『ナウ・アンド・ゼン』(Now and Zen)は、イギリスのロック・ボーカリスト、ロバート・プラントが1988年に発表したソロ名義では4作目のスタジオ・アルバム。LPは9曲入りだが[10]、同時に発売されたCDには「パラダイス」が追加されて10曲入りとなった。
背景
「ヘヴン・ノウズ」は、フィル・ジョンストンが参加していた「レスト・イズ・ヒストリー」というユニットによってデモテープが作られていた曲で、それを聴いたプラントは、レッド・ツェッペリン時代に対する否定的な考え方を捨てたという[11]。そして、プラントはジョンストンを自分のバンドに迎え入れ、多くの曲を共作した。プラントは『ローリング・ストーン』誌のインタビューにおいて「この男(ジョンストン)はツェッペリンのファンで、俺は思いがけず、自分もそうだったことを思い出した」と語っている[11]。また、レッド・ツェッペリン時代の盟友ジミー・ペイジが「ヘヴン・ノウズ」と「トール・クール・ワン」の2曲でギター・ソロを弾いた[12]。
「トール・クール・ワン」では、レッド・ツェッペリンの楽曲「ブラック・ドッグ」「幻惑されて」「胸いっぱいの愛を」「カスタード・パイ」「オーシャン」がサンプリングされている[13]。
反響
プラントの母国イギリスでは、先行シングルとして発表された「ヘヴン・ノウズ」が全英シングルチャートで33位に達し[14]、本作は全英アルバムチャートで10位に達して、プラントの個人名義のアルバムとしては5年振りのトップ10入りを果たした[4]。
アメリカではBillboard 200で6位に達し[2]、1988年5月にはRIAAによってプラチナ・ディスクに認定され、2001年9月にはトリプル・プラチナに達している[15]。本作からのシングルは、Billboard Hot 100では「トール・クール・ワン」が25位、「シップ・オブ・フールズ」が84位に達し、ビルボードのメインストリーム・ロック・チャートでは「ヘヴン・ノウズ」と「トール・クール・ワン」が1位、「シップ・オブ・フールズ」が3位に達した[2]。
2007年リマスターCD
2007年にライノ・エンタテインメントから発売されたリマスターCDには、1990年11月1日のロサンゼルス公演と1993年12月20日のアムステルダム公演で録音された未発表ライヴ音源がボーナス・トラックとして追加された[16]。これらの音源では、フィル・スクラッグの後任としてプラントのバンドに加入したチャーリー・ジョーンズがベースを弾いている。
収録曲
特記なき楽曲はロバート・プラントとフィル・ジョンストンの共作。
- ヘヴン・ノウズ - "Heaven Knows" (David Barrett, Phil Johnstone) – 4:05
- ダンス・オン・マイ・オウン - "Dance on My Own" (Robert Plant, P. Johnstone, Robert Crash) – 4:30
- トール・クール・ワン - "Tall Cool One" – 4:40
- ザ・ウェイ・アイ・フィール - "The Way I Feel" (R. Plant, P. Johnstone, Doug Boyle) – 5:42
- ヘレン・オブ・トロイ - "Helen of Troy" – 5:10
- ビリーズ・リヴェンジ - "Billy's Revenge" – 3:34
- シップ・オブ・フールズ - "Ship of Fools" – 5:00
- ホワイ - "Why" (R. Plant, R. Crash) – 4:14
- ホワイト・クリーン&ニート - "White, Clean and Neat" – 5:30
- パラダイス - "Walking Towards Paradise" (Jerry Lynn Williams) – 4:49
リマスターCDボーナス・トラック
- ビリーズ・リヴェンジ(ライヴ - ロサンゼルス 1990) - "Billy's Revenge (live)" – 6:00
- シップ・オブ・フールズ(ライヴ - アムステルダム 1993) - "Ship of Fools (live)" – 10:35
- トール・クール・ワン(ライヴ - ロサンゼルス 1990) - "Tall Cool One (live)" – 5:07
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
- ジミー・ペイジ - ギター・ソロ (#1, #3)
- マリー・ピエール - バッキング・ボーカル
- カースティ・マッコール - バッキング・ボーカル
- トニ・ハリデイ - バッキング・ボーカル
- ジェリー・ウェイン - ヴォイス (#9)
- チャーリー・ジョーンズ - ベース (#11, #12, #13)
脚注