, Nathan ; Hoard, Christian. The New Rolling Stone Album Guide . London: Fireside. pp. 804–805 . ISBN 0-7432-0169-8 Portions posted at “James Taylor > Album Guide ”. rollingstone.com . 5 January 2013時点のオリジナル よりアーカイブ。2011年11月6日 閲覧。
^ Hull, Tom (December 2010). “Recycled Goods” . Static Multimedia . http://tomhull.com/ocston/arch/cg/cg10-12.php 8 July 2020 閲覧。 .
^ a b c d White, Long Ago and Far Away , pp. 142–144.
^ “Knocking 'Round the Zoo ”. rateyourmusic.com. 2014年7月2日時点のオリジナル よりアーカイブ。2014年6月30日 閲覧。
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