1987年製 エアストリーム・ソヴリン
エアストリーム (Airstream)は、アメリカ合衆国 オハイオ州 のジャクソン・センター (英語版 ) で製造される高級キャンピングカー のブランド である。 近年はソア・インダストリーズ (英語版 ) の一部門となり、従業員400名以下の業界でも最古の企業である。エアストリーム製のキャンピングトレーラー は、元々1930年代 にホーレー・ボウラス (英語版 ) が生み出した設計の特徴ある丸みを帯びたアルミニウム 製ボディで容易に判別できる。ボウラスは、チャールズ・リンドバーグ が操縦したスピリットオブセントルイス号 の主任設計者であった。
歴史
Airstream trailer at Santa Barbara Auto Park, California, March 21, 2013
1958年製 エアストリーム・トラヴェラー018
エアストリーム社の起源は、1920年代 終わりのロサンゼルス でウォーリー・バイアム (英語版 ) が裏庭でメゾナイト 製のキャンピングトレーラーを製作し始めたことであった[ 1] 。弁護士 を目指していたバイアムは、自分で好みのキャンピングトレーラーを造りたい者に自作キットを売るための雑誌を発行し、ホーレー・ボウラスのキャンピングトレーラー販売を手伝った後で経営状態の良くなかったボウラスの会社を買い取った[ 2] 。1936年 にバイアムはエアストリーム・クリッパー (Airstream Clipper) を発売したが、これは実質的には1935年のボウラス製キャンピングトレーラーの前面に備えられたドアを側面に移して名前を変えただけの物であった。抗力 が小さく、それに伴って燃料消費率 の向上に貢献していたこのキャンピングトレーラーのデザインは、現在まで続くソーセージ 型で銀色アルミニウム製のエアストリーム社のキャンピングトレーラー製品の最初のものであった。クリッパーと呼ばれる1936年の最初のエアストリームは、最初の大西洋 横断飛行艇 に因んで名づけられた。これは4名分の寝床と人数分の給水設備と電灯を備えており、価格は$ 1,200であった[ 3] 。1936年 時点では400社以上のキャンピングトレーラーの製造業者が操業していたが大恐慌 を乗り切ったのはエアストリーム社の唯1社のみであった[ 4] 。第二次世界大戦 中は娯楽旅行はほとんどの国民が享受できる余裕が無いほどの贅沢なものとなり、非軍需産業は酷いアルミニウム不足に直面した。大戦が終了すると経済状況は活況を呈し、国民の娯楽旅行への関心は再び戻ってきた。バイアムの会社は1948年 に生産を再開し、1952年 7月にはジャクソン・センターの新工場が建設された。カリフォルニア でのエアストリームの生産は1979年 に終了した。
1974年 にエアストリーム社はアーゴシー(Argosy) という名のクラスAのキャンピングカーの製造を始めた[ 5] 。当初は20-と24-フィート (6.1と7.3 m) の塗装済みモデルの製造が始められ、1979年 にキャンピングトレーラーと同様の無塗装アルミニウム製ボディをもつ最初のクラシックモデルのキャンピングカーがこれに続いた。
東京 で喫煙室として使用されるエアストリームの改装車
エアストリームのバッジを付けたキャンピングカーは1979年に24-と28-フィート (7.3と8.5 m) モデルで始まり、1980年代 と1990年代 に25から37フィート(7.6から11.2 m)までのモデルが市場に投入された。アルミニウム製ボディのキャンピングカーに続き、1990年代 にはより保守的な形状のグラスファイバー 製ボディをもつものが発売された。エアストリーム社は2006年 にクラスAのキャンピングカーの製造を終了した。1モデルだけ用意されていたバス 型のスカイデッキ (Skydeck) は、屋根上のデッキに通じる階段を車内に備えていた。
1989年 からエアストリーム社はフォード・エコノライン とダッジ・Bシリーズ バン のシャーシ を基にしたクラスBのキャンピングカーの生産を始めた[ 5] が、1999年モデルで生産終了となった。2004年 にはウエストファリア (Westfalia) とインターステート (Interstate) を発売し、2006年 にはインターステートを基にしたパークウェイ (Parkway) の販売も開始した。これらのモデルは全てメルセデス・ベンツ スプリンター のシャーシを使用していた。ウエストファリアの販売は2006年 に終了した。
