ギガントラプトル (Gigantoraptor 「巨大な泥棒」の意味)は白亜紀 後期(7000万年前)に現在のモンゴルに生息した、オヴィラプトロサウルス類 の獣脚類 恐竜 の属の一つである。
概要
想像図
ヒトと比較した大きさ
2005年に中華人民共和国 内モンゴル自治区 のエレンホト市 で発見された[1] 。徐星 らは、同グループのオヴィラプトル と共通の祖先を持つことを発見したが、ギガントラプトルはより巨大であり、近縁のカウディプテリクス と比べても約35倍も大きい[2] 。体長は8メートル、体重は2.2トンに達し、それまで知られていたオヴィラプトロサウルス類で最大であったキチパチ の3倍近く大きい。
ギガントラプトルの骨格は、オヴィラプトロサウルス類の特徴を備えている。しかし、派生的な マニラプトル類 の特徴も多く持っている。
骨格には羽毛 が生えていた直接の証拠は残っていないが、徐ら(2007)は、ギガントラプトルには羽毛が生えていたと推測している。彼らは、ギガントラプトルが属するオヴィラプトロサウルス類には、羽毛を持つカウディプテリクス やプロターケオプテリクス も含まれていると語っている。また彼らは、ギガントラプトルはそれらの種よりも300倍も大きく、大きい動物は体温調整を体重に依存し、小さな動物のように体を保温する必要はないとも記している。最終的に彼らは、少なくとも腕部分の羽毛はギガントラプトルにも残っており、その主要な機能は体温調整とはほとんど関係なかったと結論付けている[1] 。
ギガントラプトルの食糧は謎である。同じオヴィラプトロサウルス類のカウディプテリクスやインキシヴォサウルス は主に草食性であったと考えられているが、ギガントラプトルの後肢の長さの比率は速く走るのに適しており、大きな爪は植物を採るのに適していない。
既知の唯一の標本(LH V0011 )は不完全で、単一の個体のものである。標本の骨化の進展と腓骨 の成長環により、死んだ時には11歳程度であったと推定されている。7年程度で若い成体になるようであり、その後も年を経るごとに大きくなっていくのかもしれない。この成長速度はその他の獣脚類 の多くよりも速い[1] 。
タイプ標本 の発掘の様子がフィルムに収められている。徐星が日本のドキュメンタリーで発掘の様子を再現した。骨をクリーニングすると、彼はこれは竜脚類 ではなく、アルバートサウルス 程度の大きさの獣脚類であることに気付いた。その後彼は、予期しない発見があった場合の安全を考えフィルムの撮影をした。
出典
^ a b c Xu, X., Tan, Q., Wang, J., Zhao, X., and Tan, L. (2007). "A gigantic bird-like dinosaur from the Late Cretaceous of China." Nature , 447 (7146): 844-847.
^ Remains of giant bird-like dinosaur unveiled Canadian Broadcasting Corporation
外部リンク