アン・リー(中国語:李安、1954年10月23日 - )は、台湾の映画監督である。アカデミー監督賞とヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を二回受賞しており、2024年現在、世界で唯一ベルリン国際映画祭金熊賞を二回受賞している。
来歴
1954年に台湾南部の屏東県(へいとうけん)の外省人の家庭に生まれ、台湾の国立芸術大学を卒業した後、1979年にアメリカへ渡り、イリノイ大学とニューヨーク大学で映画制作を学ぶ。在学中にスパイク・リーと知り合い、彼の映画の製作を手伝ったこともある。
太極拳の使い手としても知られ、デビューの作品『推手』において、太極拳を重要な要素として使っている。ただし、演出上においては、武術的なものとエンターテイメントを分けて考えていると発言している。
『ウェディング・バンケット』と『いつか晴れた日に』でベルリン映画祭金熊賞を、『グリーン・デスティニー』でアカデミー外国語映画賞を受賞。『いつか晴れた日に』で本格的にハリウッド進出して以来、異なるジャンルで優れた作品を多数発表している。
『ブロークバック・マウンテン』では第78回アカデミー監督賞を受賞。2006年、中華民国政府より、二等景星勲章を授与される[1]。
第64回ヴェネツィア国際映画祭に出品した『ラスト、コーション』では、『ブロークバック・マウンテン』に引き続き、2度目の金獅子賞を獲得した。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』では第85回アカデミー監督賞を受賞。
2012年11月、フランス芸術文化勲章のシュヴァリエ章を授与される[2]。2013年、中華民国政府より、一等景星勲章を授与される[3]。
アメリカに住み、アメリカの市民権を有しているのでアメリカ国民でもある[4]。次男は俳優のメイソン・リー(李淳)。弟は台湾の映画プロデューサー・監督のガン・リー(李崗)。
監督作品
監督以外の作品
受賞
※本来はプロデューサーが受取人である作品賞の受賞・ノミネートも含む。
賞 |
年 |
部門 |
作品 |
結果
|
金馬奨
|
1991年 |
作品賞 |
『推手』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
オリジナル脚本賞 |
ノミネート
|
1993年 |
作品賞 |
『ウェディング・バンケット』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
オリジナル脚本賞 |
受賞
|
編集賞 |
ノミネート
|
1994年 |
作品賞 |
『恋人たちの食卓』 |
ノミネート
|
オリジナル脚本賞 |
ノミネート
|
1995年 |
脚色賞 |
『少女小漁』 |
ノミネート
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
監督賞 |
ノミネート
|
2007年 |
作品賞 |
『ラスト、コーション』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
ベルリン国際映画祭
|
1993年 |
金熊賞 |
『ウェディング・バンケット』 |
受賞
|
1996年 |
金熊賞 |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
アカデミー賞
|
1993年 |
外国語映画賞 |
『ウェディング・バンケット』 |
ノミネート
|
1994年 |
外国語映画賞 |
『恋人たちの食卓』 |
ノミネート
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
ノミネート
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
外国語映画賞 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
ノミネート
|
監督賞 |
受賞
|
2012年 |
作品賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
監督賞 |
受賞
|
ゴールデングローブ賞
|
1993年 |
外国語映画賞 |
『ウェディング・バンケット』 |
ノミネート
|
1994年 |
外国語映画賞 |
『恋人たちの食卓』 |
ノミネート
|
1995年 |
作品賞 (ドラマ部門) |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
監督賞 |
ノミネート
|
2000年 |
監督賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
外国語映画賞 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 (ドラマ部門) |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2007年 |
外国語映画賞 |
『ラスト、コーション』 |
ノミネート
|
2012年 |
作品賞 (ドラマ部門) |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
インディペンデント・スピリット賞
|
1993年 |
作品賞 |
『ウェディング・バンケット』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
脚本賞 |
ノミネート
|
1994年 |
作品賞 |
『恋人たちの食卓』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
脚本賞 |
ノミネート
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
英国アカデミー賞
|
1994年 |
非英語作品賞 |
『恋人たちの食卓』 |
ノミネート
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
監督賞 |
ノミネート
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
ノミネート
|
監督賞 |
受賞
|
外国語作品賞 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2007年 |
外国語作品賞 |
『ラスト、コーション』 |
ノミネート
|
2012年 |
作品賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
|
1994年 |
外国語映画賞 |
『恋人たちの食卓』 |
受賞
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
監督賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
カンザスシティ映画批評家協会賞
|
1994年 |
外国語映画賞 |
『恋人たちの食卓』 |
受賞
|
2012年 |
監督賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
受賞
|
全米監督協会賞
|
1995年 |
長編映画監督賞 |
『いつか晴れた日に』 |
ノミネート
|
2000年 |
長編映画監督賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
