ウィガン・アスレティック・フットボール・クラブ(Wigan Athletic Football Club )は、イングランド北西部・マンチェスター郊外の都市ウィガンをホームタウンとする、プロサッカークラブ。2023-24シーズンからはEFLリーグ1に所属する。
概要
当時の下位カテゴリーに当たる3部リーグ所属のウィガン・ボロが経営危機に陥り、前年に消滅した事に伴い、1932年に創立された。
1978年にプロリーグに昇格。マンチェスター・ユナイテッドやマンチェスター・シティ、ボルトン・ワンダラーズと同じ地域でありながら、ウィガンだけは元来ラグビー(厳密にはラグビーリーグ、日本で言うラグビーはラグビーユニオン)の強い土地柄であり、サッカーはトップリーグに縁がなく、地元のラグビーリーグチームであるウィガン・ウォリアーズの成功とは対照的に影の薄いチームであった[要出典]。非常に貧乏なクラブで、当時所属していた3部の中でも見劣りしていた。
1995年2月、デイヴ・ウィーランがオーナーに就任。この人物は、イギリス全土に展開する大型スポーツ用品店チェーンJJBの創業者で、JJBを売却後、現在はDWスポーツという用品店チェーンを経営しており、その資産は500億を超えるとも言われる。1996-97シーズンにディヴィジョン3(実質4部)で1位となり、ディヴィジョン2(実質3部)昇格を決めたが、翌シーズン以降もそれほど成績はパッとせず、中位を維持するだけであった。
2001年、新築のJJBスタジアムに移転。ポール・ジュエルが監督に就任してから、ウィガンは本気でプレミアリーグへの昇格を目指すこととなる。潤沢な資金力で、急速にチーム力を上げ、2002-03シーズンにはチャンピオンシップ(実質2部)に昇格。2004-05シーズンには同ディビジョンで2位となり、2005-06シーズンにクラブ初のプレミアリーグ昇格を果たした。
ウィガンは「イングランドの最上位リーグから一度も降格したことのない唯一のクラブ」であった。その急速な躍進は、同時期に巨大資産を持つオーナーが就任したチェルシーに例えられ、「チャンピオンシップリーグのチェルシー」とも揶揄された。プレミアリーグ昇格後も積極的に補強を行い、現代の昇格チームとしては異例ともいえる10位でシーズンを終え、大躍進の1年となった。
2006-07シーズンは終始残留争いを強いられるも、最終節で勝利し、2年連続の残留を決めた。ウィガン躍進の功労者ジュエルはシーズン終了後に辞任し、後任にはコーチを務めていたクリス・ハッチングスが昇格したがわずか6ヶ月で解任、11月にバーミンガム・シティからスティーヴ・ブルースを引き抜いた。
ホームスタジアムであるDWスタジアムはラグビーリーグチームのウィガン・ウォリアーズも使用している。前述の通り、ウィガンは古くからラグビーの町であり、ウィガン・ウォリアーズは、これまで数々のタイトルを獲得している強豪である。
2012-13シーズン、FAカップで快進撃を見せ、決勝でマンチェスター・シティを破り初優勝を成し遂げる。しかしリーグでは不振が続き、第37節でアーセナルに1-4で敗れ、8季連続で守ってきたプレミアリーグからの降格が決定した。2013年6月5日、ロベルト・マルティネス監督はクラブを去り、4年契約でエヴァートンの監督に就任した[1]。
2013-14シーズンはチャンピオンシップで5位となり昇格プレーオフ出場権を得たが、準決勝でクイーンズ・パーク・レンジャーズに敗れた[2]。
2014-15シーズンはウーヴェ・レスラーが2014年11月13日に解任され[3]、後任にはマーキー・マッカイが就任した。2015年3月3日、ウィーランが会長を辞任し、孫のデイヴィッド・シャープが会長を引き継いだ[4]。2015年4月6日にホームでダービー・カウンティに0-2で敗れて残留圏との勝ち点差が8となり、シーズン残り5試合を残してマッカイは解任され、後任には元キャプテンのガリー・コールドウェルが就任したものの[5]、4月28日、21位のロザラム・ユナイテッドがレディングに2-1で勝利したため、シーズン残り1試合を残してリーグ1への降格が決定した[6]。
2017年6月、ポーツマスをリーグ2優勝に導いたポール・クックが監督に就任した[7]。2017-18シーズン終了後、香港に拠点を置くInternational Entertainment Corporation(IEC)が2200万ポンド(約30億円)でクラブを買収した[8]。
2020年7月、破産を申請[9]。ペナルティとして勝ち点12が剥奪され、24チーム中23位となりリーグ1降格が決まった[10]。
2020-21シーズンは、残留ぎりぎりの20位で終わるが、翌2021-22シーズンは一転して4シーズンぶりの優勝を果たし、3シーズンぶりにチャンピオンシップへ復帰した。
2022-23シーズンはシーズンを通して苦戦が続き、4月29日のレディング戦は1-1の引き分けで終わった為リーグ1降格が決まった[11]。
歴史とエピソード
