学校でのピアースは優秀な生徒で、1学年を飛び級している。また高校最後の2年間はアレン軍学校(Allen Military Academy)で過ごしている[14]。十代の頃のピアースは、モデルロケットの製作や化学、通信、電子関係の実験、そしてサイエンス・フィクションを読む事が趣味であったという[11]。また、彼が最初に抱いた夢は宇宙飛行士になることだった[15]。
オレゴン州立大学在籍中、彼は2つの社会運動、すなわち民権運動とベトナム戦争に対する反戦運動の台頭を目の当たりにした。彼はこれらをユダヤ人が主導したものと捉え、また共産主義の影響を予想し運動そのものをアメリカ白人に対する脅威と見なすようになる。1962年には一時的に反共団体ジョン・バーチ・ソサエティに入会しているが[20]、まもなく退会している。1965年には政治活動に向けた資金調達の為、オレゴン州立大学での任期を残したままコネチカット州ノースヘブン(英語版)に移り、航空宇宙メーカーであるプラット・アンド・ホイットニー社の先端材料調査開発研究所にて上級研究員として働く[13]。1966年、ワシントンD.C.に移り、アメリカ・ナチ党の創設者であるジョージ・リンカーン・ロックウェルと知り合う。またこの時期、ピアースは同党の機関誌の1つ『国家社会主義の世界』(National Socialist World)の編集者を務めていた。1967年にロックウェルが、暗殺されると、ピアースはアメリカ・ナチ党の後継組織である国家社会主義白人党(NSWPP)の主要幹部に迎えられた。1968年、ピアースはNSWPPを脱退し、元アラバマ州知事で当時アメリカ独立党の大統領候補だったジョージ・ウォレスが自らの選挙活動を支援する為に立ち上げた青少年組織ウォレス青年隊(Youth for Wallace)に参加した[18]。1970年、ピアースはウィリス・カルト(英語版)と共にウォレス青年隊をナショナル・ユース・アライアンス(英語版)(NYA)なる組織へ改組する。1971年頃からNYAの方針についてピアースとカルトはしばしば反目し合うようになり、それを反映してNYAの組織自体も分裂状態に陥った。1974年にはピアース派がナショナル・アライアンス(英語版)としてNYAから分離した[17]。
1978年、ピアースはナショナル・アライアンスが教育組織であると主張し、内国歳入庁に免税申請を行ったものの拒否された[17]。ピアースはこれに対して訴えを起こしているものの、裁判では内国歳入庁の判断が支持された[17]。また同時期、彼はパブリック・アクセスのケーブルテレビのトーク番組『Race and Reason』のハーバード・ポインセット(Herbert Poinsett)により取材を受けている[22][23][24]。
1985年、ピアースはウェストバージニア州ミルポイントにある346-エーカー (1.40 km2)の土地を購入して政治的活動および事業の拠点をそこに移した。この際、彼は代金95,000ドルを現金で支払った[17]。ここで彼はコスモジスト・コミュニティ教会(Cosmotheist Community Church)なる団体を設立するが、これは税金対策の為の行動であったとも言われている[17]。1986年には再び免税申請を行ったところ認められ、連邦政府、州、地域のいずれに対する税金も免除された。しかし同年中の再審査において、敷地のうちナショナル・アライアンス本部、ナショナル・ヴァンガード社事務所および倉庫などとして使用していた286エーカー (1.16 km2)については宗教的目的によらない使用と見なされて州税の免税を取り消された[26]。
1990年、ジェイコブ・ヤング(英語版)が製作したドキュメンタリー・シリーズ『Different Drummer』にてピアースが取り上げられ、公共放送サービス(PBS)で放送された[27]。その後、バージニア州リッチモンドにてロン・ダゲッドが司会を務めるパブリック・アクセスのケーブルテレビの番組『Race and Reality』に出演した[28]。1996年5月19日、ピアースはCBSのドキュメンタリー番組『60 Minutes』に出演する[29][30]。彼がこのような大手メディアの番組に出演する事は非常に稀であった。番組の中で1995年4月19日に発生したオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件を容認するか否かと尋ねられたピアースは次のように答えた。
否、否、認めるものか。以前から繰り返し話していることだが、アメリカは目下のところ革命情勢に突入していないのであり、よって私がオクラホマシティの事件を容認する事はありえないのだ。 No. No, I don't. I've said that over and over again, that I do not approve of the Oklahoma City bombing because the United States is not yet in a revolutionary situation.