長編映画監督賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
2012年 |
長編映画監督賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
ニューヨーク映画批評家協会賞
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
次点
|
監督賞 |
受賞
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
次点
|
監督賞 |
次点
|
外国語映画賞 |
次点
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
ロサンゼルス映画批評家協会賞
|
1995年 |
監督賞 |
『いつか晴れた日に』 |
次点
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
監督賞 |
次点
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
クリティクス・チョイス・アワード
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2007年 |
外国語映画賞 |
『ラスト、コーション』 |
ノミネート
|
2012年 |
作品賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
ボストン映画批評家協会賞
|
1995年 |
作品賞 |
『いつか晴れた日に』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
シカゴ映画批評家協会賞
|
1997年 |
監督賞 |
『アイス・ストーム』 |
ノミネート
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
外国語映画賞 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
AACTA賞
|
1998年 |
外国語映画賞 |
『アイス・ストーム』 |
ノミネート
|
2001年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
ボディル賞
|
1999年 |
アメリカ映画賞(英語版) |
『アイス・ストーム』 |
受賞
|
2001年 |
非アメリカ映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
ヨーロッパ映画賞
|
2000年 |
非ヨーロッパ映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
ノミネート
|
2005年 |
非ヨーロッパ映画賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
ノミネート
|
全米映画批評家協会賞
|
2000年 |
監督賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
3位
|
フロリダ映画批評家協会賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2012年 |
作品賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
ノミネート
|
監督賞 |
ノミネート
|
ロンドン映画批評家協会賞
|
2000年 |
外国語映画賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2012年 |
監督賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
受賞
|
香港電影金像奨
|
2000年 |
作品賞 |
『グリーン・デスティニー』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
ヴェネツィア国際映画祭
|
2005年 |
金獅子賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
2007年 |
金獅子賞 |
『ラスト、コーション』 |
受賞
|
サンフランシスコ映画批評家協会賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
セントルイス映画批評家協会賞
|
2005年 |
作品賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
受賞
|
監督賞 |
受賞
|
2012年 |
作品賞 |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 |
次点
|
監督賞 |
ノミネート
|
セザール賞
|
2007年 |
外国映画賞 |
『ブロークバック・マウンテン』 |
ノミネート
|
ゴールデン・ビートル賞
|
2008年 |
外国語映画賞 |
『ラスト、コーション』 |
受賞
|
関連項目
脚注
- ^ “台湾、アン・リー監督に「一等景星勲章」授与を検討”. 中国国際放送局. (2013年2月27日). http://japanese.cri.cn/881/2013/02/27/181s205201.htm 2022年6月10日閲覧。
- ^ “【華流】台湾の巨匠アン・リー監督、フランス芸術文化勲章を受章”. サーチナ. (2012年11月30日). オリジナルの2013年5月1日時点におけるアーカイブ。. https://archive.ph/zC0M1 2022年6月10日閲覧。
- ^ “馬英九総統がアン・リー(李安)監督に「一等景星勲章」を授与”. 台湾週報. 台北駐日経済文化代表処 (2013年5月13日). 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月10日閲覧。
- ^ “アンジー、中国でうっかり「失言」―夫ブラピと共に人気急落”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2014年6月11日). オリジナルの2014年6月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140612134306/https://jp.wsj.com/news/articles/sb10001424052702303861104579617301653048852 2022年6月10日閲覧。
- ^ “アン・リー監督最新作『ビリー・リンの永遠の一日』来年2・11公開決定”. ORICON STYLE. (2016年9月29日). https://www.oricon.co.jp/news/2079158/full/ 2016年9月29日閲覧。
- ^ “ウィル・スミスVS若きウィル・スミス!? アン・リー監督の近未来アクション、10月公開”. 映画.com. (2019年4月26日). https://eiga.com/news/20190426/6/ 2019年4月26日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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