- 初昇格の2005-06プレミアリーグでの開幕戦は前年王者であるチェルシーをホームに迎えての一戦となった。ここでウィガンはチェルシーを完全に圧倒し、試合を支配していた。しかし、両者ともに得点は入らず、試合終了直前にチェルシーのエルナン・クレスポが決勝点を叩き込み、試合終了となった。圧倒的に攻めていたウィガンにとっては大金星を逃し、残念な開幕戦となった。クレスポの得点の後に、チェルシー監督のジョゼ・モウリーニョがウィガンのポール・ジュエル監督に歩み寄り声をかけている。試合終了後のモウリーニョ監督のコメントは、「どちらが王者で、どちらが昇格チームかわからないほどだった」と述べている。ジュエル監督は終了後の記者会見の場で、モウリーニョ監督から「なんて不公平な結果だ」と声をかけられ、「人生やサッカーとはそういうものさ」と答えたことを記者達に向けて発言し、最後に「しかし我々は胸を張って次戦に臨める」と答えた。
クラブ各種記録
一試合最多観客動員数
一試合最多得点勝利試合
一試合最多失点敗戦試合
タイトル
国内タイトル
- FAカップ:1回
- 2012-13
- フットボール・セカンドディヴィジョン / EFLリーグ1:4回
- 2002-03, 2015-16, 2017-18, 2021-22
- フットボールリーグ・サードディビジョン:1回
- 1996-97
- フットボールリーグトロフィー:2回
- 1984-85, 1998-99
- ノーザンプレミアリーグ:2回
- 1970-71, 1974-75
- ノーザンプレミア・カップ:1回
- 1971–72[12]
- ノーザンプレミア・シールド:3回
- 1972–73, 1973–74, 1975–76[13]
- ランカシャー・コンベイション:4回
- 1947-48, 1950-51, 1952-53, 1953-54
- チェシャーリーグ:4回
- 1933-34, 1934-35, 1935-36, 1964-65
国際タイトル
過去の成績
シーズン
|
リーグ
|
FAカップ
|
リーグ杯
|
欧州カップ / その他
|
最多得点者
|
ディビジョン |
試 |
勝 |
分 |
敗 |
得 |
失 |
点 |
順位 |
選手 |
得点数
|
1998-99
|
ディビジョン2
|
46
|
22
|
10
|
14
|
75
|
48
|
76
|
6位
|
2回戦敗退
|
2回戦敗退
|
FLトロフィー
|
優勝
|
スチュアート・バーロウ
|
19
|
1999-00
|
46
|
22
|
17
|
7
|
72
|
38
|
83
|
4位
|
3回戦敗退
|
2回戦敗退
|
FLトロフィー
|
2回戦敗退
|
18
|
2000-01
|
46
|
19
|
18
|
9
|
53
|
42
|
75
|
6位
|
2回戦敗退
|
2回戦敗退
|
FLトロフィー
|
2回戦敗退
|
サイモン・ハワース
|
11
|
2001-02
|
46
|
16
|
16
|
14
|
66
|
51
|
64
|
10位
|
1回戦敗退
|
1回戦敗退
|
FLトロフィー
|
1回戦敗退
|
アンディ・リデル
|
18
|
2002-03
|
46
|
29
|
13
|
4
|
68
|
25
|
100
|
1位
|
3回戦敗退
|
準々決勝敗退
|
FLトロフィー
|
2回戦敗退
|
16
|
2003-04
|
ディビジョン1
|
46
|
18
|
17
|
11
|
60
|
45
|
71
|
7位
|
3回戦敗退
|
3回戦敗退
|
|
|
ネイサン・エリントン
|
18
|
2004-05
|
チャンピオンシップ
|
46 |
25 |
12 |
9 |
79 |
35 |
87 |
2位
|
3回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
24
|
2005-06
|
プレミアリーグ
|
38 |
15 |
6 |
17 |
45 |
52 |
51 |
10位
|
4回戦敗退
|
準優勝
|
|
|
アンリ・カマラ
|
12
|
2006-07
|
38 |
10 |
8 |
20 |
37 |
59 |
38 |
17位
|
3回戦敗退
|
2回戦敗退
|
|
|
エミール・ヘスキー
|
8
|
2007-08
|
38 |
10 |
10 |
18 |
34 |
51 |
40 |
14位
|
4回戦敗退
|
2回戦敗退
|
|
|
マーカス・ベント
|
7
|
2008-09
|
38 |
12 |
9 |
17 |
34 |
45 |
45 |
11位
|
3回戦敗退
|
4回戦敗退
|
|
|
アムル・ザキ
|
10
|
2009-10
|
38 |
9 |
9 |
20 |
37 |
79 |
36 |
16位
|
4回戦敗退
|
2回戦敗退
|
|
|
ウーゴ・ロダジェガ
|
10
|
2010-11
|
38 |
9 |
15 |
14 |
40 |
61 |
42 |
16位
