サマル級巡視船

サマル級巡視船
1番船「サマル」
1番船「サマル」
基本情報
船種 巡視船
就役期間 1996年 - 就役中
前級 ヴィクラム級英語版
次級 ヴィシュワスト級
要目
基準排水量 1,765 トン
満載排水量 2,005トン
全長 102.45 m
最大幅 10.5 m
吃水 3.56 m
機関方式 キルロスカ-ピルスティク16PA6 V280 ディーゼルエンジン (6,400 bhp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
最大速力 22ノット (41 km/h)
乗員 士官:12名
船員:112名
兵装 76mm単装速射砲 1基
搭載機 HAL チュタクまたは
HAL ドゥルーブ 1機
レーダー ラカル・デッカ2459 対水上捜索用 1基
BEL 1245 航海用 1基
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サマル級巡視船[注 1](サマルきゅうじゅんしせん、: Samar-class patrol vessel)は、インド沿岸警備隊が運用する巡視船の船級。

来歴

インド洋に広がる排他的経済水域での警備・救難を目的として、102メートル先進救難警備船(102m Advanced Offshore Patrol Vessel (AOPV))として計画された[1]。当初は12隻の建造が計画されたものの、まもなく6隻、ついで3隻に減らされ、これらは1990年4月に発注された。ネームシップ1992年8月26日ゴア造船所で進水。翌1996年2月14日に就役した。また、のちに4番船が追加され、これは2001年12月14日に進水した[2]

また1999年には、本級をもとにした発展型2隻の取得が認可された。これらは船体を大型化し、主機関も強化されているため、別の艦級として扱われることもある[2]が、本級として扱われることもある[3][4]。これらは2004年から建造が開始され、2008年から2009年にかけて就役した。また6隻の追加建造も検討されている[2]

設計

船体の設計は、インド海軍スカーニャ級哨戒艦を大幅に流用している。長船首楼船型の船体の中心に船橋とヘリコプター格納庫が位置する。船体に対して構造物は小さい[5]。船体には紺色の斜帯と、右舷側に「COASTGUARD」、左舷側に「तटरक्षक」と大書きしてある[5]

主機関は、ヴィクラム級巡視船英語版に引き続きSEMT ピルスティクV型16気筒ディーゼルエンジンである16 PA6 V280であるが、キルロスカ・オイル・エンジン英語版によりライセンス生産化されている[1]。サンカルプ以降は、V型20気筒に強化された20 PA6B STCに変更されている[3]

装備

兵装

主砲として、オート・メラーラ社製76mmスーパーラピッド砲1基を船首甲板に搭載する。76mmスーパーラピッド砲は、世界各国の軍艦に採用されているベストセラー艦載砲で、インド海軍の艦船にも広く用いられている。砲射撃指揮装置(GFCS)としては、船橋上に配置されたRadamec-2400光学方位盤が用いられる[2]。なお主砲と船橋の間は広く空いているが、アメリカ沿岸警備隊(USCG)のカッターのように、有事には艦対艦ミサイルを装備するのではないかという指摘がある[5]

サンカルプ以降は、CRN 91英語版30mm機関砲2基2門となっている[注 2][6]

航空艤装

船体の後部はヘリコプター甲板となっており、中型ヘリコプター1機の運用が可能である。就役時にはヒンドスタン航空機(HAL)がアエロスパシアルSA 316Bをライセンス生産したHALチュタクを搭載していたが、現在は国産のHAL ドゥルーブの搭載が予定されている。甲板には昼夜兼用の着艦誘導装置を搭載する[1]。サンカルプ以降はドゥルーブを前提としている[3]

救難艤装

搭載艇として、複合艇2隻を船体中央に搭載する。ヘリコプター格納庫には舷側に放水銃が1基ずつ装備してある[5]。この放水銃は消火だけでなく、船舶に対する鎮圧にも用いられる。船尾にはクレーンがあるほか、オイルフェンス用のリールを搭載するスペースがある[5]。サンカルプ以降の搭載艇は5隻となっている[4]

運用

日本にもたびたび寄港し、海上保安庁観閲式や共同訓練に参加している。海上保安庁観閲式にも1番船「サマル」(2005年)、2番船「サングラム」(2001年[5])、4番船「サガール」(2007年)が招待された。

同型船一覧[2]
設計 # 船名 進水 就役
102m級 42 サマル
ICGS Samar
1992年8月26日 1996年2月14日
43 サングラム
ICGS Sangram
1995年3月18日 1997年3月29日
44 サラン
ICGS Sarang
1997年3月8日 1999年6月21日
45 サガール
ICGS Sagar
2001年12月14日 2003年11月3日
105m級 46 サンカルプ
ICGS Sankalp
2006年4月28日 2008年5月20日[4]
47 サムラット
ICGS Samrat
2007年7月2日 2009年1月21日[6]

注釈

  1. ^ 雑誌『世界の艦船』の表記による。海上保安庁は「サマール」としている。
  2. ^ 105m級の設計としては1門である[3]

出典

  1. ^ a b c Advanced Offshore Patrol Vessel”. ゴア造船所. 2014年5月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 289-292. ISBN 978-1591149545 
  3. ^ a b c d 105 M Advanced Offshore Patrol Vessel”. ゴア造船所. 2014年5月25日閲覧。
  4. ^ a b c Commissioning of ICGS Sankalp”. インド沿岸警備隊 (2008年). 2014年5月25日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 写真:編集部「インド新鋭巡視船「サングラム」の明細」 『世界の艦船』第586集(2001年9月号) 海人社
  6. ^ a b Commissioning of ICGS Samrat”. インド沿岸警備隊 (2009年). 2014年5月25日閲覧。

外部リンク

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