別の顧客であるサンキスト・グローワーズは、製造工程に問題を抱えていた。製品に適さないレモンは、ペクチンやクエン酸の原料に回されるが、その際、保存料として二酸化硫黄が用いられる。サンキストは、リトマス紙に代わり、常時酸性度を監視する方法の開発を求めた。ベックマンは1935年にpHメーターを開発し、pHメーターは溶液の酸性度を測定する重要な道具となった。pHメーターに関する特許は全国的に知られた科学機器販売業者であるArthur H. Thomas Companyによって注目・販売され、ベックマンは会社名をNational Technical Laboratoriesと改めた。pHメーターの成功により、1939年にベックマンは大学を去り会社の専任社長となった。
晩年、ベックマンはニューポートビーチ近郊のCorona del Marに住み、アーノルド・アンド・メイベル・ベックマン財団を設立して慈善家として活動した。今までに、財団は様々な事前活動や組織に対し、4億ドル以上を支援してきた。寄付は、自身の母校も含め、主に科学者に対して行われる。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のベックマン研究所及びベックマン庭園や、カリフォルニア工科大学のベックマン研究所、ベックマン講堂、ベックマン行動科学研究室、ベックマン化学合成研究室は、彼の名前にちなんでいる。
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Arnold Thackray and Minor Myers, Jr. ; foreword by James D. Watson. (2000). Arnold O. Beckman : one hundred years of excellence. Philadelphia, Pa.: Chemical Heritage Foundation. ISBN978-0-941901-23-9