今もジャクソン・センターにあるがソア社の一部門となっているエアストリーム社は、年2,000台のキャンピングトレーラーとキャンピングカーを生産している。現在はスポート (Sport)、フライング・クラウド (Flying Cloud)、インターナショナル(CCDシグネチャー:CCD Signature、セレニティ:Serenity、スターリング:Sterling)、エディ・バウアー (Eddie Bauer)、クラシック・リミテッド (Classic Limited) といったモデルを生産している。2013年モデルでは16から 31フィート(4.9から9.4 m)までのキャンピングトレーラーを揃えている。エアストリーム社はヨーロッパ 市場向けのモデルも生産している。
エアストリーマーズ
エアストリーマーズ (Airstreamers) は、キャンピングトレーラーへの愛情により結びついた共同体意識を共有するRV 愛好家のグループである。1950年代 の初めにエアストリーム社の創業者であるウォーリー・バイアムは世界の各地を旅してオーナーズクラブを組織し始め、訪れた地では牽引式のキャンピングトレーラーは注目の的となった。多くの有名な観光地の前でトレーラーの写真を撮影するのが一般的となり、これが今日まで続くエアストリームを取り巻く神秘性を醸成した。
ウォーリー・バイアム・キャラヴァン・クラブ (The Wally Byam Caravan Club:WBCC) は、1955年 に行われたカナダ のノバスコシア州 ケントヴィル (Kentville) へのラリー(旅)の最中に結成された。後にインターナショナルの語がクラブ名に追加されたことでWBCCIという略称になった。2005年 8月17日に記念マークがウェブサイト 上に掲載された。クラブメンバーは毎年1回(クラブの規定により日付は7月1日から4日までを含む)大規模な国際的なラリーで集い、小規模な地域的なラリーは合衆国各地でユニット(支部)毎に行われている。エアストリームは現在でも人気があり、多くの人々が古いモデルのレストアに情熱を傾けている。
エアストリーム・パーク
エアストリーム・パーク
アメリカ合衆国内には数多くのエアストリーム・パーク[ 6] が存在する。エアストリーム社製品のオーナーに敷地の購入や貸借が認められているRVリゾートやオートキャンプ場があり、中には非エアストリーム車でも利用できる施設がある一方で厳格な利用条件を課している所もある。利用するのにWBCCIのメンバーであることを条件としている場所もあり、WBCCIの地方部会が所有と運営をしている施設もある。
宇宙計画
スペースシャトル組立棟 の前を走行するアストロバン
1969年 に月 からの帰還後にアポロ11号 の搭乗員たちは月から病原体を持ち帰っていないと断定できるまでエアストリーム社製のキャンピングトレーラーを気密室に改造した移動式隔離施設 (Mobile Quarantine Facility ) に隔離された。
長年NASA は宇宙飛行士 を発射台まで運ぶのに数台のエアストリーム社製キャンピングカーを使用してきた。スペースシャトル 計画ではアストロバン と名付けられた改造した1983年モデルのエアストリーム・エクセラ (Airstream Excella) が1984年 から使用され始めた[ 7] 。
アメリカ空軍
エアストリームのキャンピングトレーラーは、世界中にアメリカ合衆国の高官を輸送するために使用されている。軍用輸送機 では、貨物室内に固縛されて用いられる。2007年にディック・チェイニー 副大統領が使用した際の取材では、内装は木製の内張りが施され、絨毯が敷かれていた。内部には革製の椅子、テレビ、DVDプレーヤー が備えられていた[ 8] [ 9] 。
出典
関連項目
炎神戦隊ゴーオンジャー - 作中でエアストリーム・モーターホームをベースとした乗り物『ギンジロー号』が登場する。
外部リンク
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