エルザタワー55は埼玉県川口市元郷にある超高層マンション。
1998年に日本ピストンリング川口工場の跡地に建設され、2004年に東京都港区に汐留H街区超高層棟(アクティ汐留)が建設されるまでは住居としての建造物では日本最高(185.8m)であった(現在の順位は超高層マンションを参照)。
概要
吉永小百合主演の映画『キューポラのある街』(1962年公開)以来、川口市は鋳物の街として知られ、エルザタワー55の立地する元郷地区周辺には鋳物工場が集積していた。だが、次第に鋳物工場は新郷地区等への移転や廃業によって減少。マンション適地が続々と生まれていった[3]。
1982年、大京が元郷地区において、とりわけ広大だった日本ピストンリング川口工場跡地約5.6ヘクタールを大規模総合開発を目的に買収。翌年に超高層マンションやショッピングセンター等を整備する総事業費約540億円を投じた「ライオンズスクエア」プロジェクトをスタートさせる[4]。
プロジェクトにおいて最初に分譲されたマンションである「エルザタワー55」は、地下1階、地上55階建て。1994年10月に着工し、1998年7月に竣工した。総戸数は650戸。販売価格は最高で最上階55階・5LDKの1億7680万円。平均価格4000万円台で「日本一」の金看板で即日完売した[3]。
これまでの超高層住宅には、街がもつべき「コミュニティ形成に必要な場」が不足していたとして、設計を手掛けた竹中工務店がその反省を踏まえ、エルザタワー55では超高層住宅を垂直に広がる街として捉えた「立体コミュニティ」を提案した[5]。立体コミュニティは、120戸から180戸を一単位とした「近隣区」に住棟を分け、それを縦に積み重ねて構成する。それぞれの近隣区に相当する階には、廊下の手摺などの色を塗り分けて識別できるようにした。さらに近隣区ごとに「コミュニティコア」と呼ばれる用途を特化した共有施設を配置した[5]。
1階のアトリウムロビーには各種サービスを提供するフロント係を置き[6]、エレベーターはシースルー型とし、吹き抜け空間に躍動感を与え、シースルーエレベーターにすることで住人の目が届きやすいようにした[5]。建物の足元には中高木約1000本、低木1万2000株を植え、シンボル広場、森のリビング、わんぱく広場等を設けた。また建物外周には修景池を整備。この池は住棟からの落下物で人がケガをしないよう、建物下に人を近づけない役目も持たせた[7]。
大規模修繕工事
建設から15年以上が経過した2013年頃から、管理組合が議論を始め、設備の劣化が進んでおり修繕が必要と判断し、清水建設の子会社、シミズ・ビルライフケアを施工業者に選定。2015年3月から修繕に着手し、外壁の塗装、ベランダの防水工事のほか、ビル外壁の継ぎ目や隙間を埋めるシーリング材の打ち替えなどを約2年かけ行った。工事費約12億円は全額を修繕積立金で賄った[8][9]。
構造
1階はアトリウムロビー、2階は駐輪場で、3階より上のフロアが住居となる。居住者の交流の場として、またサークル活動の場として10階、20階、29階、36階、43階、55階に以下のコミュニティコアが設けられている。
- 10階 - キッズライブラリー
- 20階 - クラフトルーム
- 29階 - 和室サロン
- 36階 - スカイスタジオ
- 43階 - ゲストルーム
- 55階 - スカイラウンジ
7台のエレベーターのうち6台はシースルーエレベーターであり、11人乗りの高速エレベーターがそれぞれの階層に2台ずつ設置されている。残りの1台は非常用エレベーターである。エレベーターの乗り換え階である29階と43階は、居住者の憩いの場としてタウンプラザが設けられている。
周辺
近接して商業施設棟「ライオンズスクエア川口」(サミット川口エルザタワー店・ダンロップスポーツクラブ川口元郷店などが入る)が整備され[10]、保育園(レオ保育園)・医療施設(川口第一クリニック)が誘致されたほか、2002年1月にはエルザタワー32(地下1階、地上32階、389戸)が竣工した[3]。ほかに、川口市に敷地の一部を学校建設用地として提供した(2011年4月川口市立元郷南小学校が新築移転)[11]。
立地
エルザタワー55がある南平地区、元郷は東京都との境である荒川から程近く、京浜東北線川口駅、国道122号に近い。また2001年に国道122号の地下に埼玉高速鉄道線が開通し、最寄り駅は川口元郷駅である。川口駅からは「元郷・エルザタワー循環」という系統のバスが運行されている。
交通
脚注
関連項目
外部リンク