ドイツ青年としてダレはまず、土地への回帰に傾倒する民族主義的な青年のグループ「アルタマーネン(ドイツ語版)」に加入した。ダレが「北方人種の将来は土に結びつけられている」という観念を展開し始めたのはこうした背景によるものであり、それは「Blut und Boden(血と土)」として知られるようになった。「Blut」すなわち「血」は人種あるいは血統を表現し、「Boden」は土、領域、または土地と解釈することができる。この理論の本質は、占有され耕される土地と人間との間の長期にわたる相互関係である。1926年に発表されたダレの初めての政治的な論文は内なる植民地化に関するもので、失われた植民地を取り戻そうと試みるドイツに反対する内容であった。とはいえ、この時期における彼の著作の大部分は家畜の飼育の技術面に関するものである。
彼の最初の著書「Das Bauerntum als Lebensquell der nordischen Rasse(北方人種の生命の源としての農民階級)」は1928年に書かれた。彼は森の保護を大いに強調してより自然な土地管理の方法を主唱し、家畜を飼育するに際しては、もっと開放的な空間と空気が必要だと主張した。こうした主張を聞いて感銘を受けた人々の一人がハインリヒ・ヒムラーだった。ヒムラー自身も「アルタマネン」のメンバーである。
彼は生涯に二度、結婚をした。1922年にアルマ・シュタート(Alma Staadt)と結婚したが1927年に離婚し、1931年にシャルロッテ・フォン・フィッティングホフ=シェル男爵令嬢(Charlotte Freiin von Vittinghoff-Schell)と再婚している。アルマとの間に二人の娘をもうけた。
Das Bauerntum als Lebensquell der nordischen Rasse(北方人種の生命の源としての農民)、1928年
(岡田宗司訳『民族と土 (上)』橘書店,1942年)
Neuadel aus Blut und Boden(血と土の新貴族)、1930年
(黒田礼二訳『血と土』春陽堂書店,1941年)
参考文献
Blood and Soil: Richard Walther Darré and Hitler's "Green Party" by Anna Bramwell (Kensal Press, 1985, ISBN 0-946041-33-4)
Biographical Dictionary of the Extreme Right Since 1890 edited by Philip Rees, (1991, ISBN 0-13-089301-3)
The Plough and the Swastika: The NSDAP and Agriculture in Germany, 1928-45 by J.E. Farquharson (London, 1976, reprinted by Landpost Pr, 1992, ISBN 1-880881-03-9)
Michael D. Miller (2006) (英語). Leaders of the SS & German Police, Volume I. Bender Publishing. ISBN9329700373