『ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト』(Live at Fillmore West)は、アメリカ合衆国のサクソフォーン奏者、キング・カーティスが1971年に録音・発表したライブ・アルバム。カーティスが殺害される少し前にリリースされており、結果的に遺作となった[2][3]。
背景
1971年3月、カーティスは自身のバンドであるザ・キングピンズを率いて、アレサ・フランクリンのフィルモア・ウェスト(英語版)公演におけるオープニングアクトと、フランクリンのライブ本編におけるバック・バンドを兼任した[2][注釈 1]。本作に収録された演奏のうち「ミスター・ボージャングル」と「涙をとどけて」は3月5日、「胸いっぱいの愛を」と「アイ・スタンド・アキューズド」は3月6日、それ以外は3月7日の録音である[4]。なお、3月5日の公演では、ビリー・プレストンをフィーチャーした「マイ・スウィート・ロード」(ジョージ・ハリスンのカヴァー)も演奏されており[4]、この曲はオリジナル盤未収録だが、再発CDではボーナス・トラックとして収録された[2]。
レッド・ツェッペリンのカヴァー「胸いっぱいの愛を」は、本作の録音に先がけて1970年にスタジオ録音によるシングルがリリースされており[5]、1971年2月20日付のBillboard Hot 100で最高64位[6]、同年2月27日付の『ビルボード』のR&Bシングル・チャートで最高43位を記録した[7]。
反響・評価
アメリカの総合アルバム・チャートBillboard 200では、カーティスの没後の1971年10月2日に54位を記録し、自身唯一の全米トップ100アルバムとなった[1]。また、『ビルボード』のR&Bアルバム・チャートでは、1971年9月25日付のチャートで自身最高の9位を記録した[8]。
ジム・スミスはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「カーティスは時折混乱しているが、そんなことはどうでも良く、ここまで優れた音楽が生み出されているのだから、聴いていてもそれに気づかないだろう」と評している[3]。
収録曲
Side 1
- メンフィス・ソウル・ステュー - "Memphis Soul Stew" (Curtis Ousley) - 7:36
- 青い影 - "A Whiter Shade of Pale" (Gary Brooker, Keith Reid) - 5:19
- 胸いっぱいの愛を - "Whole Lotta Love" (Robert Plant, Jimmy Page, John Paul Jones, John Bonham) - 2:32
- アイ・スタンド・アキューズド - "I Stand Accused" (Jerry Butler) - 6:02
Side 2
- チェンジズ - "Them Changes" (Buddy Miles) - 7:07
- ビリー・ジョーの歌 - "Ode to Billie Joe" (Bobbie Gentry) - 3:23
- ミスター・ボージャングル - "Mr. Bojangles" (Jerry Jeff Walker) - 4:29
- 涙をとどけて - "Signed, Sealed, Delivered I'm Yours" (Lee Garrett, Lula Mae Hardaway, Stevie Wonder, Syreeta Wright) - 2:37
- ソウル・セレネイド - "Soul Serenade" (Luther Dixon, C. Ousley) - 5:36
2006年再発CDボーナス・トラック
- "My Sweet Lord" (George Harrison) - 2:30
- "Them Changes (alternate take)" (B. Miles) - 5:36
- "Ode to Billie Joe (alternate take)" (B. Gentry) - 4:27
- "Soul Serenade (alternate take)" (L. Dixon, C. Ousley) - 4:51
- "Memphis Soul Stew (alternate take)" (C. Ousley) - 7:15
参加ミュージシャン
- キング・カーティス - テナー・サクソフォーン、アルト・サクソフォーン、ソプラノ・サクソフォーン、アレンジ
- ビリー・プレストン - ハモンドオルガン
- ザ・キングピンズ
- ザ・メンフィス・ホーンズ
- アンドリュー・ラヴ - テナー・サクソフォーン
- ルー・コリンズ - テナー・サクソフォーン
- ジミー・ミッチェル - バリトン・サクソフォーン
- ウェイン・ジャクソン - トランペット
- ロジャー・ホップス - トランペット
- ジャック・ヘイル - トロンボーン
脚注
注釈
- ^ 古い資料では1971年2月の録音と記載されており、1998年再発CD (AMCY-2905)のライナーノーツでもそれに基づいていたが、2005年にアレサ・フランクリン&キング・カーティス名義で発売されたCD4枚組のボックス・セット『Live at Fillmore West: Don't Fight the Feeling』のクレジットでは、3月5日 - 7日の録音と記載されている。
出典
外部リンク