「ウィ・キャン・ビー・トゥゲザー」(We Can Be Together)は、ジェファーソン・エアプレインが1969年に発表した楽曲。
概要
1966年、ベトナム戦争反対を訴える画家や詩人がニューヨークで抗議団体「Black Mask」を結成した。1968年、詩人のアミリ・バラカが『ニューヨーク・タイムズ』に「Black People!」という詩を発表。「Black Mask」は、バラカの詩の言葉「The magic words are: Up against the wall, mother fucker, this is a stick up!」からとって「Up Against the Wall Motherfucker」に団体名を変更するとともに地下に潜り[2]、より過激なアナーキスト集団となった。
「ウィ・キャン・ビー・トゥゲザー」はポール・カントナーによって書かれたが、詞のいくつかの部分は「Up Against the Wall Motherfucker」のサンド・ストームが作成したリーフレット(ニューヨークの地下新聞『East Village Other』に「The Outlaw Page」というタイトルでも掲載された)からそのままとられた[3]。カントナーはリーフレットの言葉を借用しつつ、強いメッセージを歌に込めた。「生き残るために僕らは盗み、だまし、嘘をつき、偽造し、ファックし、隠れ、取り引きもする/僕らは卑猥で、無法で、醜く、危険で、汚く、暴力的でおまけに若く――しかしそれでも僕らはいっしょにならなくちゃいけない」
1969年4月、ジェファーソン・エアプレインはサンフランシスコのウォーリー・ハイダー・スタジオでアルバム『Volunteers』のためのレコーディングを行った。本作品のピアノはニッキー・ホプキンスが弾いた。アルバム発表前の同年8月19日、グループはトーク番組『The Dick Cavett Show』にクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングやジョニ・ミッチェルらと共に出演。「ウィ・キャン・ビー・トゥゲザー」を演奏し、「Up against the wall, motherfucker / Tear down the walls」と歌った。この日は禁忌語「ファック」がアメリカで最初に放映された日となった[4]。
同年10月にシングル「ヴォランティアーズ」のB面として発表され、11月発売のアルバム『Volunteers』に収録された。なおA面の「ヴォランティアーズ」は12月20日付のビルボード・Hot 100で65位を記録した[5]。
2007年10月発売のライブ・アルバム『At the Family Dog Ballroom』にライブ・バージョンが収録された。収録日は1969年9月9日。
脚注