|
4回戦敗退
|
準々決勝敗退
|
|
|
シャルル・ヌゾクビア ウーゴ・ロダジェガ
|
9
|
2011-12
|
38 |
11 |
10 |
17 |
42 |
62 |
43 |
15位
|
3回戦敗退
|
2回戦敗退
|
|
|
フランコ・ディ・サント
|
9
|
2012-13
|
38 |
9 |
9 |
20 |
47 |
73 |
36 |
18位
|
優勝
|
4回戦敗退
|
|
|
アルナ・コネ
|
11
|
2013-14
|
チャンピオンシップ
|
46 |
21 |
10 |
15 |
61 |
48 |
73 |
5位
|
準決勝敗退
|
4回戦敗退
|
ヨーロッパリーグ
|
グループステージ敗退
|
ニック・パウエル ジョルディ・ゴメス
|
7
|
2014-15
|
46 |
4 |
14 |
28 |
36 |
91 |
26 |
24位
|
3回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
ジェームズ・マクレーン
|
6
|
2015-16
|
リーグ1
|
46 |
24 |
15 |
7 |
82 |
45 |
87 |
1位
|
1回戦敗退
|
1回戦敗退
|
FLトロフィー
|
準決勝敗退
|
ウィル・グリッグ
|
28
|
2016-17
|
チャンピオンシップ
|
46 |
10 |
12 |
24 |
40 |
57 |
42 |
23位
|
4回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
7
|
2017-18
|
リーグ1
|
46 |
26 |
8 |
6 |
81 |
27 |
54 |
1位
|
準々決勝敗退
|
2回戦敗退
|
EFLトロフィー
|
グループステージ敗退
|
26
|
2018-19
|
チャンピオンシップ
|
46 |
13 |
13 |
20 |
51 |
64 |
52 |
18位
|
3回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
ジョー・ガーナー ニック・パウエル
|
8
|
2019-20
|
46 |
15 |
14 |
17 |
57 |
56 |
47[注釈 1] |
23位
|
3回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
キーファー・ムーア
|
10
|
2020-21
|
リーグ1
|
46 |
13 |
9 |
24 |
54 |
77 |
48 |
20位
|
1回戦敗退
|
1回戦敗退
|
EFLトロフィー
|
グループステージ敗退
|
ウィル・キーン
|
12
|
2021-22
|
46 |
27 |
11 |
8 |
82 |
44 |
92 |
1位
|
4回戦敗退
|
3回戦敗退
|
EFLトロフィー
|
準決勝敗退
|
26
|
2022-23
|
チャンピオンシップ
|
46 |
10 |
15 |
21 |
38 |
65 |
39[注釈 2] |
24位
|
3回戦敗退
|
1回戦敗退
|
|
|
12
|
2023-24
|
リーグ1
|
46 |
|
|
|
|
|
|
位
|
|
1回戦敗退
|
EFLトロフィー
|
|
|
|
欧州の成績
現所属メンバー
- 2020年10月16日現在
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。
- 監督
※括弧内の国旗はその他の保有国籍を、星印はEU圏外選手を示す。
ローン移籍選手
- in
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。
- out
注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。
歴代監督
歴代所属選手
脚注
注釈
- ^ 破産申請により勝ち点12が剥奪された
- ^ 度重なる給与未払いにより勝ち点6が剥奪された
出典
外部リンク
- 公式
- ニュース
- その他
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2023–24クラブ | |
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記録と表彰 | |
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関連大会 | |
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シーズン | |
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参照 | |
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