世界知的財産の日(せかいちてきざいさんのひ World Intellectual Property Day)は、知的財産が日常生活で果たす役割についての理解を深め、発明者や芸術家の社会の発展への貢献を記念するために、世界知的所有権機関 (WIPO) が2000年に制定した記念日。4月26日。この日には、世界知的所有権機関及び世界各国で種々の記念行事が開催される。なおWorld Intellectual Property Dayの日本語名は、2022年より「世界知的所有権の日」から「世界知的財産の日」に変更されている[1]。
WIPO加盟国・地域による世界知的所有権の日への参加は、2000年の開始以来増加している。初年には59の加盟国・地域が[2]、5年後の2005年には110の加盟国・地域が、世界知的所有権の日の公式行事を報告した[3]。そして2022年には、189の加盟国・地域が公式記念イベントに参加した[4]。
沿革
1970年
1988年9月
- 第33回WIPO加盟国総会での声明において、アルジェリア国立工業所有権機関(INAPI)事務局長が世界知的所有権の日の制定を提案した[5]。
1999年4月7日
- WIPO事務局長宛ての書簡において、アモール・ブーニクINAPI事務局長は、このような日を制定する目的は、流動性や認識を拡大するための枠組みを設けること、イノベーションの促進という面へのアクセスを開放すること、世界中の知的財産を推進する人々の功績を称えること、にあると指摘した[6]。
1999年8月9日
- Jiang Ying 中華人民共和国国家知識産権局長官からの書簡において、中国代表団が、WIPOが設立30周年記念日(4月26日)を「世界知的所有権の日」の記念行事として採択することを提案した。
- Jiang Ying長官は、その目的について、知的財産保護の認識をさらに促進すること、知的財産保護の影響力を全世界に拡大すること、各国に知的財産保護に関する法及び規制の周知と普及を促すこと、知的財産権に対する国民の法的認識を高めること、各国の発明・イノベーション活動を奨励すること、知的財産分野における国際連携を強化すること、にあると指摘した[7]。
2000年
- 9月末から10月にかけて行われた第26回WIPO加盟国総会において、4月26日を「世界知的所有権の日」とすることが承認された[8]。
2022年
- World Intellectual Property Dayの日本語名が「世界知的所有権の日」から「世界知的財産の日」に変更となった。
歴代テーマ
毎年、イベントに関連したメッセージやテーマが掲げられている:
- 2024年:知財とSDGs―イノベーションと創造力で築く地球の未来[9]
- 2023年:女性と知財―イノベーションと創造性を加速する力[10]
- 2022年:IP and Youth―より良い未来のためのイノベーション[11]
- 2021年:知的財産(IP)と中小企業―あなたのアイデアで新しい事業を[12]
- 2020年:環境に優しい未来のために革新する[13]
- 2019年:金を目指して―知的財産とスポーツ[14]
- 2018年:変革の推進―イノベーションと創造において活躍する女性[15]
- 2017年:生活を改善するイノベーション
- 2016年:Digital Creativity: Culture Reimagined(原文)
- 2015年:起きろ、立ち上がれ。音楽のために。[16]
- 2014年:映画―グローバル・パッション(仮訳)
- 2013年:Creativity – The Next Generation
- 2012年:Visionary Innovators
- 2011年:Designing the Future
- 2010年:Innovation – Linking the World
- 2009年:Green Innovation
- 2008年:Celebrating innovation and promoting respect for intellectual property
- 2007年:Encouraging Creativity
- 2006年:It Starts with an Idea
- 2005年:Think, Imagine, Create
- 2004年:Encouraging Creativity
- 2003年:Make Intellectual Property Your Business
- 2002年:Encouraging Creativity
- 2001年(第1回):未来は今日創造する[17]
関連項目
外部リンク
脚注
- ^ “「世界知的財産の日」”. 世界知的所有権機関(WIPO). 2024年3月19日閲覧。
- ^ “Program Performance Report for the 2000-2001 Biennium”. A/37/3. www.wipo.int (2002年7月24日). 2024年4月5日閲覧。
- ^ “Program Performance Report for the 2004-2005 Biennium”. A/42/2. www.wipo.int (2006年7月31日). 2024年4月5日閲覧。
- ^ “Report of the Director General to the Assemblies of WIPO – July 14 to 22, 2022”. www.wipo.int. 2024年4月5日閲覧。
- ^ “ASSEMBLIES OF THE MEMBER STATES OF WIPO”. 2024年4月5日閲覧。
- ^ “WIPO General Assembly, Twenty-Fourth (14th Ordinary) Session, Geneva, 20 to 29 September 1999, Institutionalization of an International Day for Intellectual Property. Proposal by the People's Democratic Republic of Algeria”. WO/GA/24/7 (1999年8月10日). 2024年4月5日閲覧。
- ^ “WIPO General Assembly, Twenty-Fourth (14th Ordinary) Session, Geneva, 20 to 29 September 1999, Institutionalization of a World Intellectual Property Day. Proposal by the People's Republic of China” (1999年8月20日). 2024年4月5日閲覧。
- ^ “WIPO General Assembly, Twenty-Sixth (12th Extraordinary) Session, Geneva, 25 September to 3 October 2000, Memorandum of the Director General”. WO/GA/26/2. 世界知的所有権機関(WIPO) (2000年7月26日). 2024年4月5日閲覧。
- ^ “世界知的財産の日 2024年4月26日 知財とSDGs―イノベーションと創造力で築く地球の未来”. 2024年4月4日閲覧。
- ^ “世界知的財産の日 – 2023年4月26日 女性と知財―イノベーションと創造性を加速する力”. 2024年4月4日閲覧。
- ^ “世界知的財産の日 – 2022年4月26日 IP and Youth: より良い未来のためのイノベーション”. 2024年4月4日閲覧。
- ^ “世界知的所有権の日 – 2021年4月26日 知的財産(IP)と中小企業:あなたのアイデアで新しい事業を”. 2024年4月4日閲覧。
- ^ “世界知的財産の日アーカイブ”. 2024年4月4日閲覧。
- ^ “金を目指して―知的財産とスポーツ イベントページ”. 2024年4月8日閲覧。
- ^ “2018年World IP Dayに寄せて”. 特許庁. 2024年4月8日閲覧。
- ^ “ユニークな日本の音楽産業”. 2024年4月8日閲覧。
- ^ “第1回世界知的所有権の日”. 特許庁. 2024年4月8日閲覧。