—ウィリアム・ピアース
1998年、アメリカにおける白人至上主義を取り上げたディスカバリーチャンネルの番組で取材を受けた[31]。ナショナル・アライアンスの指導者として、ピアースは欧州各国の国家主義的グループとの連携を確立した[17]。接触したグループには、ドイツ国家民主党やギリシャの「黄金の夜明け」党などが含まれる。日本の国家社会主義日本労働者党も接触しており、1999年末には同党の来日講演依頼を承諾したものの多忙と健康状態悪化から実現しなかったという[32]。また、ピアースは『変わりゆく国、アメリカ』(America is a Changing Country)と題した51分のビデオを作成している[25][33]。このビデオの主題は反グローバリゼーションであり、彼は反グローバリゼーション行動ネットワーク(Anti-Globalization Action Network)なる組織を立ち上げ、2002年6月にカナダで開催が予定されていたG8サミットに対する抗議を行った[25]。
1978年、ピアースはアンドリュー・マクドナルド(Andrew Macdonald)のペンネームで小説『ターナー日記(英語版)』(The Turner Diaries)を発表した[17]。オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の犯人ティモシー・マクベイは同書に影響を受けて犯行に至った旨を証言している。『ターナー日記』は、近未来の米国を舞台とした人種間闘争を題材としており、「民族の裏切り者」(race traitors)、すなわちユダヤ人、同性愛者、異人種(白人と非白人)間結婚ないし交際を行っている者を対象とした激しい暴力描写が描かれている。例えば作中で「ロープの日」(the Day of the Rope)と呼ばれている場面では、民族浄化の始まったロサンゼルス市の大通りで大勢の「民族の裏切り者」が縛り首にされていく。これらの暴力および殺人は、作中で「絶対的必要悪」(Terrible yet Absolutely Necessary)とされている。物語は白人至上主義に基づく革命を計画する地下組織のメンバー、アール・ターナー氏(Earl Turner)の視点から語られていく。
コスモティズムの実態は万有内在神論の一種と見なされており、教義の一節には「全ては神と共に、神は全てと共に」(all is within God and God is within all.)という箇所がある。ピアースが提唱したコスモティズムにおいては、現実における物事の本質を踏まえ、存在を可変させることにより、完全な「普遍的意識」(universal consciousness)ないし神格(godhood)に向けて共に進化しなければならないとされている。コスモス(Cosmos)とは秩序ある調和のとれた世界を意味し、すなわち神(divine)は完全なシステムの不可分な部分である意識と現実と共に存在すると理解される。
『我らの理由』(Our Cause)と題した演説の中で、ピアースは次のように述べている。
我々が必要とするのは、諸君が我々の、単純ながら壮大な取り組みに共同する事である。私は先ほど真実を述べた。諸君は諸君が、創造主の創りだした全体の一部であることを認めなければならない。また諸君には諸君の目的、人類の目的、全ての創造物の目的を理解し、加えてそれが創造主の目的であることを理解して欲しい。つまりルーン文字に象徴される創造の道、我々の人生の道は終わりのない向上であり、この道は創造主の自己実現に向けて上へ上へと伸び続けている。そして、この道を歩むものが神性を得るのだ。 All we require is that you share with us a commitment to the simple, but great, truth which I have explained to you here, that you understand that you are a part of the whole, which is the creator, that you understand that your purpose, the purpose of mankind and the purpose of every other part of creation, is the creator's purpose, that this purpose is the never-ending ascent of the path of creation, the path of life symbolized by our life rune, that you understand that this path leads ever upward toward the creator's self-realization, and that the destiny of those who follow this path is godhood.