「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドー」(She Came in Through the Bathroom Window)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の5曲目で、前半のメドレーを締めくくる楽曲。1969年7月に「ポリシーン・パン」と繋げてレコーディングされた。
背景
本作のタイトルについて、ジョン・レノンは「1968年5月にニューヨークを訪れた時に泊まっていたフラットで、ポールがふと『She Came In Through The Bathroom Window(彼女は浴室の窓から入ってきた)』というフレーズを口にした。つまりあのフレーズは何年も前からあるわけで、それをやっと仕上げたわけだ」と語っている[2]。
歌詞の内容は、マッカートニーが留守中にファンが自宅に忍び込むというエピソードが元になっている[2]。また、「So I quit the police department(だからぼくは警察署を辞めて)」というフレーズは、1968年10月に後にマッカートニーの妻となるリンダ・イーストマンと娘・ヘザーと共にタクシーでジョン・F・ケネディ空港に向かっていたときに見た、「ユージン・クイッツ、ニューヨーク警察署」と記された身分証明パネルから触発されたもの。このフレーズについてマッカートニーは「そこが無作為の素晴らしさ。もし僕があの男のタクシーに乗っていなかったら、この曲はずいぶんと違っていたと思う」と語っている[2]。
ジョー・コッカーは、1969年4月にオリンピック・スタジオで「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」のレコーディングを行なった[8]。かねてよりマッカートニーは、コッカーに本作を録音してもらうことを望んでいた[9]。コッカーによるカバー・バージョンは、同年に発売されたアルバム『ジョー・コッカー&レオン・ラッセル(英語版)』に収録され、同作にはハリスン作の「サムシング」のカバーも収録されている[10]。同年12月にシングル・カットされ、B面には「チェンジ・イン・ルイーズ」(Change in Louise)が収録された。オランダやドイツで発売されたシングル盤は、B面曲が「お前の仕事さ」(That's Your Business Now)に変更されている[11]。
Lewisohn, Mark (2005) [1988]. The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970. London: Bounty Books. ISBN978-0-7537-2545-0
Spignesi, Stephen J.; Lewis, Michael (2009) [2004]. 100 Best Beatles Songs: A Passionate Fan's Guide. Philadelphia, Pennsylvania: Running Press. ISBN1-6037-6265-5
O'Dell, Chris; Ketcham, Katherine (2009). Miss O'Dell: My Hard Days and Long Nights with The Beatles, The Stones, Bob Dylan, Eric Clapton, and the Women They Loved. Touchstone. ISBN1-4165-9093-5
Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York: Three Rivers Press. ISBN978-0-307-45239-9