米西戦争において、アメリカ陸海軍はそれぞれ独自に作戦立案を行っており、サンチャゴでの戦いなど協力の必要があったにもかかわらず、協力関係は薄かった[4]。1903年になると、セオドア・ルーズベルト大統領により陸海軍合同会議(Joint Army and Navy Board)が設置された[4]。これは陸軍参謀本部と海軍将官会議(General Board)の代表者および主務担当者で構成され、陸海軍の競合する問題について助言を行うこととされた。しかし、この会議は陸軍長官および海軍長官から提起された問題についてのみ助言を行うこと[4]、会議の決定を実行させる権限を有さなかったこと、立案能力が低かったことにより、有効には機能しなかった。第一次世界大戦に際しても機能しなかった[4]。
1942年7月にウィリアム・リーヒがアメリカ陸海軍最高司令官付参謀長(Chief of Staff to the Commander in Chief, U.S. Army and Navy)[6]に任命され、ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長、アーネスト・キング合衆国艦隊司令長官兼海軍作戦部長、ヘンリー・アーノルド陸軍航空軍司令官を加えて、統合指揮調整機構かつ連合参謀本部のアメリカ側代表である統合参謀本部(Joint Chiefs of Staff)が設置された[5]。最高指揮官たる大統領の補佐も行っていたが、公的な位置付けは曖昧であり、法的な裏付けはなかった[5]。1947年の国家安全保障法により、合同会議は廃止され[4][7]、統合参謀本部は明確な法的裏付けを得た。
沿岸警備隊は、アメリカ合衆国法典第14章第101条によってアメリカ軍の一部とされているが、通常は国土安全保障省の管轄下にある。しかし、戦時や国家緊急事態の際には大統領令により海軍省の管轄に入る。そのため、沿岸警備隊総司令官(Commandant of the Coast Guard)は統合参謀本部の正式メンバーではないが、事実上のメンバーとされることも多く、ほかのメンバーと同等の報酬を受け取り、招待に応じて統合参謀本部の会議に出席する権利を有する。 沿岸警備隊総司令官は、ほかの統合参謀本部メンバー(参謀総長や作戦部長、総司令官)と異なり、沿岸警備隊に対する作戦と運用の両面にかかる権限を持っている。
統合参謀本部最先任下士官(Senior Enlisted Advisor to the Chairman of the Joint Chiefs of Staff (SEAC))は、アメリカ軍の統合運用における下士官の統合、活用、能力開発に関する全ての問題について統合参謀本部議長に助言し、統合運用による下士官の教育・育成を支援し、統合運用における上級下士官の能力を最大限に活用すること任務とする。そして、その任務に関し統合参謀本部議長をサポートし、責任を負う。 陸軍のウィリアム・ゲイニー最上級曹長が、2005年10月1日に初代の統合参謀本部最先任下士官に就任した。2020年8月現在、空軍のラモン・コロン・ロペス最上級曹長がこの地位にある。ロペス最上級曹長は、陸軍のジョン・トラックセル最上級曹長の後任として、2019年12月13日にマーク・ミリー統合参謀総長に就任を宣誓し、この地位についた。
役職
写真
氏名
軍種
統合参謀本部最先任下士官 Senior Enlisted Advisor to the Chairman
JCSは軍事力の統合運用原則として統合ドクトリン(英: joint doctrine)を発行している[12]。最上位に位置する文章は "Joint Publication 1, Doctrine for the Armed Forces of the United States"、通称 JP1 である[13]。ドクトリン整備を担うのは第7部である。
^"Joint doctrine presents fundamental principles that guide the employment of US military forces in coordinated and integrated action toward a common objective." JCS. Joint Doctrine Publications. 2021-08-29 viewed.
^"Joint Publication 1 ... is the capstone publication for all joint doctrine, presenting fundamental principles and overarching guidance for the employment of the Armed Forces of the United States." JP1.