『ザ・スライダー』(The Slider)は、イギリスのロック・バンド、T・レックスが1972年に発表したスタジオ・アルバム。ティラノザウルス・レックスからT・レックスに改名してからは3作目、通算では7作目に当たる。
背景
1972年、彼等は1970年より所属していたフライ・レコード(英語版)との契約が終了すると、レーベル「T Rex Wax Co.」(配給はEMI)を設立し、本作からの先行シングル「テレグラム・サム」を第1弾として発表した[5]。
収録曲「ビューイック・マッケイン」はレッド・ツェッペリンを意識して作られた曲で、バンドの中心人物マーク・ボランは、この曲の音楽性を「Zep Rex」と説明していた[6]。
本作のクレジットによれば、ジャケット写真は彼等のドキュメンタリー映画『ボーン・トゥ・ブギー(英語版)』の監督でもあるリンゴ・スターが撮影したことになっているが、本作をプロデュースしたトニー・ヴィスコンティは、自分が撮影したと主張している[7]。
反響
本作からの先行シングル「テレグラム・サム」と「メタル・グルー」は、いずれも全英シングルチャートで1位を獲得した[8]。一方、全英アルバムチャートでは18週トップ100入りするが、最高位は4位に終わった[2]。
日本のオリコンLPチャートでは、32週トップ100入りして最高6位を記録し、日本においてはバンド初のトップ10アルバムとなった[1]。また、アメリカでは合計24週にわたりBillboard 200入りし、1972年11月11日付のチャートで最高17位を記録して、バンド唯一の全米トップ20アルバムとなった[4]。
評価・影響
スティーヴ・ヒューイはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「殆ど前作『電気の武者』を踏襲した内容だが、『ザ・スライダー』はそつなく作り込まれており、前作と同等の名盤である」と評している[9]。ガンズ・アンド・ローゼズは、1993年のアルバム『ザ・スパゲッティ・インシデント?』において、本作収録曲「ビューイック・マッケイン」をカヴァーした[6]。
収録曲
全曲ともマーク・ボラン作。
- メタル・グルー - Metal Guru - 2:26
- ミスティック・レディ - Mystic Lady - 3:10
- ロック・オン - Rock On - 3:27
- ザ・スライダー - The Slider - 3:22
- ベイビー・ブーメラン - Baby Boomerang - 2:16
- スペースボール・リコチェット - Spaceball Ricochet - 3:36
- ビューイック・マッケイン - Buick MacKane - 3:31
- テレグラム・サム - Telegram Sam - 3:46
- ラビット・ファイター - Rabbit Fighter - 3:55
- ベイビー・ストレンジ - Baby Strange - 3:06
- ボールルームス・オブ・マーズ - Ballrooms of Mars - 4:08
- チャリオット・チューグル - Chariot Choogle - 2:45
- メイン・マン - Main Man - 4:13
40周年記念デラックス・エディション盤ボーナス・ディスク
CD
- Cadilac - 3:54
- Thunderwing - 3:46
- Lady - 2:13
- Rock On (Demo) - 2:14
- The Slider (Accoustic) - 2:36
- Buick Mackane (Demo) - 1:40
- Sugar Babe (Rabbit Fighter) (Demo) - 1:42
- Baby Strange (Electric Solo Demo; Incomplete) - 2:34
- Slider Blues (Solo Demo) - 3:30
- Buick Mackane II (Slider Outtake) - 3:49
- Baby Strange (US Radio Session) - 3:00
- Ballrooms Of Mars (US Radio Session) - 4:12
- The Slider (Acoustic Demo) - 3:48
- Radio Interview, 26 August 1972: Marc Bolan Talks to Johnny - 14:33
DVD
- Tony Visconti Interviewed by Mark Paytress
- Telegram Sam (Top of the Pops, 19 January 1972)
- Metal Guru (Top of the Pops, 24 May 1972)
- Metal Guru (Christmas Top of the Pops, 21 December 1972)
- Cadilac (Music in the Round, 8 December 1971)
- Spaceball Ricochet (Music in the Round, 8 December 1971)
- Telegram Sam (Music in the Round, 8 December 1971)
- Marc Bolan Interviewed by Russell Harty (Eleven Plus, 23 July 1971)
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
脚注
外部リンク