アンナは迫る危機に悩みつつ、ひそかな愛に苦しむ(Ah! che invan su questo ciglio)。父がやってきてカルボとの結婚をすすめるが、アンナはかつてコリントで会ったミティリーニのウバルドという人物を愛していることを話す。ところが父は本物のウバルドが当時彼とともにいたことを話し、アンナは男にだまされたことを知って激怒する(大三重唱 Ohimè! qual fulmine)。外で砲声が聞こえ、男たちは戦いにおもむく。残されたアンナは他の女たちとともに祈る(Giusto ciel, in tal periglio)。
東洋風の音楽に乗ってトルコの兵士たちが登場する(合唱 Dal ferro, dal foco およびマオメットのカヴァティーナSorgete, sorgete)。カルボとエリッソが捕虜として連れて来られる。マオメットはエリッソがアンナの父であることを知り、降伏するならばヴェネツィア人の命は助けようと提案するが、ふたりは降伏を拒絶する。マオメットは怒ってふたりを拷問するように命令する(Guardie, olà)。そこへアンナが現れるが、かつてウバルドと名乗った男の正体がマオメット2世その人であったことを知る。彼女は、父とカルボを釈放しなければ自殺すると脅す。マオメットはふたりを釈放するが、かわりにアンナを愛人として留めおく。エリッソは娘が裏切ったと思いこむ。
第2幕
マオメットの天幕の中。悲しみに沈むアンナにマオメットは愛を語り、彼女を妃にしようという。アンナは妃の位を拒絶するが、実際には彼を愛してしまっていた(レチタティーヴォと二重唱 Anna, tu piangi?)。ヴェネツィア軍の反撃の報を聞き、マオメットはアンナに皇帝の印章を授けて戦いに赴く(All'invito generoso)。
ネグロポンテ城砦の教会の地下埋葬所。エリッソは妻の墓の前で祈り、娘の変心をなじる。しかしカルボは彼女が裏切ることはないと主張する(非常に技巧的なカルボの歌 Non temer)。アンナが逃が帰ってきて、自分が誠実であることを母の墓の前で誓う。彼女はマオメットの印章を父に渡し、カルボとの結婚を願う(三重唱 In questi estremi)。エリッソとカルボは再び戦いに戻る。